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有志4校によるプレコンサート〜にこにこいっぱいの世界〜


書き手の私が、現在ハマりにハマって沼におち、学生時代ぶりに創作にまで手を出し、さらには当時よりもガチに踏み込んでいる作品、

『ウインドボーイズ!』
青春群像劇のような吹奏楽×金沢を舞台にした物語で、赴任したばかりの先生として、指揮者として吹奏楽部を学生たちを見守っていく作品です。仔細は、省略いたしますがこちらのゲーム、間にコロナ禍が入ってしまって当初の発表の予定か大きく狂ってしまったようで、
この作品のプロデューサーさんがすでに言葉にしているのですが、

『先生として青春を見届けてもらえる物語です。 物語は爽やかで王道のど真ん中、あらゆるところに前向きさを感じてもらえるような表現を意識しています。コロナ禍で大変な情勢ですので少しでも青春を感じていただけたり、彼らの頑張りをみて、明日の糧になれるように寄り添えたらうれしいなと思っています。』(一部引用させていただきました)

そんななか、この高校の吹奏楽部。様々な事情があり、現在活動が無期限の休止。がんばって練習してきた生徒たちはとつぜんの理不尽な、大人の取り上げに困惑や絶望、悔しさ、やりきれない思いを抱えています。
新年度になり、一年生が入ると彼らが「吹奏楽がやりたい!」「部活がやりたい!」と声をあげて部活の再建に奔走する姿を、私たちは先生として応援し見守っていく、そんなゲームです。
コロナ禍での事情ということもあり、とりあげられたやりようのない学生の想いというのもリアルに表現されていて、それもこのゲームのストーリーに心を奪われるかたが多い理由のひとつなのかもしれません。とにかく先生…私達にとって学生たちがあまりに眩しくてまっすぐで直視が出来ないほどに光り輝いているのです。

さて、その作品を創作する中で、SNS上のご縁で結ばれて知り合ったフォロワーさんから、書き手の地元で近くコンサートがあると情報を聞き(又お子さんがそのコンサートに出られるということも)、
今日、人生はじめての吹奏楽のコンサートに行ってきました。
吹奏楽。いえ、そもそもにコンサートチケットの入手など細かなことを存じない私は前日にコンサートホールさんに電話をして色んな質問をしてしまいました。
当日も、早めにチケット売り場に行って右も左もわからずに、事務所に訪れ職員さんに直接質問。その中で会った他の購入希望者さんとも意見交換。ひとりの不安が、そこで和らぎ安心に。
………実はこのお話、事実しか書いていないのですが、少しだけ私の思ったことを省いています。お話をする皆さん、どこか情報がぼんやりとしていて不安げなのです。
前日に電話をして、当日チケットの話を出したときも明日のことのはずなのに職員さんは動揺して「ちょっと待ってくださいね」と、保留になったり。
当日に伺った事務所で別の職員さんにも、チケットの買い方や待ち方。並び方等を尋ねるととてもざっくりとされていて。同じくチケットを買いに来られた方も、「朝に電話したんだけど、よく的を得られなくて」と不安げな様子。
コンサートのチケットというものは、私が詳しくないだけで、こういうふわっとしたものなのだろうか?もう少し、今まで数少ないながらも手にしてきたチケットというものは、しっかり内容がわかったはずなんだけれど…と私はそれらを不思議に思っていました。

それでもチケットは無事入手。なんだかその時も購入の仕方も、係員さんの感じも遊園地の乗り物のような感じで若干の軽さに驚きつつも開場の時刻まで、いちど自宅に帰りのんびり。

開場の数十分間前に、現地につくと
まるで夢の国の開園待ちのようで、おうおうとなりながら、列が流れ出してから私達(父親を連行)も入場。
県外ナンバーの車両がたくさんあって驚いたのと同時に、参加校ではない生徒さんの団体をたくさんいらっしゃいました。学生さんの制服や鞄を見ていると色んな学校から来られているのがわかりました。明日の演奏会に出る学生さんたちかなと思いながら入場。

ちょっと、前の方だとドキドキでおかしくなりそうなので、後ろめの席を選択して、のんびり開演を待ちます。優踏生の美男美女な見た目の男女2人が仲睦まじげに話しているのを見て、デートでコンサートだなんて素敵だなと、マスクしてるのをいいことに口元をにやにやとさせていると、銀の指輪に紐を通し首からかけたり、全身ジャージ姿で俯いていた若い男性の二人組が席を替えようと会話していることを聞かないふりをしつつ。
待ちに待った、はじめての吹奏楽コンサートの開演です。

まずはトップバッターの聖星高校先生の挨拶があり、一曲目の演奏を終えたというところで、その聖星高校の先生が、指揮の最後ジャンプをしたんです。それが、ピョンっと軽いものではなくて、思い切りマットで前転をするくらいのもので。

大の大人のそういう姿を見るのは初めてで、すこし驚きました。いえ、吹奏楽自体詳しくないので気持ちが入ると熱くなるタイプの指揮者の先生はこうなるのだろうか?と思いつつも、私はそれが、印象に深く残りました。

