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【食】そのことしか考えていないので

itokito 大岡山

きのうのひと口。

大岡山のitokitoのサンドウィッチ。

このブーランジェリーを教えてくれたひとは、とても罪深い。正確には、ひとたちだ。はじめて食べた時から、いや、はじめて店を訪れたときから、ぼくはこの小さなパン屋さんのトリコだ。

はじめて訪ねたのは、桜の季節。すっかり出遅れたとあって、噂に聞いたサンドイッチはすべて売り切れていて、もっとも、はじめてなのでふだんがどれくらあるのかもわからないけど、イベリコ豚の自家製パンチェッタと舞茸のタルティーヌと、ベーコンエピに小さなバケットを買った。もう、それだけで充分だった。

オープンサンド、タルティーヌを食べたときには、目を見開いた。ああ、これは、白ワインだ。って。

小さなバケットには、オリーブオイルをつけて。オリーブオイルだけは、洗足池のローマ料理屋 Osteria Da Pincio (オステリアダピンチョ)のマキくんのおかげで、とてもおいしく質のいいものが常備されている。そうして食べてみると、やっぱり、これは、白ワイン。

2度目に行ったときには、だいぶ早くて、フレンチスタイルのサンドイッチをいくつか。これにも、白ワイン。あれにも、白ワイン。

きのうは移動中のクルマでサンドイッチを。11時前。いままでで、一番種類が豊富にあった。豊富にあれば幸せかといえば、それだけ迷う。迷う幸せがあるじゃないか、などと思うかもしれないが、迷うのは、それはそれで苦悩だ。胃袋はひとつしかない。

itokitoの勝野真一さんは、ご本も出している。そのものズバリ、フレンチスタイルのサンドイッチ。その本に載っている、定番のあれもある、これもある、ああ、悩ましい。苦悩だ、どうしてわたしは(さっき、ぼくって言ったっけ)、生きているうちから、餓鬼道に堕とされたのだろうか。と、瀟洒な店内で、内心身悶えていると。メカジキとパプリカの夏のナントカってサンドイッチが。こういう時は、季節ものを選ぶのがいい。限定品とか。自分を納得させられる。

かくして選んだのが『メカジキとパプリカの夏の…』なんだったけな、ソテーだか、なんだか、すっかり失念。名前は失念したけど、このサンドイッチには、白ワインだ。

そうして、こんなジョークを思い出しました。

- 心理テストをします。アナタは夕日を見て、なにを想像しますか?

- わたしはセックスを想像します。

- では、この丘の牧場の写真を見て、なにを想像しますか?

- わたしはセックスを想像します。

- それでは、このハンカチが床に落ちるのを見て、なにを想像しますか?

-わたしはセックスを想像します。
先生、わたしはそのことしか考えていないので。


書くことは、落語を演るのと同じように好きです。 高座ではおなししないようなおはなしを、したいとおもいます。もし、よろしければ、よろしくお願いします。 2000円以上サポートいただいた方には、ささやかながら、手ぬぐいをお礼にお送りいたします。ご住所を教えていただければと思います。