ステラおばさんじゃねーよっ‼️95.祝宴の顛末〜ポテトラビオリ
👆ステラおばさんじゃねーよっ‼️94.アイマスクの恋 は、こちら。
🍪 超・救急車
「萌さ〜ん、呼ばれてますよ♡」
カイワレの部屋の扉を両手指でさし、小声で歩は萌を茶化す。
「寝言…でしょうか?」
とぼけたふりをしてみたが、すでに萌の顔と耳は真っ赤になっている。
恥ずかしすぎて、はるか遠くへ逃げだしたかった。
けれど手は休めず、適量のドライバジル粉末をマッシュポテトに混ぜ込み、丸めだした。
大きな四角のパスタ生地を一口サイズの四角に切り分けるさまは、萌の一所懸命で几帳面な性格がにじみ、好感がもてる。
たい兄の好みって、小動物系の眼鏡っ娘(こ)だったんだぁ!
ニヤニヤしながらも同時にさびしさが去来し、複雑な気持になる歩。
「皆さん、持ち場の準備はどうですか?」
瞬時に気持を切り替え、小声で歩が訊ねると若森が真っ先に応える。
「ボス!飾りつけは、準備完了です!」
歩は、OKサインを送った。
「こちら料理班、飾りつけ班どうぞ〜」
トランシーバーでやり取りするジェスチャーで、歩は若森に応答を促す。
「え、えー、はい。こちら飾りつけ班どうぞ〜」
若森が応えると、歩は続ける。
「こちら、順調に準備が進み最終局面へ突入。あとはラビオリ完成後にそれを茹で自家製ミートソースをかけたらミッション完了だ!」
「YES,sir!Wish you good Luck⭐︎」
「ラジャー!」
ふたりはノリノリの小声で指令を応答し合い、進捗状況を面白おかしく確認した。
ラビオリ用の自家製ミートソース鍋に火をかけ塩と胡椒で最後の味を整えた知波は、ふたりのやりとりにクスリと笑い、眺めた。
均等にカットしたラビオリに、丸めたじゃがいもを中央に置き、切り分けたもう一枚のラビオリを上から重ねると、萌はフォークの先を器用に使い黙々と四隅を閉じた。
本当はカイワレの部屋から自分の名前を呼ばれたのが、気が気でない萌。
カイワレさん…何が違うの?!【もえ】って、わたしだよね?
けれど真面目な性格の萌は、
ダメダメ…今はポテトラビオリを仕上げるのに、集中しなきゃ!
頭を振って邪念を振り払おうとし、手先に神経を集め、カイワレへの恋心をポテトラビオリに閉じ込めた。
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