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書評

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読書の喜びは、他のなにものにも代えがたい魅力が有ります。そういった喜びを皆さんと共有すべく、知的刺激を受けた書、好奇心満載の書、ためになる書その他この他、わたしの狭い読書領域の中…
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#カエサル

「『ローマ人の物語』他、塩野七生著作書評リスト」

「ローマ人の物語」他について、塩野七生さんの著作をリスト化します。 ローマ人の物語 1)「ローマ人の物語Ⅰ ローマは一日にして成らず」/初めから面白い|りょうさん (note.com) 2)「ローマ人の物語Ⅱ ハンニバル戦記」/これはめちゃくちゃ面白い|りょうさん (note.com) 3)『ローマ人の物語Ⅲ 勝者の混迷』/帝国の盛衰の歴史、現代と変わらず|りょうさん (note.com) 4)「ローマ人の物語Ⅳ ユリウス・カエサル ルビコン以前」野心、虚栄心の問題|りょ

「ローマ人の物語Ⅵ パックスロマーナ」(塩野七生著)オクタビアヌス⇒アウグストウス/カエサルほどでないにせよ、天才オクタビアヌスの物語は秀逸、世界史のハイライト

カエサル暗殺後はその後継者オクタビアヌスが権力を掌握していきます。 そしてカエサルの描いたローマの帝国化を時間を掛けて成し遂げます。 塩野七生さんは、 「ローマ人の物語Ⅴ」のカエサル暗殺後の部分からオクタビアヌスを書いていき、反カエサル派の掃蕩、アントニウス討滅までを「ローマ人の物語Ⅴ」で描きますが、ここまではローマ内部の権力闘争に勝ち抜くオクタビアヌスと言うことになります。 「ローマ人の物語Ⅵ」では、オクタビアヌス改めアウグストウスがローマによる地中海世界の平和、いわゆる

「ローマ人の物語Ⅴ ユリウス・カエサル ルビコン以後」/晩成カエサルの統帥と政治(塩野七生の恋)2

塩野七生は「ローマ人の物語」でローマ建国から西ローマ帝国滅亡までの千年以上の歴史を大部のハードカバー15巻で記しています。 そのなかで、実にカエサルについてはⅣ、Ⅴの二巻を費やすほどの熱の入れようです。 しかし、読んでみるとこの二巻はまさに圧巻、英雄の物語はこれに尽きる!とまで言えるようなワクワクドキドキの、結果を知っている我々構成の人間から見ても大歴史絵巻を読むことができます。 Ⅳ巻の書評でもしるしましたように、塩野七生はカエサルに恋焦がれるがゆえにこれだけの力作をモ

「ローマ人の物語Ⅳ ユリウス・カエサル ルビコン以前」野心、虚栄心の問題

いま、「ローマ人の物語Ⅳ ユリウス・カエサル ルビコン以前」をまさに読んでいるのですが、カエサルの人柄が少しづつ胸の奥に伝わって来てその世界に心が勇躍してきつつあるところです。 中盤に差し掛かって、之は左成り!と手を打ったところがありますので少し記しておきたいと思います。 野心と虚栄心 塩野七生さんは、カエサルを評するにあたり、スッラ、ポンペイウス、キケロ、ブルータスらと比較して、野心と虚栄心が共に大きく野心のそれが一段と大きいのがカエサルだと言っています。 一方、ス