CoDプロ対抗戦SPRINGシーズン開幕戦、感想雑記

 今期のCoDBOCWプロ対抗戦が始まった。CWLという世界大会のプロリーグはすでに始まっており、激戦を見るために毎日朝まで起きている日本のファンも多いことだろう。ちなみに僕はOpticのファンなので、今期のHPの圧倒的強さは素直に嬉しい。あとはS&D頼むという感じだ。

 さて、プロ対抗戦は日本でのCWLみたいなものにあたる。プロ6チームが春と夏の2シーズンで総額1000万円の賞金を巡ってHP、S&D、CTの3ルールをBO5形式で戦っていく(詳しくは公式)。このリーグでは勝ったルール数がポイントとなるため、結果的に負けても一つでも多くのルールで勝っておくことが重要になる。たとえば、3-0で負けると獲得できるのは0ポイントだが、3-2で負けると2ポイント獲得できるといった具合だ。格上のチームが相手だったとしても、得意ルールで1勝だけでもしておくと、後半のレースに響いてくるだろう。

 出場6チームは、国内大会9連覇中のLV、BOCWになってからの成績では大本命のCAG、ロスター変更を経てメキメキ伸びてきているRUSH、APAC大会などで安定感のあるREJECT、復活の古豪SCARZ、新生FAV、である。

 前評判としてはこの紹介順でそのまま2チームずつTier1~3という感じだ。直近の大会ではRUSHの好調やLVの不調が目立っていたが、それがどう影響するかも注目所だった。

 また、Vtuberの獅白ぼたんさんがスペシャルゲストを務めるなど、新しい層にもリーチすることを狙った仕掛けがあったように思う。実際、それ目当ての視聴者もいたのではないだろうか。自身も普段BOCWをプレイをするぼたんさんはかなりしっかりゲームを見ており、大会を楽しみつつ冷静なコメントをしていたように思う。実況解説の2人が聞きづらい選手の思考についての質問などもありがたかった。MCの荒木美鈴さんも大変巧みな進行でストレスなく見れて素晴らしかった。実況解説の鈴木ノリアキさん、K4senさんのお二人はいつも通り、安心感安定感に溢れていて、漫才のようなテンポの良いかけあいも楽しく聴かせてもらった。


大会全体の印象

 さて、大会自体はどうだったかというと、一言でいえば開幕戦ながらレベルの高い大会だったと思う。

 僕のCoD歴を話しておくと、WAWとMWは動画で見ており、自身はMWⅡからプレイしている。eスポーツ的なものに関しては、プロシーンができる前からずっと追ってはきている。その僕から見て、今作の日本勢のレベルは過去最高になっていると思う。特に戦術面では海外の戦い方も上手く取り入れており、もはや昔の「個人のパワーでなんか勝つ」は不可能になっている。さらに、個々の選手たちの力も世界レベルに近づいてきていると感じる。また、Sirius、mokeなどの若き新メンバーたちの躍動もシーンの明るい未来を感じることのできるポイントだと思う。

 今の日本勢なら、APACの大会を見ている限り、アカデミーなどの2ndチームとならけっこういい勝負できるんじゃなかろうか。CWLのトッププロたちとやって勝つのはまだ厳しかろうが、もしかしたら1ルールくらい取れるかもしれない。それくらい、レベルが上がってきている。あと5年もしたら、CWLのトッププロにも比肩するチームが出てきたっておかしくない。


チームごとの印象

 ふたを開けてみれば、おおむねTier通りの結果だったと言えるのではないだろうか。

 LVは連携面もさることながら、やや不安定だった個人技の面もきっちり完成させてきており、隙のないチームに仕上がっていた。特にHPとCTの美しさはもはや芸術だった。大会の鬼、さすが9連覇。絶対王者は伊達じゃない。

 CAGは下馬評通りではあったが、選手の顔を見ると緊張があまりなく、全チームで最も「本番に強い」という印象を受けた。日本勢で僕の好きなeスポ選手がグリードさん(今はストリーマー)とNgtさんとxAxSyさんなのだけど、今作のNgtさんは過去作と比べても仕上がっている感じがすごい。位置取り、状況判断、撃ち合い、どれをとってもすさまじい。よく彼がCWLを見ている放送を見に行っているのだけど、そこでいじるFormal先生やArcityたちに匹敵しそうな素晴らしいメインARの働きをしている。特にvs REJECT戦はしびれた。Ngtゲー。今日のCAGはこの言葉に尽きる。

 RUSHは新メンバーとのフィットや戦術は上位2チームに引けを取らない印象だったが、4人そろってから本番まで日が浅かったためか「あと一歩の局面で勝っていく力」が不足していたように思う。6チーム中最強の圧力を持つCAG戦でのHPやCTではそれが顕著で、押された際の重要な局面であと一歩耐えや押しができなかった感じがした。とはいえ、勝てる相手にはしっかり勝てていたし、修正も早く、戦術面ではむしろトップといえるレベルの高さを見せていたのも事実である。

 今後の課題としてはメンタル的な安定感と、vs FAVのHPで見せたような「地点を取り切る」「勝勢の時は押していく」という積極性が重要であると思う。チームとしてはまだ経験が浅いのに上位2チームに迫っていることから、今日の3戦をいい方向に生かせれば全チーム中で一番伸びしろがあるのはRUSHではないだろうか。

 SCARZは全ゲーム負けこそしたが、点差以上にどのゲーム内容にも可能性を感じた。特にS&DとCTはけっこう惜しい所まで行ってたシーンも多かった。HPはまだ日が浅いから仕方ないとも思ったが、撃ち合いの強さを生かすシーンもあったので今後に十分期待できる。

 同様に、FAVも爆発力を秘めている印象だった。良い内容のS&Dで1ポイント取れたのも大きい。どのルールも基本はもうできているので、後は得意な形に持っていければ"勝てる"チームになると思う。S&DなどでのLuke選手の牽引もさすがだった。BO4シーズンでのパフォーマンスにしびれた記憶がよみがえってくるシーンもあった。交流戦を重ねて連携面/戦術面を強化した姿が楽しみである。

 REJECTは他のチームに比べて一歩で遅れてしまった印象だ。点数的にはFAVやSZと近いが、内容的には一番きつかったのではないだろうか。撃ち合いでは負けていなかったが、チームとしてはやりたいことができなかった感じだ。しかし、戦った相手が強豪ばかりだったので、これで落ち込まず反省点を生かせれば、むしろこの敗戦を糧に一気に伸びていく可能性がある。

 最後にベストバウトを挙げておこうと思う。見ていて楽しい、手に汗握る戦いが多い大会だったが、やはりRUSH vs SZの伝統の一戦はすごかった。とりわけ最初のHPでのRUSHの考えすぎな姿勢が、次のHPではしっかり修正されていたのが良かった。グリードさんがいた時代に見せていた臨機応変さがこの調子で戻って来てくれると嬉しい。SZの撃ち合いの強さもすごかった。

 どのチームにも言えることだが、今日の戦いをどう生かすかが再来週の第2回に響いてくる。ここでの良かった点、悪かった点をどれだけ生かしてチーム力を上げられるか。次回で全チームが全チームとほぼ1回ずつ戦うことになる。そこからは相手の色も見えてきて、ポイント差も大きくつき始めるだろう。頭一つ抜け出すのはどのチームか、これからもプロシーンから目が離せない。

 最後に、選手たち、実況解説司会コメンテイターの方々、運営さん、その他関係者の方々、朝から晩まで長丁場でしたが、素晴らしい大会でした。ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。

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