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夢の国は色あせない

二連ちゃんで星が書いてます。

今なんかみんな忙しくて、みんな眠そうな死んだ顔をしている。
私も眠い。1時間半の通学の電車でもバスでも寝て、それでも目を閉じれば意識がなくなるくらい眠い。
陽は昨日書いた課題を出し忘れた自責の念で昨夜眠れなかったらしく、そんな彼もやっぱりねむい。

空気の読めない朝日を感じながらバスで目を閉じていると、頭の中で「じゃんぼーりじゃんぼーり」と軽快な音楽が聞こえてくる気がする。そして、今日も私がいない夢の国では楽しい夢の世界が繰り返されていることが、どうしようもなく寂しくなる。あぁ、帰りたい!!

夢の国、と言えばディズニーリゾートの代名詞だが、先日陽とディズニーシーに行ってきた。ド平日だが、私たちが通う大学はちょっと宗教じみた性格があって、創立者の誕生日は休みなのだ。逆張りな性格なのと、あんまり混んでるのはやっぱり嫌だったので、行くならいまだろ!と初めて行ってきた。陽は15年ぶりとかで、私は5年ぶりくらいだった。小学生くらいの時、「恋人との理想のデートは?」とはプロフィール帳の質問コーナーによくある質問だったが、大体の女子が「ディズニー」と書いていたと思う。あの頃はそれ以外名前の付くデートスポットが思いつかなかったからだとも思うが、やはりディズニーデートはカップルの、一度はやっておきたいイベントになっている気がする。

行く前の年末年始に無茶な働き方と遊び方をしたツケが回ってきたのか体調を崩しかけていたのだが、どうしてもディズニー前日までの課題等々があって睡眠を削りまくっていた私は「楽しみとは口ばっかりで行動が伴っていない。寝ろ。」と陽からの優しさの説教をくらいながらもなんとか乗り越えて当日にこぎつけた。

朝7時過ぎに駅に集合し、電車で夢の国に向かった。スーツで険しい顔をしたサラリーマンでいっぱいの電車の中、自分たちだけがこれから夢の一日を過ごすという、申し訳なさとも特別感ともつかない感情と一緒に、電車に揺られていった。舞浜から、夢の国行きの電車に乗り換え、電車の内装まで夢の国仕様になり、4駅だけのわかりやすい路線図、現実もこんな世界になればいいのにとおもった。

私はずっと思っていたが、陽はなんだか熊っぽい。だから絶対にダッフィーの耳を付けたかった。やっぱり熊っぽかった。それから、タワーオブテラー、タートルトーク、レストラン櫻、なんかボートのやつ、インディージョーンズ、木のジェットコースター。アラジンのインドっぽさにツッコミを入れながら進み、海底二万マイル、ソアリン、センターオブジアース、夜景とゴンドラ、なんかおいしいラーメンセット、タカラトミーが作ってるかわいい電車、最後にもう一回タワーオブテラー。さすが平日、こんなに楽しみ切れることなんてあんまりないだろう。二人とも、小さい頃に海底二万マイルで泣きじゃくった経験があって、今もやっぱり小さい子供が「めちゃくちゃ怖かった」と言いながら出てきていて、いつでもいるんだね、と話した。

海底二万マイル、確かに泣きじゃくった記憶がある。途中で潜水艇が壊れるところで、びりびりと電流が流れる演出の映像は、今も脳裏に焼き付いている。母に「ほらきれいなところ終わっちゃうよ」と言われながらも、泣きながら膝に顔をうずめていた。それでも景色と音声は、なんだか知ってるもので、懐かしい気持ちがした。多分この記憶は私も15年くらい前なのだが、このアトラクションは変わらないのに、色あせず、子供に同じ恐怖と夢を与えているのだろう。もうきっと母とディズニーに来ることはないが、ここには同じ時間が変わらず流れている感じがした。

60分待ちのソアリンから出てくると、日が落ちていた。美しいライトアップの中、陽の眠気がピークに達し、タワーオブテラーに並びながら前の外国人のブロンドヘアに倒れこむように激突しかけ、話題は楽しかったね、どれが一番だった?というような思い出話になっていった。

帰りは高速バスで一瞬も目覚めることなく、気絶するように眠ってしまった。気が付くと、締め切りが24時間後に迫っている課題と戦わなければならない現実に放り出された。

小さい頃より、今の方が帰るときのディズニーへの恋しさは増したと思う。一日が終わっていくように、夢が終わっていくことを実感してしまう。変わらない夢の世界はあそこにあるのに、楽しければ楽しいほどその日そのものに戻れないことが寂しくなる。

ずいぶんとめどなく、あったこと思ったことをつらつらと書いてしまった。本当は、アトラクションから出てくるたびに待ち時間が10分短くなってたり、レストラン櫻の煮魚のおいしさに陽が感動したり、夢の裏側の協賛企業の話をしたり、前日はふたりとも三時間睡眠だったりもした。しかもなんか今回めちゃめちゃ陽に出させてしまったのも申し訳ない。
お互い今年は一年の留学に旅立つ予定である。その前に、今度はランドに行けたらいいねと話した。夢の世界に行くためには、またまたバイトと課題の日々を乗り越えなければならない。



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