マガジンのカバー画像

書評

91
読書の喜びは、他のなにものにも代えがたい魅力が有ります。そういった喜びを皆さんと共有すべく、知的刺激を受けた書、好奇心満載の書、ためになる書その他この他、わたしの狭い読書領域の中…
運営しているクリエイター

2023年2月の記事一覧

『安倍晋三回顧録』読後感 その3/靖国神社総理参拝 恒例にすべきだった

これまで、『安倍晋三回顧録』に関して賛とも言うべき読後感を述べてきましたが、今回は功罪の罪の方を述べてみたいと思います。 それは、靖国神社総理参拝です。 安倍政権は、するすると言われていた第一次政権のときは、短命政権だったためもあり靖国参拝はしませんでした。 そして、直前の民主党からの政権交代を期した衆議院総選挙で靖国参拝を公約にした第二次政権のとき政権奪還から一年経った平成25年の年末に漸く参拝を果たしました。 しかし、その後約7年政権に有った安倍晋三は一度として靖国参

『安倍晋三回顧録』読後感 その2/弔辞 菅さんの弔辞は涙なしに読めませんでした

『安倍晋三回顧録』は、読売新聞の橋本五郎氏と尾山宏氏の安倍さんへのインタビューが第一次政権のときのことから経時的に順を追って記されています。内容については、内閣安全保障局長だった北村滋氏が監修してチェックしています。 一通りインタビューの記載が終わると、年表形式でこれも第一次政権と第二次政権の事柄が、続いて内閣の支持率、不支持率の経緯も記載されています。 そして、最後に、岸田首相、菅義偉前首相、麻生元首相、野田元首相の弔辞がこの順に掲載されています。 インタビュー形式で

『安倍晋三回顧録』読後感 その1/失敗経験ゆえの長期政権

『安倍晋三回顧録』を読了しました。 失敗あっての長期政権 様々種々の重要なことが書かれていました。 その中で指南書という観点でもっとも重要なことは、「失敗あってこそ第二次政権」があったということです。 第二次安倍政権が、日本にとって死活的に重要な政策を実施し、日本の安全と日本人の雇用に引き返すことのできない立場を与えたことを考えれば、第一次政権のあのみじめな失敗はある種福音のような響きのある出来事だったとも言えます。 第二次政権の成果とその意味については、別途記事にするつ

『岸信介回顧録』/安倍晋三のおじいさんのものも面白いです、是非ご一読ください。

『安倍晋三回顧録』について、多くを記事にしてきています。あと少しで読了なのでまだ記事を出すつもりです。 ですが、ここで一つご紹介をしておきたいと思います。 岸信介回顧録 安倍晋三の祖父が岸信介だということは多くの人が御存じだと思います。 岸さんは、あの大騒動となった60(昭和35)年日米安保改定時の首相です。 21世紀になり、昭和三十五年の日米安保条約改定がその後の道行きの中でいかに日本の国益となったか、について歴史的意味での評価が改めてされてきました。 それは、戦後日

「中央公論令和五年三月号 鼎談 憲政史上最長政権の軌跡 『安倍晋三回顧録』が明かす安倍政治の戦略と人事」/これは読んで損はありません

発売中の中央公論令和五年三月号に『安倍晋三回顧録』に関する鼎談が掲載されています。 インタビューを担当した読売新聞橋本五郎氏、監修をした北村滋元安倍政権国家安全保障局長(秘書官も経験)そして誰をおいてもこの人、菅義偉前総理が『安倍晋三回顧録』に関して鼎談したものです。 これまでに本コラムでも二回にわたり記事を掲載し、 いよいよ私もこの『安倍晋三回顧録』の終盤2019年くらいのところを読んでいるところですが、この鼎談は、菅さんと北村さんの本音トークが深く心に沁みてしかも楽

「『安倍晋三回顧録』 読売新聞オンラインで連載されているが、それより購読すべし!絶対面白いしためになる」

『安倍晋三回顧録』については下記記事で紹介して、今私もまさに読んでいるところです、なかなか面白く精神の奥深くに響くものがあります。 『安倍晋三回顧録』は読売新聞の記者二人(橋本五郎氏、尾山宏氏)による聞き書きである関係で、読売新聞がそのオンライン記事(もしかしたら本チャン紙面でも)にして連載しているようです。 これを現代という人もいらっしゃると思いますが、私は断然原著をお読みなさいとお勧めします。 断然面白くためになります。 それは冒頭から数頁を読むだけでわかります。 こ

「ローマ人の物語Ⅱ ハンニバル戦記」/これはめちゃくちゃ面白い

「ローマ人の物語Ⅱ ハンニバル戦記」のご紹介です。 すでに、 「ローマから日本が見える」、「ローマ人の物語Ⅰ ローマは一日にして成らず」はご紹介しました。 この「ローマ人の物語Ⅱ」は、ハンニバル戦記という副題がついているように、三次にわたるローマとカルタゴのポエニ戦争の戦記と言ってよい巻にあたります。 やはり、歴史ものは、日本で言えば戦国時代が何より面白いのと同様に、戦記物が一番面白いですね。 このポエニ戦争を描いた第2巻も、人物描写、戦闘描写とも塩野七生さんの筆が踊る

「ローマ人の物語Ⅰ ローマは一日にして成らず」/初めから面白い

塩野七生さんの「ローマ人の物語」を読み始めています。 以前に、「ローマから日本が見える」塩野七生著、集英社文庫 について書評を掲載しました。 「ローマから日本が見える」はローマ建国からカエサルあたりまでの「ローマ人の物語」の縮刷版的なものでしたので、この第一巻から読みやすくすっと入っていけました。 第一巻 ローマの原初 ロムルスによる建国と王政、七代続いた王政は世襲ではなく基本的には推されてなるという原初形態にローマの政治的知恵があったのかもしれません。 そして王政で

「安倍晋三回顧録」/出版 書評を読んで

安倍晋三の回顧録が出版されたようです。 私も既に予約してあって2、3日うちには手元に届くのですぐ読むつもりにしています。 読売新聞の橋本五郎氏、尾山宏氏が、第二次安倍政権退陣後に安倍晋三本人に長時間インタビューしたもので、昨年出版しようとしたら本人がまだ差し支えありとのことで出版を待ったというものだそうです。 安倍内閣の最後に国家安全保障局長兼内閣特別顧問だった北村滋氏が監修ということでチェックした上で、著作権継承者の昭惠夫人の同意を得て出版の運びとなったとのことです。