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Ep1. もしもジンとピンガが親子関係だったら【ジンピン親子if】【名探偵コナン妄想捏造小説】

登場人物紹介

コードネーム:ピンガ(まだピンガじゃない)
本名:アラン(勝手につけた)
 本作の主人公。1話時点で4歳。

イメージです。(自分で描いた)
母親似。アンナよりは金髪に近い。
まだ前髪があった頃。
というか目はもっと青いですよね(失敗した)
4歳児に見えない…(笑)

コードネーム:ジン
本名:不明(黒澤陣という名前は明かされている(おそらく偽名))
 黒の組織の構成員。

アンナ/オリジナルキャラ
 アランの母親。

イメージです。
茶髪のグレースって感じ。目はもっと青い。
20代半ば。


コードネーム:ラム
本名:不明

コードネーム:ベルモット
本名:シャロン・ヴィンヤード

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名探偵コナンの現在の世界線から20年前の話。


 茶髪の女性、アンナがある事務所を訪れた。彼女は幼い男の子を連れていた。彼女の表情は深刻で、何か重要な事情があるように思われた。

 アンナが事務所へと足を踏み入れようとすると、そこに立ちはだかるのは警備員だった。彼は厳しい表情でアンナを睨みつけ、その口からは冷たい声が漏れた。

「お名前は? ここにはどちらのご用件でしょうか?」

 アンナは深呼吸をして、落ち着いた口調で答えた。

「私はアンナ、ジンに用事があって来たの。」

 彼女の言葉に、警備員は微笑みを浮かべた。

「承知しました。お名前を確認させていただきます。」

 警備員は、無線機を手に取り、内部にいる構成員との間で数回のやり取りを行った。

 アンナはその間、周囲を見回し、事務所の入り口には厳重な警備が施されていることを確認する。そして、自分がここに来るまでに何度も考えたセキュリティー対策を再確認し、心の中で緊張を解きほぐしていた。

「お待たせしました。どうぞお上がりください。」

「ありがとう。助かるわ。さあ、アラン、行きましょう。」

 警備員の言葉に、アンナは一礼して事務所へと足を踏み入れた。

 事務所の扉を開けると、アンナを案内する女性スタッフが待っていた。彼女は丁寧に声をかけた。

「アンナ様、ジン様にお会いするためにお越しいただきましたね。お部屋にご案内します」
「ありがとう」

 アンナは礼儀正しく応じた。

「あ、この子は私の息子ですが、一緒にいても大丈夫でしょうか?」
「もちろんです。一緒にご案内します」

 女性スタッフは笑顔で答えた。

 会議室のような部屋に案内され、アンナは座席に腰を下ろした。しばらくすると、革靴の音が聞こえてきた。

ジンがやってきたのだ。


 アンナは久しぶりね、とジンを見る。

「何の用だ。ここはテメェのような一般人が出入りするようなところじゃねえ。」
「あなたにこの子を会わせにきたの。」

 アンナはそう言ってアランをジンの前に誘導した。ジンの前に連れ出されたアランは少し怖がっていた。

「…フン、ガキがなんだ。俺には関係ねぇ」
「あら。関係ないなんて、そんなことないわ。だってあなたの子供だもの。」

 ジンは、その言葉を聞くや否や、一瞬にして顔色を変え、手に握った拳銃を鮮やかにアンナに向けた。しかし、アンナは銃口が自分に向けられても、冷静さを保ち、どこか余裕のある態度を崩さなかった。

「おい、どういうことだ。」
「どうもこうもないでしょ。だって、6年前に私とあなたは一緒に夜を過ごしたじゃない。その時に出来た子。」

 ジンはその言葉を聞き、アランの方を振り向いた。

 銃口が母親に向けられているのを見て、アランはアンナの後ろに身を隠し、足元にしがみついていた。

「だったらなんだ。なぜ今さらここに来た。」
「本当は自分だけで頑張るつもりだったんだけど、もう限界…。あなたに頼るしかないって思ったの…」
「…」

「あと2年したらアランは小学校に上がるのよ。でも、お金が…」
「…金目当てならこのまま頭に風穴を空けるぞ…」
「それだけじゃないわ。この子の父親、未だに空欄なのよ。その意味、分かるわよね?」

 
 ジンは、その言葉を聞いた瞬間、若かりし日の出来事を思い出した。彼らが一夜を過ごした町でのことだった。

 若さゆえの軽率な行動だったのか、それとも他に何か事情があったのか。アンナとジンは一晩を共にした。

 二人はただ共に過ごしただけの関係であり、その後は特に何もなかった。しかしある日、アンナは妊娠していることが発覚した。彼女はジンを父親として籍を入れ、家庭を築くことを理想としていた。

 しかしアンナはジンの居場所を突き止められなかった。そこで彼女は籍を入れずに、未婚の母としてアランを出産した。

 それから時は過ぎ数年が経った頃、アンナはようやく、ジンが所属する黒の組織の居場所を突き止めることができたのだ。

「やっとあなたの居場所を見つけられたの。だからこれからは三人一緒に…」

 ジンはその言葉を聞いて向かいの壁に発砲した。

 アンナの胸ぐらを掴み、ふざけるなと言わんばかりの厳しい表情を浮かべた。その瞬間、足元に隠れていたアランは発砲音に驚き、思わず逃げ出した。
 身の危険を感じた彼は、会議室を出てしまった。

