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世界情勢、歴史、政治、経済、金融

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ときどきの世界の、政治、経済、金融などの情勢についての良し無しごとを語らせていただければと思います。日本の国益を主軸に置いたエッセイになればと思っています。
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2022年7月の記事一覧

「ようやく日経にも多少まともな記事が」/国際金融筋の一つのリークだろうが、トランプ復活の兆しと日本のデフレの正体を賃金デフレと日経が肯定

 漸く、日経にも多少まともな世界情勢分析の記事が出てきたような気がする。 以下はトランプがらみの記事だが、これまでメインストリームメディアが決して流してこなかった種類の記事である。 執筆者は元シティグループ証券副会長の藤田勉氏で、今秋米中間選挙は共和党勝利、トランプ復権が予想され、そうなればプーチンとの妥協の可能性が出てくる。そしてオイルシェールへの米国内投資も復活しインフレ鎮静と相まって米国株も復活、日本株も復活との期待値を述べている。 これなどは、その経歴から推して

「一技術者が仕事の意義について考えてきた一側面 (4)近代とは、その1/定年講演

さて、近代とは、ということですが、 近代とは、信仰と世俗を厳密に分離した、三十年(宗教)戦争後のウエストファリア条約(1648年)以来の、国家主権の確立、個人の自由と独立、法治主義、世俗主義です。 現代はこのコンセプトに支配されていると言っていい。(東アジアに2,3例外的に振る舞う前近代の横柄な国があるのは真に遺憾とするところです。) 建前上は、信仰から世俗を分離し、人間の欲望(自由)を肯定し、合理主義の名の基に、社会の繁栄、発展を目指すもので、結果として「近代」が世界

「一技術者が仕事の意義について考えてきた一側面 (5)近代とは、その2/定年講演

日本文明が「西欧近代」との親和性が高いとは言いつつも、でやはり、一神教のGOD、特に怒れる神や支配する神を受容することはできない、私は多神教的世界にしか生きることはできそうにありません。 私の信仰は、諸行無常、あの世を信じることで世俗的にも道徳的(物質的、精神的、社会的)にも豊かになれるのであれば、あの世を信じる、、、というレベル(あの世に行けば、死んだ親父や先祖、先輩に会える、という日本人の平均レベル)。 「西欧近代」というものの淵源を探ってみれば、「宗教改革=プロテス

「一技術者が仕事の意義について考えてきた一側面 (6)日本人にとっての近代とその構図/定年講演

世紀を超えて普遍的に、日本人に「近代」を分かり易く示したという点で二人の日本人が挙げられます。 福澤諭吉と江藤淳です。 福澤諭吉はその著作、『文明論ノ概略』、『学問ノススメ』、『福翁自伝』、『丁丑公論』、『痩セ我慢ノ説』等々で、 江藤淳は、『考えるよろこび』、『アメリカと私』、『一族再会』、『南洲残影』、『閉ざされた言語空間』等々で。 福澤はもちろん、二人とも慶應の人ですが、彼らがいろんな形で教えてくれていますが、端的に、 「立国は私なり、独立の気力無き者国思うこと

「日銀総裁の会見要旨」、「国際金融筋の投資戦略」

一昨日7/21〈木)、昨日7/22(金)の日経掲載の二つの記事に関連してコメントしたい。 1)一つは「日銀総裁の会見要旨「国債買い入れ増は一時的」」だ。 黒田さんの会見の一つ一つは非常に明確で、 ・現状の金融政策は変えない、 ・原油や食料価格の上昇による物価影響は短期的に和らぎ中期的に予想物価上昇率と賃金上昇率とともに緩やかに拡大する、 ・日本経済はデフレのイナーシャから脱しておらず賃金上昇しにくい、 ・賃金上昇によってデフレから緩やかなインフレに向かう、 ・欧

「新・日英同盟と脱中国 新たな展望」馬渕睦夫、岡部伸(ワニブックス)のすすめ

 昨年6月出版の「新・日英同盟と脱中国 新たな展望」馬渕睦夫、岡部伸(ワニブックス)のすすめです。  岡部伸さんは産経新聞特派員として、モスクワ、ロンドン駐在歴が長く、政治中枢へのコネクションもあったとのことで、特に英国情報に詳しく、歴史にも通じています。  馬渕さんは、元駐ウクライナ大使でモスクワ、ニューヨーク、英国に駐在歴もあり、歴史にも当然精通しておられる現在の保守論客の筆頭とも言える方です。  このお二人が、19世紀の歴史から紐解き、英国と日本の関係を軸に、歴史

「為替、株式相場/概ね評論家も追随してきた」

 昨日(7/20)も本ブログで掲載しましたが、本日も先々週くらいから本欄で記載してきた見解に、識者、評論家の皆さんが追随、追認してきています。  野村総研の木内さんの本日付け記事では、一方向的な円安の動きに変調が見て取れる、来年23年の金利が見えつつありそれによれば来年にかけて円安がおさまり、その先は一気の円高もあり得るとの予測を述べておられます。  私の見解と良い一致を示しており、私としても合意したいと思いますが、最後のその先の円高予想は、少し違うかなと呼んでいます。し

