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肝臓の数値が高いと言われたら?

1. 肝臓の数値とは、何を見ているのか?

「肝臓の数値が高い」と言われても、何が悪いのかよく分からないのではないだろうか。具体的に見るべき数値は、①AST、②ALT、③ALP、④γ-GTP、⑤総ビリルビン(T-bil)の5つである。似ているものばかりで分かりにくいが、一つずつ解説していく。

1-1. ①AST、②ALT

これらは「肝逸脱酵素」と呼ばれ、肝臓の細胞が壊れた時に高くなる数値である。基本的に肝臓の数値が高いと言われた時には、この2つの数値が高いことが多い。

ではなぜ2つも測定するのか、と言うと病気によって上がりやすいものが異なるからである。②のALTは主に肝臓に存在するが、①のASTは肝臓以外にも、心臓や筋肉、赤血球など存在する。したがって、①のASTと②のALTが両方とも高い、もしくは②のALTのみが高い場合には肝臓に異常がある可能性が高い。一方、①のASTが圧倒的に高いような場合には、心筋梗塞や血液の病気など、肝臓以外に異常がある場合もある。ただし、お酒によって肝臓が障害を受けている場合には、①ASTが高くなることが多い。

1-2. ③ALP

肝臓、胆道、骨、腸に含まれる酵素で、これらに異常がある時に高くなる。

1-3. ④γ-GTP

たんぱく分解酵素の1種で、飲酒量が多い人や胆道と呼ばれる部位に異常がある時に高くなる。

1-4. ⑤総ビリルビン(T-Bil)

赤血球に含まれる色素成分で、肝臓で代謝された後に便として排出される。ビリルビンには、直接ビリルビン(D-Bil)と間接ビリルビン(I-Bil)があり、これらの合計が総ビリルビンである。肝臓や胆道と呼ばれる部位に異常があると、直接ビリルビンが高くなる。間接ビリルビンが高い場合は、血液疾患や体質など、肝臓以外に原因があることが多い。

2. 肝臓の数値が高くなる原因は?

肝臓の数値が高くなるのは、①ウイルスによるもの、②お酒によるもの、③脂肪沈着によるもの、④薬の副作用によるもの、⑤免疫によるもの、⑥癌によるもの、⑦結石によるもの、などが挙げられる。

この中で、自覚症状が出るものは、⑦結石によるもの、だけである。もちろん、癌などの他の病気であっても、病気が進行すれば症状が出現する。逆に言えば、進行しなければ自覚症状としては出にくく、沈黙の臓器と言われる由縁である。

したがって、症状があればもちろんだが、自覚症状がないからと言って放っておくのはオススメしない。

3. すぐに病院を受診した方がいい場合

まず、自覚症状がある場合が挙げられる。食後(特に脂っこい食事)にお腹が痛くなる場合には、胆石が原因のことがある。時間外であっても受診した方がいいのは、強い腹痛がある、腹痛とともに熱がある場合である。抗生物質による治療や、状態によっては手術などが必要になることもある。

自覚症状がない場合、時間外で受診した方がいいものは少ない。救急外来では精密検査ができないので、外来が開いている時間の受診が望ましい。

4. 病院を受診するときに、確認しておくこと

受診する前に確認しておいてほしいことは、①今飲んでいる薬(おくすり手帳があれば必ず持参する)、②家族に肝臓の病気の人がいるか、③今まで輸血をしたことがあるか、④今まで手術を受けたことがあるか、である。

薬に関して言うと、サプリメントやプロテインも肝臓に影響を及ぼすことがあるので、こちらも併せて伝えてほしい。

家族の病歴を確認するのは、肝炎ウイルスは母子感染するものがあり、免疫による肝臓の病気は遺伝が関係することもあるためである。

最後に、恥ずかしい気持ちはあると思うが、性風俗店などの頻回な利用があれば、申告してくれるとありがたい。



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