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1.10 きょうおもったこと

昨日は今年最初の日本橋つかさの会でした。日本橋つかさの会は、日本橋の蕎麦屋、薮伊豆総本店さんでの、大切な月例の独演会です。

緊急事態宣言下にありながら、10名さまお越しいただきました。ありがたいことです。

何年か前からか、酒の抜けが悪くなり、もともと独演会の前日は用もないのに飲み歩くということはないんですが、会の前日は飲まないようになりました。ひょっとして、これが悪いのかな?って思って、ほおっとくヤツぁバカですからね。なら、止しとこう、と。

ところが前日、洗足池のローマ料理店のオーナーシェフの牧くんから、司さん鰤が届いたんで食べにきてくださいよ。と、連絡をもらいました。

牧くんとは、最近話をすると暗い話題になりがちで…まぁ飲食店と興行はみなさん大変だとおもいます。なので、牧くんが呼んでるとあらば、すは、と出かけていきました。

まずね、鰤大根。味沁みてます?

もともと牧くんの料理-ローマ料理ね-は大好きですが、和食もいけるじゃないか。で、次が刺身。

珍味いきますよ。

と、胃袋、肝、心臓。皮を湯引いて白味噌和え。

司さん、あした仕事だから飲まないですよね。

いや、まぁ、ビール一本だけ飲もうかな。

わたしの意思なんて、せいぜいそんなもんです。で、鰤尽くしにイタリアのビールモレッティ。コクがあるので、珍味によく合うけど、やっぱり酒か焼酎だな。

と、まぁ、一昨日の晩メシについてお話したかったわけでもなんでもなく、そこでもって、なんか吹っ切れたというか、これだな?って掴んだというか。

カウンターの向こうに牧くん、わたしの右にははじめてご一緒した女性、で、わたしの三人で話をしていたんですが、これが、まぁ、ホントに他愛もない話で、牧くんが最近YouTubeで見た、女性をホテルに誘うタイミングについて。ね、バカでしょ。女性がいるというのに。

あぁだこうだ話ているうちに、初対面のふたり、牧くん、3人で弾けたように笑った一瞬があって、内容なんてなんにもなくて、ただただおかしくて、あぁ、いいなぁ。って。

その時に決めたんです。

あしたはコロナのこと話すのはやめようって。
現況を話すのに、多少は触れることがあるかもしれないけど、とにかく「コロナ」という単語、施政に対する皮肉や批判、具体的な数字…などなど。

さっそくうちに帰って、ご挨拶の文章を書き直して、マクラや噺の合間の随談も、日記を元に作り直して、と。結局、話すことがなくなると余計なことを話しますからね。

そうして終えた昨日の高座。

全く触れないのはかえって不自然かな?とも思いましたが、お客さんも自然な感じで楽しんでいただけているようで、わたしはとても気分がよかったです。その前夜のスカッとした心持ちのように、さわやかに。

そんなわけで、ご来場ありがとうございます。感謝です。

なにをどう、難しく考えたところで、すべては泡沫。ならば、先人の知恵を借りて、泡沫の現世をたのしみましょう。

きょうのお別れは謡曲『江口』の一節から。

歌へや、歌へ、うたかたの、あはれ昔の恋しさを


書くことは、落語を演るのと同じように好きです。 高座ではおなししないようなおはなしを、したいとおもいます。もし、よろしければ、よろしくお願いします。 2000円以上サポートいただいた方には、ささやかながら、手ぬぐいをお礼にお送りいたします。ご住所を教えていただければと思います。