渾身のジャンプの理由はすぐにわかることになります、今回の浜松で行われたプレコンサートは交友関係のある先生同士が前々から「やりたいね」とお話をして企画していたものだったそうです。

でもちょうどコロナ禍と重なってしまい、その話どころか先生同士も言葉を交わす交流がなくなってしまい、全国大会の会場で会ったときに、会釈をする程度。色んな形での練習やイベントがことごとく中止、駄目、待ったが出て先生がたもすごく悔しい思いをしていたというのが会話から伝わってきました。

と、いうのもこのコンサート。
司会が各学校の指揮者の先生のバトン型でして(笑)はじめての試みの、即席で作った準備とかもない、色々予想外なこともあったコンサートなようで。
最初のトップバッターの聖星高校のみなさんが登壇してから
「ごめん、ちょっと…入り早いや……もう一回やってもらってもいい?戻って」とそこの先生が口にされたときには観客席の心を掴むジョークのつもりかなぁと思っていたのですが、生徒さんたち本当に舞台袖に帰ってしまいまして、私は驚きました。
「こんな風に、すごく不慣れで、みんな手探りです」と。そのかわりにあたたかさが本当によく伝わるコンサートだったと思います。
先生達が、後ろで生徒さんが楽器などを搬入してる間、雑談するのですが、もう本当に嬉しそうで。こうやってお話をする機会が本当になかったのだと、すぐに察しました。その嬉しさのせいか話は結構、内輪ネタな雑談ノリだったのも、まあ喜びが溢れた結果でしょう。

渾身のジャンプが飛び出した事情を、裏話にしておくには惜しすぎる、各学校の先生たちの想いがあったのだと思うと、それを目にした人間としてどこかに記しておかねばという義務感に駆られました。

そしてどの先生も、バトンが渡されてマイクを手にするときに口にするのです。「うちの生徒たちにコンサートの機会を与えてくれて、ありがとう。生徒たちは、みんな本当に楽しみにしていたんですよ」と。それはもう嬉しそうにそれぞれの先生が口にしました。先生たちが音楽を、吹奏楽が好きで。思うように演奏の場を提供してあげられない生徒たちのことをどういう目で見つめていたのか、そこで私はすこしだけ教えていただいた気持ちになりました。

急速に脱コロナが進む、今ならあのとき企画した話を突貫で進められるのでは!?どうやらそういう裏事情もあったようで。私はそこであらためて、ここに来るまで色んな場所で感じた「曖昧さ」が理解できました。みなさん初めてで、急速に進めたお話だから戸惑っていたのですね。
そしてそんな勢いで作った演奏会なので、時間の都合で参加できない高校もありつつも、快く応じてくれた4校。それが今回の4校で。
どうやらお客さん、各界隈への告知色んなものが、後手後手で不慣れだったのでしょう。その中で予想外にお客さんが来てくれたことも、快く同好の先生方で、この念願だったコンサートをようやく作れたこと。
それが本当に、嬉しかったのでしょう。その気持ちが、あのジャンプに私は溢れていたのだと思いました。たくさん団体で来られていた学校も、時間の都合で参加は出来ないけれど、聞きに行くという、先生方の語られていないドラマがあるのだろうなぁと思います。
すべてがそういうあたたかさで満ちていたからでしょう。会場も、各学校の生徒さんも先生も。みんなの笑顔が眩しかったです。
観客席に座っていたとき、関係者の姿がとても多い気がしました。カメラマンさんや進行の案内係さん、駐車場の誘導係さん(一部学生さんが混じってた気がする)達が、学校関係者さんと挨拶を交わしたり談笑する姿がとても目に入りました。これもきっと支援者の大人たちの輪なのでしょうね。

そんななか、どの学校の生徒さんも、ピカピカに輝いていました。
楽器も眩しいほどに光り輝いていて。あんなに管楽器を目にするのは、はじめての経験だったので、金メッキ銀メッキそれぞれの楽器はあんなに眩しいものなのかと驚いたと同時に、はじまった当初は聴いていられるか不安にもなりました。

それは音が大きいのもあるけど、最初の音を聴いた瞬間、感動で、自分の体が、喉が震えているのが分かったからです。
昔からすぐに音を聴くと、音に気持ちが乗って、自分でも不思議なのですが震えたり、涙が出たり、胸が苦しくなるのですが、はじめからそれではコンサートのあいだ大丈夫かと、自分の身体の反応に戸惑いながらも、ノイズキャンセリングイヤホンなど、刺激を少し減らすことで対応出来ました。
それでも初っ端楽器の音を聴いて、ブルブルと震え自分の目に涙が浮かんだことを理解しつつなんとか堪えました。

どの高校さんも、会場を盛り上げようと素敵な演出をたくさん作ってくれていました。その作業も、それぞれの学校が楽しんで出来ていたら嬉しいなぁと思いをはせ。
ピカピカの楽器達と学生さんたちを見つめていた時に、フォロワーさんが、お子さんのお話を前日にしてくださった時に、その子が今回のコンサートをとても楽しみにしていて楽器を一生懸命磨いて、ピカピカにしていたとのお話を聞いたのを思い出し、
にっこにこで演奏してくれる各校(詳しくないですがそれぞれが80人編成だったのではないでしょうか、とにかく大所帯)の、どの生徒さんも楽器がピカピカなのを見て、私はそれだけでなんだか愛しくて可愛くて嬉しくて、ひとりひとりに感謝したくなりましたし、

