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WAISETU

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あなたの美しい毎日に泥を
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夜行路

夜行路

目が覚めたら、あたりは暗い。
机のはるか上でひかる蛍光灯はあってないようなもので体は外へ行きたいと言う。
素直に立ち、足を運ぶ。
扉を開けると足元には琴線が一筋走って、向こうはすごくすごく暗い。
きっとこの先には何もなく、私も同じように何もなくなる。
意識は薄れ、体は消える。
うすらうすらした記憶はその闇にはじけ、やがていろんなことを知る。
どこへ行こうとも何をしようとも全ては夢見心地でない口が笑

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Sugar  Body

Sugar Body

この包まれてる時が私の至福だ。どこかへ行こうと試みてもいつも頭の中だけで、結局冷蔵庫の中に残ったアイスキャンディーを惰性で舐めてしまう。ラジオが今日の天気を陽気に話す。北の方は雨らしいのだが他は基本的に晴れで、窓の外をみると青い空が一面に広がっている。きっと自分と同い年の若者は今頃幸楽に勤しんでいるんだろう。南の小島に集まってエメラルドの海に全身を染めて肌をこんがりと焼き、夜にその土地にしかない珍

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ヱンドレスゲ一ム

ヱンドレスゲ一ム

今時のゲームはすごい。オープンマップといって簡単に言うと自分、主人公が見える範疇はどこまでもいけるシステムである。最近の時代的に自分で思考し、行動することに重きを置いていることを考えるとぴったりなような気がする。でも私はどちらかというと一昔前のゲームの方がいいと思っている。どこまでも行動ができるということは自分で制限をかける必要があり、それが少し面倒に感じてしまうからだ。またゲームの世界が現実と近

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レヴェリー

レヴェリー

私はどうやら迷子になったらしい。小一時間このあてのない荒野をひたすらに歩いてもうヘトヘトだ。にしても不思議だ。いつこの土地に足を踏み入れたのか、わからないままだ。我が未知を切り開く為にこうして歩いているのだけれど、その足元は私を立ち入らせようともしない。枯れた草花は体を分散させて逃げてしまう。湧き出した水がだんだんと広がっていくようだ。月光が大地に落ちると寂しげにひかる。そんな情景をもう私は見飽き

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大西洋より

大西洋より

アルバは遠くを見ている。見ているのは遠方の漁船だ。海の強い風を受けて膨らんだ帆が黒く大きく見えるに違いない。彼の指先に水面が当たりだんだんと入り込んでいく。それを嫌がることは当然ないし、そこに違和感を覚えもしない。血液のように巡る。体の芯が青くなる。目の奥に水面があるかのように光る。美しいと皆思うに違いない。

昨夜は珍しくこの海が荒れた。海沿いに生えていたシュロの木が少し痩せ、水面の先にはど

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嚥下

嚥下

果物が熟れていく様は男のオナニーのようだ。
初めは磨くと光ったリンゴがしばらくすると二度と同じようには光ってくれない。傷ついたバナナの皮は燃えて消えていく紙のように黒くなってしまう。年老いて枯れ死んでいく老婆のようにみかんの皮は柔く、不安な触り心地に変わっていることに嫌悪感を抱くことは冬の恒例行事だ。
今朝、朝食に並んだおかずの中にはソーセージが2つ添えられていた。私はそれをいつものように迷わず口

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日本海でまた会いましょう。

日本海でまた会いましょう。

「灰色に濁った海、代わり映えしないな。」

この町には一際目立ったものがない。というか何もない町だ。昔何か注目を集めた名残が今の腐った街並みの基盤を担っている。平日の朝には大都市が若者を吸い取って、日が暮れると駅から何者でもないカスが町いっぱいにそまる。ベットタウンというよりもシンクの生ゴミ入れって言ったほうが正しい。それが母の実家だ。
私は正月になるといつも防波堤にきて、海と空を見る。ごま色

