父の命

 ステージ4の癌との闘病。
5月に、倒れた父は入院した。1年半、抗がん剤治療を頑張ってきた。
 一度も、抗がん剤の辛さの弱音や、イライラを見た事がない。主治医も、父の事を
我慢強い方で、治療を頑張られました と母に話たそう。

 治療も全部やり尽くして、緩和病棟に入院する予定。緩和=死ではないと 看護師さんが言われたそうだ。
 しかし、あとどれくらいでしょうか…との母の問いかけに

 1か月、長くて2か月。
もう痛みや倦怠感、色々なしんどさで、痩せ細った父、本当によく頑張っている。
 父は、寡黙で、優しく、照れ屋だ。
この1年半、母は明るく父に寄り添って、治療を頑張ってきた。
 私が、結婚して家を出る前、子どもの頃は、喧嘩の激しい父母で、心配していた。
 
入院する前、この数ヶ月、母は父と寝る前に10分くらい毎日色々な事をおしゃべりする時間を作って、昔の話や色々話をして来たそうだ。
 今になって、やっと夫婦らしくらいなったって。
 結婚して50年、色々あったけど、2人で支え合って頑張って来た。
 
 お父さん ありがとう
 お母さん ありがとう

 いつか別れの日が来ると、ぼんやりした気持ちと、その日が近い不安。

 鼻がツーンとして、涙がじんわり。そんな時が、日に何回かある。

 どうか父の命が、穏やかでありますように。痛みや辛さから少しでも、解放されますように。
 私には、そう願う事しか出来ない。

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