徒然物語84 消えたネギ一族

 なぜ、何度やっても消えてしまうんだ…
 
今日は豚バラ肉の炊き込みご飯。
 
研いだ米に、調味料と豚バラ。
 
それにアクセントのネギを加えて炊飯器に投入するだけでできる、お手軽で美味しいメニューだ。
 
しかし、我が家では最近不可思議な現象に見舞われている。
 
炊き終わった炊飯器を覗くと、ネギが消えているのだ。
 
はじめは入れ忘れを疑った。
 
しかし、忘れぬようにと投入を確認したにも関わらず、出来上がりを覗くと、やはり消えてしまっていた。
 
これはどういうことなんだ…
 
首筋を走る冷たい汗をぬぐった瞬間、私の脳裏にある仮説が浮かぶ。
 
まさか、炊飯器の中はワームホールで別空間と繋がっていて、ネギだけ転送されているとでもいうのかっ!?
 
…どうやら、私には真偽を確かめる使命があるようだ。
 
ありとあらゆるネギを試す必要がある。
 
1日目:先鋒“きざみネギ”。
 
パラパラと多めに投入…炊飯(ポチ)…炊けた!…どうだ!?
 
う~ん、ない!!次!
 
2日目:次鋒“タマネギ”!
 
味が染みるよう、薄めに切って投入!
 
どうだ!?
 
やはり、ない!
 
私の仮説がいよいよ現実味を帯びてくる。
 
そして、満を持して3日目:ネギ一族大将“長ネギ”の出番だ。
 
料理バサミでザクザク切って炊飯器へ投入する。
 
行って来い。
 
お前だけが最後の希望なんだ。
 
必ず帰って来いよ。
 
心の中でそう念じ、蓋を閉ざす。
 
振るえる指で、炊飯のボタンを押す。
 
(50分後)
 
さあ、どうだっ!?
 
ネギ一族の矜持を見せてくれ!
 

 

 
ない!
 
影も形も見当たらない。
 
いよいよ私の仮説が証明されたということか!?
 
 
… 

なに!?
 
炊飯で縮んだだけで、切る大きさの問題では、だと?
 

 
それを言っちゃあ…ね。
 
料理頑張ります。
 
テヘヘ。

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