 外に出た彼は、金髪のロングヘアの女性、ベルモットに出くわした。アランは彼女に助けを求め、涙声で泣きついた。

「どうしたのボウヤ…」
「おかあさんが長い髪のおじさんにテッポウ向けられてる!!」

 ベルモットはそれを聞いて、発砲音のあった会議室へと向かった。

 会議室では両手を上げているアンナと、そのアンナに銃口を向けるジンの姿があった。

「ふざけるな、何故俺がテメェと籍を入れる必要がある」
「別にふざけてなんかいないわ」
「俺はもうテメェのことをなんとも思っちゃいねえ、なんなら今この場で殺してやってもいいぜ?俺にとっちゃテメェなんざ邪魔な存在でしかねーからな」
「たしかにそうね。まだ籍が入っていないんだもの、戸籍上はまだあの子の父親ではないわ。」

 ベルモットは会議室のドアの隙間からその様子を見ていた。アランは怖くて怯えており、そばにいるベルモットにしがみついていた。

「今テメェを殺して後でガキを見つけ出して殺してやるよ。そうすればテメェとガキは天国で一緒だろ?それでいいだろ俺には関係ねえ」
「あら、だったらそうしてくれる?私はあの子と一緒にいられるのならどこにいてもいいわ。本当はあなたも一緒がよかったんだけど。」
「フン…、残念だったな…。俺にはやることがある。まあ俺もそのうち死んで天国に行けば会えるだろうがな。せいぜい数十年、そっちで待ってるんだな。」
「…そうね、その時まで待ってるわ。」

 ジンはその言葉を聞くと拳銃の引き金にかけている指の力を強くした。

「…あばよ」

 その言葉の直後、また銃声が鳴り響き、人が倒れる音がした。

ドアの隙間からその様子を見ていたベルモットはそばにいるアランを抱き上げ、見ちゃダメ、とアランの視界を塞いだ。


「……」

 遺体となったアンナを見下ろし、ジンは少し後悔していた。

 アンナを殺したことを後悔している訳ではない。組織の事務所内で部外者を殺したことへの面倒臭さを感じていた。

 ジンは発砲音で誰かに気付かれていないか、それが心配で会議室の外に出てきた。そこにはアランを抱きしめたベルモットがいる。

 ちょうどその時、ラムも会議室のそばに駆けつけてきた。発砲音を聞きつけてきたのだろう。

「何です?銃声が聞こえたように思いますが…」

 会議室から出てきたジンは面倒な事になった、とその場にいるラムとベルモットを睨みつけた。

「ジン?一部会話を聞いちゃったんだけど、どういうことか説明してくれる?籍を入れるとか入れないとか、そういう話が聞こえたと思うんだけど。」
「おや、ジンにもそういうお相手がいると。めでたいことじゃありませんか。」

「めでてぇのはテメェらの頭の中の方だ。俺には関係ねえ。一夜の関係でガキを産んだあの女が悪い。」

 ジンはそう言うとベルモットに抱き抱えられているアランに銃口を向けた。

「おい、邪魔だどけ、俺はこのガキを殺る。」

 アランは目の前にいるベルモットにしがみついた。ベルモットも殺させまいとアランを抱きしめ庇う。

「ジン?あなた、この子を殺してどうするの?この子には何の罪もないわ。殺すべきじゃない…」
「その子供はあなたの隠し子ですか?それはいただけないですねぇ。」

「うるせぇ黙れ。隠し子だからこそコイツを殺る。」

 アランを庇うベルモットは顔色を一つも戻すことなくジンを睨みつけた。

「ダメよジン。この子は殺しちゃダメ。」
「先に天国に逝った母親の元に送ってやんねえといけねーからな。」
「だったらなおさら今ここで殺るのはダメね。これ以上野次馬が増えたらあなたはどう言い訳するの?隠し子の存在なんて知られたくないでしょ。」
「…ッチ…」

 組織の構成員なんて面倒臭い連中ばかりだ。隠し子の存在が知られたら自分の立ち位置も悪くなる。
 ジンはベルモットのその言葉に納得したのか、舌打ちをし、アランに向けている拳銃を下ろした。

 その姿にラムもほっとしていた。

「フン…、面倒な事になったな…。そのガキはどこか孤児院にでも預けてやれ。」

「あら、優しいのね。」

 ジンはそう言うとその場から立ち去った。

「ボク、もう大丈夫よ。顔を上げてごらんなさい。」

 ベルモットはジンの姿が見えなくなったのを確認すると、アランにそう呼びかけた。
 アランはベルモットのその言葉を聞き顔を上げた。

「…おねえさん、ありがとう。」
「あら、おねえさんだなんて嬉しい。」
「ねえ、おかあさんは?どこにいるの?」

 その質問に答えるのに二人は戸惑ったが、先に口を開いたのはラムだった。

「…おかあさんはね、いなくなってしまったんですよ…。」

 アランはそれを聞いて顔を青くした。
 ただ”いなくなった”と聞いただけだが、アランはもう会えないのではないか、そう思ったからだ。

「なんで、おかあさんさっきまでいたじゃん!!あの長い髪の人のせいなの!?テッポウ向けられてたからなの!?」

 声を荒げて騒ぐアランをあやすように、ベルモットは彼を優しく撫でた。

「need not to know...今は知る必要はないわ。」

 彼女はそう言ってアランを説得した。まだ真実を知るには早すぎると判断したためだ。

「ジンが連れてきたお土産として、我々で彼を育てるしかないですね。孤児院に預けると、我々の情報が漏れてしまう可能性がありますからね…。」 
「そうね...」

 ベルモットはアランを抱き上げ、安全な場所に連れて行った。

 そして、アランは組織の一員として育てられることになったのだった。


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