二次創作小説 佐野晶哉主演 『ヘビ系男子の大型犬』 Ep6. 少しずつ
あれから宅見はなんとかLINEで話を進め、花梨とデートに行くところまでは漕ぎ着けた。
…と、LINEでも年上感を見せつけられながら話を進め、普通に大きな街でショッピングデートに行くことにした。
同じマンションなのでわざわざ待ち合わせることはない。むしろ、花梨の部屋の前まで宅見が迎えに行った為、花梨は焦っていた。
渋谷に着くと坂を登り109に着いた。
「花梨さん、手、繋ぎませんか??」
「は???」
「せっかく2人でショッピングデートなんですし、渋谷は人多いですもんね。はぐれないように!」
「嫌、もう東京の人混みなんて慣れてるし。」
宅見は手を繋ぎたくて声をかけたが断られてしまった。まあ、まだデートは始まったばかりだ。心を許してくれる頃に繋いでくれればいいか、と宅見は断られたことはそこまで気にとめなかった。
エスカレーターではお先にどうぞ、と、花梨をエスコートし、宅見は一つ後ろの段に乗った。
「花梨さん、こっち向いてぇ」
20センチ以上ある身長差で普段はなかなか目線の合わない2人。背の高い宅見が下の段にいることによってようやく2人の目線が合う時がきた、と宅見はエスカレーターに乗ることを楽しみにしていた。
花梨は、さすがに素直に後ろを向いてやるか、と思い、後ろを向いて宅見のことを見上げた。
そう、花梨はまだ宅見のことを見上げていた。一段だけでは2人の身長差は埋まらなかった。
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