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人文、歴史系

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人文系の記事を収録します。政治、金融、経済関係以外の文学、歴史、人間に関する記事と思ってください。政治、金融、国際政治及びそれに関わる社会事象は「世界情勢、歴史、政治、経済、金融… もっと読む
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2022年12月の記事一覧

「米中関係を決定的に変えた米国人の著作 1)『米中もし戦わば』文藝春秋社ペーターナバロ著、2)『China2049』日経BPマイケルピルズベリー著」

今日2022年末の現在、2年前にバイデン民主党政権に政権交代しようとも一貫して変わったことがなく、今後も米国の政策として変わることの無いChinaとの新冷戦とも言える政策が、これを機に決定的に変わったとされる米国人による著作が、2015年から16年にかけてトランプ政権誕生前に出版された、 1)『米中もし戦わば』文藝春秋社ペーターナバロ著 2)『China2049』日経BPマイケルピルズベリー著 となります。 前者は、トランプ政権中枢にあって外交政策を進めた大統領補佐官のピー

『馬渕睦夫が読み解く 2023年世界の真実』(WAC社)の紹介

「馬渕睦夫が読み解く 2023年世界の真実」(WAC社)馬渕睦夫著を紹介します。 毎年の年末、その年の世界情勢、出来事を振り返って、次の年の潮流を提示する、練達の保守論壇人元ウクライナ大使である馬渕睦夫さんの著作です。 今回の著作も、2022年の世界情勢に関して、マスメディアに取り上げられない情報や10年20年レベルから世紀単位の歴史事実に裏付けられた広範な見識をベースにぶった切っています。 世の中の事象は国益視点で見なければ非常に多いのですが、常に日本の国益を主軸に置い

『老人支配国家日本の危機』(文春新書)エマニュエルトッド著/日本の出生率低減・人口減少について 及び 世界情勢について

『歴史人口学で見た日本』速水融著 日本の出生率低減・人口減少についてたびたび記してきた。日本の歴史人口学の泰斗速水融氏の著作については最近下記で紹介した。 『我々はどこから来て、今どこにいるのか?』エマニュエルトッド著 もちろんそれは近年日本でも盛んに評論活動している世界的泰斗のフランス人エマニュエルトッド氏の近年の著作から導かれたものだ。 改めて彼の下記の大著については掲載させていただく。 『老人支配国家日本の危機』と『歴史人口学で見た日本』 以上を踏まえて、『老

「出生率低減と歴史人口学 『歴史人口学で見た日本』(文春新書)速水融 を読んで」

エマニュエルトッドから速水融 エマニュエル・トッドについては本コラムで度々触れてきている。大著「我々はどこから来て、今どこにいるのか?」についても度々触れてきている。 上記の既報前者では、日本の出生率低減、人口減少に着いて議論した。日本が現今直面する課題として、最も大きな課題である。これについては他の記事でも記してきたが、識者やメディアで全く議論が足りていないし、日本人自身の危機意識も不足しているのが現状と言わざるを得ない。 エマニュエルトッドがたびたび日本の歴史人口学

「今日12/24の、産経、読売、日経各新聞を読んで」/マスメディアは反国民的機関である、猛省を促したい

今日12/24クリスマスイブの産経、読売、日経の各新聞を読んだが、あまりのひどさに辟易した。 なにがひどいかという点だが、どの三紙も財務省経由の財政均衡論の考え方に貫かれていることだ。 マスメディアは産経も含めて、完全に財務省の軍門に下った状態であるということだ。 いずれの三紙も、史上最高額の来年度予算案を全面に出し、国債依存の予算、財源論を振りかざした議論を主要な論点としていた。 これだから、国民が騙されてしまうのであり、これまでさんざん騙されてきたことをまたも繰り返そ

