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お酒を飲んだ後に襲う、お腹の激痛~急性膵炎~

人が経験しうる痛みの中で最も痛いのはどんな時?
箪笥の角に小指をぶつけたとき?父親にげんこつ喰らったとき?それとも、失恋したとき?

痛みにもランキングがあり、『三大疼痛』としてよく引き合いに出されるのが「心筋梗塞」、「尿路結石」、そして「急性膵炎」である(※膵炎ではなく、「群発頭痛」や「くも膜下出血」などが入っていることもある)。

痛いものは避けたい。ということで、今回は急性膵炎の原因と治療、予防についてまとめていく。なお、予防→原因→治療の順になっており、「膵臓とはどんな臓器か?」といった内容は最後の方に記載してある。

膵炎の予防

膵炎を予防するためには、膵炎の原因を取り除けばよい。
膵炎の原因として、最も多いのがアルコールである。他に中性脂肪や外相、自己免疫、癌によるものなどがある。日々の生活で予防できるものとしては、アルコールと中性脂肪だろう。飲酒量が多い人は控えて、脂っこい食事を避ける。それだけで予防できる・・・。予防できるのは分かっているけれど・・・。実践は難しい。実際、膵炎の痛みを味わって、「もう二度とお酒は飲みません」と言って退院していった方でも、お酒を再び飲んで運ばれてくることがある。禁酒しなくても、ビールで言うなら、500ml缶1本までに抑えておくのがよいだろう。

治療

治療はご飯をやめてお腹を休める(=絶食)と点滴である。膵臓は膵液という強力な消化液を作る臓器である。その臓器に炎症が起きたのが「膵炎」であり、膵炎を一言で表すなら「体の中でひどい火傷を起こしている状態」である。ひどい火傷になると、血管から水分がもれてしまうため、重篤な脱水を起こすことがあるため、点滴で大量に水分を投与するのである。膵炎自体を治す、というよりは膵炎によって体の状態が悪化するのを防ぐための点滴、というわけだ。体の状態が悪くならなければ、膵炎は自然と良くなることが多い。

そもそも膵臓って?

膵臓は体の中心、やや背中側にある長細い臓器である。
主な役割は2つ。1つ目は「膵液」と呼ばれる消化液を分泌すること、もう1つは血糖値を下げるホルモン「インスリン」を分泌することである。

膵液は糖質を分解するアミラーゼ、たんぱく質を分解するトリプシン、脂肪を分解するリパーゼなどの消化酵素を含んでいる、非常に強い消化液である。この膵液により、自らの膵臓が消化されてしまった状態が急性膵炎である。

インスリンは糖尿病関連で聞いたことがある人も多いだろう。
人が持つホルモンには、血糖値を上げるホルモンと下げるホルモンとがある。上げるホルモンはいくつかあるが、下げるホルモンはこのインスリンしかなく、膵炎を繰り返すことで膵臓の機能が落ち、インスリンが十分に効かなくなると糖尿病になってしまう。



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