「今日の上げ相場について」

 今日7/20(水)の日経平均の上げは700円を超えた。この状況に対するロイターの[マーケットアイ]が面白いし、ある意味事態を穿っているとも言えるので取り上げてみます。 まず今日の上げの直接的原因はもちろんニューヨークの大幅な上げです。 1)来週に迫ったFRBの利上げが1%でなく0.75%に落ち着きそうなこと、 2)ネットフリックスの好決算に連想され2Qの企業決算が下振れしないとの見方、 3)さらにはヨーロッパでロシアからの北海経由ヨーロッパへの「ノルフドストリームⅠ

「為替動向の先読みにも変化が、、、」

 7/16付け本ブログで23年円安動向が変化するだろう予測について述べた。  本日7/19付け日経「米期待インフレ率低下、円安継続論に一石」を見ていただきたい。  評論家の間にもそろそろ円安一辺倒の流れに対する変化が出てきたということだろうと思う。  そういう情勢になりつつあるということだ。同時にこれも7/16付の本ブログで述べたように、昨年末以来下落を続けた来たニューヨーク株、そして日本株に関しても潮目が変わりつつあるのは間違いと思われる。  いつものように、個人投

「2017年世界最終戦争の正体」馬渕睦夫著(宝島社)「ウクライナ戦争 歴史は繰り返す 戦争と革命を仕組んだのは誰だ」同(WAC)

 6/24付け本ブログで、エマニュエルトッドの最新刊については紹介しました。  このレベルの内容がすんなり頭に入ってくる方々におすすめするのが、「2017年世界最終戦争の正体」馬渕睦夫著(宝島社)です。(馬渕さんは、元駐ウクライナ大使です)  2016年トランプが大統領選に勝つ直前に書かれたものですから、そう理解して読む必要がありますが、世界の基本的構造についてはそれを差し引いても十分奥行のある見識を示してくれる好著と言えるでしょう。  世界を動かす実質的要因としての国

「金融情勢のこの先、ある程度見えつつあり/米セントルイス連銀部ラード総裁インタビューに注目」

 7/13発表のあった米国消費者物価指数(CPI)は予想を0.3%上回る前年同月比9.1%となり、米経済の消費、雇用の強さが示され、インフレへの一層懸念が市場を揺るがしているように見えた。  しかし、先週末のニューヨークダウは、658ドル、ナスダックは201ドルの大幅上昇となった。6月の小売売上が予想を0.1%上回る1.0%だったのと長期的インフレ予想値が比較的落ち着いてきたのを好感したものらしい。  それを裏付ける捉え方が7/14付日経の「連続0.75%利上げを支持 米

「悲しみを新たにした朝」

本当に無念です。 こんなことで安倍さんが亡くなってしまうなんて信じられません。 心よりの哀悼の意を表します。 安倍さん、天国から日本をお守りください。 安倍さんが天に召されてしまいました。日本中を覆う哀しみは、晴れてはいても大粒の雨となって日本列島を濡らしています。 しかし私たちは、安倍さんが死の瞬間まで持ち続けたに違いない祖国愛と希望のもとに、一致団結して厳しい国難のいまを乗り越え、是が非でも子供たちに美しい日本を手渡しましょう。 明日(2022年7月10日)は参院

「安倍さんは絶対助かる。必ず鈴木貫太郎のごとく甦る。皆でそう信じよう。」

 安倍さんは絶対助かると思います。そう信じます。  昭和11年2月26日未明、安藤輝三大尉以下の一隊が鈴木貫太郎海軍大将侍従長(当時)の宅を襲い、4発の銃弾を体内に打ち込んだ。とどめを刺そうとする安藤にタカ鈴木夫人が「武士の情け、とどめは止めてください。」と止めに入ると安藤以下は捧げ銃で敬礼して去った。  その後、タカ夫人は応急止血を行い、タクシーで病院に担ぎ込んだが出血多量のため心肺停止となった。しかし、しかしである、夫人の必死の呼びかけに鈴木貫太郎は奇跡的に蘇生した。

「仮想通貨暴落のその後」

 仮想通貨については暴落してきたし、これからも暴落するのではないかと3月頃から言ってきました。実際概ねその通りに推移しているようで、日経等にも仮想通貨下落と今後に関する記事が増えています。  本日7/4(月)の日経にも、「ビットコイン、膨らむ『戻りのマグマ』」という記事が掲載されました。  ここまで下落するといろいろなことが言われだしてきているようで、もうそろそろ戻るのではないか、という人たちが再投資に動いているということもあるようです。  確かに先のことはわかりません