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ただ映画を見て面白かった話

ただ映画を見て面白かった話

久しぶりに映画を見た。
「パーフェクトブルー」今は亡き今敏監督の映画だ。彼の映画は毎度そのカットの滑らかさが魅力で毎度感心してしまう。
今回もとても魅力的な世界観でかつ今敏が作ったんだと言えるような映画だった。同じパースの場面転換。幻想と現実の混合。時間の変異。全てがあまりに滑らかであった。
最近よく平沢進の「夢の島思念公園」聞いてるのだけれど、2番あたりからラスサビに入る間の音のバグみたいなもの

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ただの言い訳もいいとこで。

ただの言い訳もいいとこで。

国語の問題はおかしい。なぜならそれは文学作品という読者の娯楽であるからだ。
よく文章題でこの人の気持ちを答えてくださいというものがあるが、そんなものわかるのはちゃんちゃらおかしく、笑ってしまう。例えば彼女に振られた主人公が泣いているシーンを見てどう思うかと聞かれた時、大半は別れたという悲しみというのが正解だとなるとしよう。しかし彼が「悲しみ」という言葉一つで終わらせられる感情にあるとは思えない。彼

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よそごと

よそごと

やたらと時間を無駄にするのが上手になった。日が暮れて、家族と机の上に置かれた料理を囲んで食べたあと、すぐさま僕は僕はベットに倒れて天井を見つめる。白一色のはずの天井は今日はなぜか虹色に見えて…なんてこともなくただひたすらに白く、そしてこの部屋の孤立感をまじまじと感じて虚しくなる。
最近は日本酒をカルピスと水で割ってクッと飲むのが実にうまい。端的にいうとカルピスの味しかしない酔える飲み物である。初め

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今回の展示について

今回の展示について

展示に来てくれた皆様、ありがとうございました。多くの人と会話でき、楽しかったです。

最近作品作っても鑑賞する人の少なさにマンネリ化みたいなものがあって、そこから自然と自分の孤立みたいなものがすごく起こり始めている気がしていました。さらに孤立からより自分は自分でという謎の自立感がより立場を色濃くさせているなとも思っていました。しかし今回の展示で多くの先輩方にもっと連絡して、力になるからと言っていた

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逃げの徹夜の愚痴話。

逃げの徹夜の愚痴話。

夏の終わりにしてはやけに涼しく気持ちが悪い。窓の外からは秋風めいた寒さが肌を、昔覚えて忘れた虫の鳴き声が耳を、そこなく悲しくなるやめが目を。やけに眠たいのはこの前の寝不足のつけがまわってきたみたいである。にしても最近、あまりぱっとしやしない。というのも生活感があまりにもないことがすごく自分を悩ましている。来月の終わりにグループ展があり、私はかなり大きさのあるものを作らなくてはいなないのだが、そのア

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読み終わってない本を読んだ話

読み終わってない本を読んだ話

絵があまりかけなさすぎるせいで時間が刻々と無駄に減っていくことが怖くなって、読みかけだった本を読んだ。すごく面白かった。なんか何を持って描くのかということを改めて考えさせられた。最近、手を機械的に動かして絵を描く自分が死ぬほど嫌いだった。この手から生み出されるものがいかに無駄なのか。いかに無意味なのか。周りの人は褒めてくれたりもするけど、自分自身がそのことを真っ直ぐに飲み込めないのは一番そういうこ

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ogni giorno

ogni giorno

最近、長雨がやたらと続いている。低気圧のせいなのか、体の中で液体が浮いたり、沈んだりを繰り返してあまりに調子が悪くって嫌になってきた。こうなってしまうと寝不足になってしまうのは自分の体質なんだろう。ここ数日、寝ることがあまりに億劫で、すぐにねれずじまいである。

今日もまたこうしてねれない。とりあえず動画なんかをみて過ごしてみるが、むしろ眠気は何処へやらといったところで時間が無駄に過ぎていく。そ

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