今回のコンサートの経緯や手作り感を見て、
ウワー自分はなんて貴重で素敵な、学生さんの時間を見せてもらっているんだろうって胸がいっぱいになりました。駅からこのホール(結構遠い)まで二往復した話が出たときに、親が隣でぼそっとチューバとコントラバスの子を見て重かったろうなぁと呟いていたので、多分ずっとは持っていないかなとは思いつつ(笑)。それぞれの学校が盛り上げようと、観客を楽しませてくれようとエンターティナーになってくれていました。
個人的に、聖星さんで格好いいと思ってた男子生徒さんのサックスソロを見たときは色気に驚きましたし、あの、近くに座ってたら人間がだめになってしまうと思いました、ええ。

とても凛々しく、気高い。山の頂上まで届くようなトランペットの音を出す子。思わず優しい音色で微睡んじゃうようなクラリネットの音や、暑くてしんどいときに、ひとくちスーッと頭の先からつま先まで涼しい風が通り抜けるような綺麗なフルート。耳にいちばん心地良くて、まるで声のようだなぁと私が安心していた音はトロンボーンだと気づいたり、不思議な音や綺麗な音、可愛い音や、全体に味わいを感じて視線を動かすとちょこちょこと移動しながら色んな音を出しているパーカッション。耳にすうっと聞き馴染みよく入ってくるホルン、ピカピカのホルン、かたつむりには見えなかったけど、丸くて可愛かったです。雷のゴロゴロが好きな私にとって、子守唄のようなチューバ。
ウインボをやりながらも、それぞれの楽器の違いがあまり分からなかった私でも、それぞれの音の綺麗さ楽しさ個性がどの高校の演奏でもほんっとに詰まっていました。

私と同じく楽器についてど素人の父親が、
トランペットは花形って聞くの分かった気がするって言うと大きく頷き、サックスは色気担当って呟くと大きく頷いてました、わからないなりの感想ってあってもいいのだと思いました。
どの高校のさんも、やっぱり春が似合うのだけど、せっかくの4校なのですこし四季で感想を。

聖星高校さんは全体を通してすごくノリがいい、天使にラブソングを思い出しちゃうような最初のつかみの良さ。とても気安くて、なんだか過ごしやすい夏の穏やかな陽気のようで。
油断してるとすごい色気ダイナマイトが襲ってきたり、楽しい乱入者がいる。夏のお祭りみたい。ひと夏の爪痕はしっかりくれる、ロケット花火を所持していた。

大阪仰星さんは優しい秋。
聴きながら何度も一緒に考えごとしたり作業したいって思った。なにわの明るさが、どこかはんなりとしてて優しく寄り添ってくれる感じかして、それからもう秋が終わっちゃう冬だ…ってすこししょんぼりしてたら最後の曲ですごく励ましてくれる。手作り満載の可愛い大阪弁のメッセージつきで、しょんぼりしてたこと自体をお得にさせてくれる。

柏高校さんは冬。チョコが似合う冬。
ビターで大人な風味も、甘くてとろけるような味までもお手の物。なんというか、冬というものの要素を全て逆手にとって、上手く己達の演出に使っちゃうプロのキャストみがすごかった。あと男女のダンスを披露してくれたのですが、男の子によって女の子のリードが紳士的な子と少年的な子、手慣れた感がある子とかわかれていて、なんかもうクリスマスの家族で樂しむ冬からバレンタインの甘い感じまでこれでもかと旨みを見せつけられました。

最後は伊奈学園さん。圧倒的春。
曲が明るい春のものが多かった影響もあるかもしれないけれど、とにかくフレッシュ!そしていちばんピュアに「楽しいっ!!」って感情が伝わってきて、高校生というピュアな眩しさ、瑞々しさが4校の中ではいちばんあって、だからトリにしたのかなと思えた。春になって生き物が冬眠から目覚めたくなるような新学期の胸の高鳴りをおすそ分けしてくれた。
父親も「楽しそうにやってたなぁ、ほんと」と呟いていた。

ひとりひとりの学生さん、先生がたが主役で、
観客の私も父親も注目してしまった人が違った。
きっとそれぞれ瞳に映った主役がいるのだと思う。

みんなが主役で楽しそうで、生徒さんたちからも、先生たちからも
あらためて樂しむ。そして高みを目指していくためのひとつのバトンをもらった気持ち。
自分の、心が感化されたことがわかって、とても嬉しい気持ちでいっぱいです。
ウインボを知ったこと、ハマって、創作に挑戦して、その中で仲良くできた今回のフォロワーさんとの出会いと交流。
それはゲーム内で、ミナトのトランペットの音によって生まれて導かれたストーリーのように、この現実までも眩しさとドキドキしたいっぱいの気持ちを、ウインボが運んできてくれたと思えてならない私なのでした。

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