「Chinaからの政治工作(OtherThanWar)にはよっぽどの注意が必要 台湾での認知戦/産経新聞3面」

工作に弱い自由と民主主義 私たちが暮らす自由と民主主義の社会空間は、専制体制からの工作活動に極めて弱いという特徴を有しています。 現在も様々な形で、特にインターネットなどの空間において、専制体制からの情報操作、工作を受けています。 私はツイッターにおいても情報発信を行っていますが、明らかに工作だなと感じることも多いです。 「ティックトック」による台湾への工作 本日12/18産経新聞3面に「中国『認知戦』台湾を侵食/人気アプリで若者を『反日米』配信」という記事が有りました

「日本の人口減少、出生率低下に関して、他人事の記事が多過ぎる。識者の自覚を促したい」

今世紀に入り、日本の人口減少、出生率低下が露わになって久しい。 この事態を憂い、他人事とせず、自らの問題として考えてきたつもりだが、メディア、識者の記事を見ることも多いが、あまりにも他人事の記事が多過ぎる。 昨日も、人口減少対策総合研究所の理事長らしいが、某氏の下記の記事を読んだ。 途中で気持ち悪くなるくらい他人事だ。 もちろん、某氏のすべての著作を読んだわけではないので、予断かもしれないが、どうもこの種の記事にして、やはり日本人としての自覚が感じられないのだ。 それは

「ローマから日本が見える」塩野七生著、集英社文庫/いまや”日本”でなく”世界が見える”

塩野七生さんの「ローマ人の物語」は読んでみたいと思ってきたけれど、何分大作なので、一度読みかけたら読み切らないことには、という気がしてこの年まで読まずにいる。 この間、そういう意味で手軽な塩野本を見つけたので読んでみたが、面白かった。 それが上記の「ローマから日本が見える」という、もともとは平成17(2005)年に刊行した著作だった。 今読んでみると、内容的に、特に”日本が見える”という部分はほとんど無く、平成17年当時世界の中で一人負け状態だった日本のことを念頭に読む人

「ピーター・ティール もしかしたら面白いかもしれない」/クーリエ・ジャポンの記事から

ここのところ、書評等の中でエマニュエル・トッドに触れることが多くなっている。もちろん、この混迷の世界で、文明諭や人類論というスケールで将来を見通す方向を持っている数少ない識者だからだ。 そのトッド氏の関連で、今日クーリエ・ジャポンの興味深い記事を読んだ。 それは、国際金融スジやシリコンバレー人脈に通じる人物で、ピーター・ティールという男だ。 記事の見出しを見るだけで察し得る通り、世界を人類という視点で捉え、かなりラディカルに物事を変えていこうとしている。 この記事からだ

追伸/「我々はどこから来て、今どこにいるのか?」(文芸春秋)エマニュエル・トッド著、堀茂樹訳 ”我々にとっての最重要課題=日本の人口減少について”

昨日記事にした、「我々はどこから来て、今どこにいるのか?」(文芸春秋)エマニュエル・トッド著、堀茂樹訳 だが、我々にとっての最も重要な課題が突きつけられている。 親日家トッド エマニュエル・トッドは、日本についての記述にかなりの紙数を費やしてくれている。真摯に日本のことを考えてくれているようだ。それは、これまでの彼がその発言によって、自分の国フランスをはじめとしたヨーロッパ、米国で大きな批判と非難にさらされていたとき、日本が彼の発言に理解を示してきたことが有るようである。

「我々はどこから来て、今どこにいるのか?」(文芸春秋)エマニュエル・トッド著、堀茂樹訳

もう読んだ人もいらっしゃると思いますが、エマニュエル・トッド氏の「我々はどこから来て、今どこにいるのか?」(文芸春秋)についてご紹介したい。 氏については、既に何度か本コラムでも紹介している。 例えば フランスの歴史人口学者・家族人類学者である、エマニュエル・トッドが、一般読者向けに、渾身の文明論を世界に発信した著作と言うべき書が、「我々はどこから来て、今どこにいるのか?」だと思う。 これまでも文春やその新書、ときにはPHP新書などでその文明諭や地政学所見を自らの家族人類