5.8 きょうおもったこと
まえにもおはなししましたが、わたしは、無報酬だったり、無観客だったりするところでは、落語はやりません。
そう教わってきたのと、そう教わってきた落語というものが、とても大切なものだからです。
わたしは…などと言いましたが、無報酬、無観客で、好き好んで演る落語家はいないでしょう。それじゃあ稽古です。稽古はなぜやるか。自分がいいなと思った噺を、お客さんに届けるためです。
ですから、このひと月ほど、満足に稽古をしていません。時々、素人の時のように、三代目桂三木助師匠の落語を聴くことがありますが、ほかはあまり聴きません。演りません。
この世界に入ったのが18のとき。
今年で41ということは23年目。
23年演っていれば、流れを確認すれば、すっと出てくる噺、これは長い短い関わらず、何席かあります。そういう噺は、間合いから、身体が覚えています。無観客だと、そういう噺が求められます。
なので、この前、後輩の二ツ目が無観客でネタ卸しをしていたときには、心底驚きました。ただでさえ、反応が掴めない初演の噺を、反応がない状況でやる。それは、もう、落語とは呼べないのではないかと思います。いや、これは、その果敢な勇気を否定するものでもありませんし、彼にとっても不本意であったことは、十分に理解していますが。
この状況で、落語を無観客の状態で、三席演りました。
どれも、わたしのなかで、完成されている噺です。
一席は4月7日の四谷アウトブレイ。ライブハウスでの女優で踊り子、若林美保さんとの共演でした。この配信は、当初、出演料なしのつもりで伺いました。ん?無報酬じゃないか?と、思いますよね。この日は、店長のブーン佐藤さんという、これ以上ない観客がいるので、この条件で出演いたしました。結果、出演料をいただきました。
あとの二席は、深川ひるま寄席と蒲田ひるま寄席。こちらはご案内のとおり、無料で見られますが、木戸銭の設定がちゃあんとあります。
そして、この三席に共通するところ…と、いうか、出演や開催の決め手が、ライブ配信というところです。ライブ配信というカタチが、目の前の聴き手を意識させてくれます。
加えて、ひるま寄席の場合は、予定していた開演時間に、いつもの流れで。と、いうところも、配信で開催した決め手でした。
一番最初の四谷アウトブレイクでの、自分の噺を見ていて、聴いていて、ああ、もう少しお客さんの反応を待たなきゃ、と、再度意識し直したので、二席目、三席目は自分のあたまのなかでお客さんの笑い声を入れています。マクラもそうです。
それでも、やはり、みなさんからは「寄席で落語を聴きたい」「落語会に行きたい」というお声を、たくさんいただきます。ありがたいです、励みになります。
そして、わたしも、はやくみなさんの目の前で、落語をやりたいです。
お客さんと落語家が気持ちを同じくする。
それが落語そのものではないでしょうか。
書くことは、落語を演るのと同じように好きです。 高座ではおなししないようなおはなしを、したいとおもいます。もし、よろしければ、よろしくお願いします。 2000円以上サポートいただいた方には、ささやかながら、手ぬぐいをお礼にお送りいたします。ご住所を教えていただければと思います。