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【食】ずっとそこにある時間/町田 柿島屋

4月某日 晴のち雨

町田での用事が午前中に終わり…というよりも、午前中には終わるようにして、のれんがかかるのを待って、柿島屋へ。

小さい頃、祖母の家が町田にあったのと、高校が鶴川にあったのもあり、町田は馴染みのある町で、柿島屋の開店を待つ間も、久美堂で本を買い、仲見世を抜けて、焼豚の守屋を眺めて、中野屋で団子を買い、河原商店で乾物を買う。いや、もう、これ、町田のフルコースではないか。そうこうしているうちに、柿島屋の開店時間。

開店10分。
6割の入り。

柿島屋の昼営業は土日のみだが、この店が似合うのは断然、陽のあるうちだと思う。陽の高いうちに、先輩方にまざって、久美堂で買った本を読みながら、肉皿、馬刺し、焼酎のトライアングル。

肉皿 550円

まず、これを頼む。
これだけでもいい。

こういうものを、バランスを考えながら飲むのがたのしい。キレイに決まると、パズルゲームの連鎖が決まったかのように、こころのなかでむふふ、と笑う。

それから、馬刺し。
馬刺しは薬味を訊かれる。
瞬時に、己の心に正直に、かつ、的確な決断力を求められる一瞬だ。

もう少し余裕があるので、メンチ。
メンチも迷う。なにを迷うかって、カレーをかけるか否か。ごま油の香りとしっかりとした馬肉の旨味が凝縮されたメンチは、カレーに負けることもない。

ひさしぶりの柿島屋なので、ここはカレーをかけず、醤油で。うん、旨い。ちゃんと馬肉なんだなーって思う。

ビールの小瓶に焼酎をふたつ、1時間半。

これぐらいが、ちょうどいい。
長津田から田園都市線に乗り換えて、うつらうつらと帰る。

いつ行っても、町田にあるのは「懐かしさ」だ。

柿島屋
東京都町田市原町田
6-19-9

書くことは、落語を演るのと同じように好きです。 高座ではおなししないようなおはなしを、したいとおもいます。もし、よろしければ、よろしくお願いします。 2000円以上サポートいただいた方には、ささやかながら、手ぬぐいをお礼にお送りいたします。ご住所を教えていただければと思います。