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第4回 敬田英子さん(仮名)

こんにちは!
社会福祉法人サンシャイン企画室の藤田です。

さてさてさてさて今回は「わたしと介護」第4回であります。
ゲストはサンシャイン南蟹屋の特別養護老人ホームのスタッフ、敬田英子さんです。

今回はまたも、飛び切り若くてチャーミングな女性スタッフの方が来てくださいました。でも顔写真の掲載はNGですので、あなたの想像力でよろしくお願いします。ああ、もったいない(笑)。

さあ方々、早速まいりましょう!

敬田英子さん
特別養護老人ホーム・サンシャイン南蟹屋勤務 介護士
リソースカレッジ出身
介護福祉士

目指すは介護の仕事!

藤田 今日は夜勤明けのところ時間をとっていただきまして、ありがとうございます。

敬田 いえ、よろしくお願いします。

藤田 こちらこそよろしくお願いします。よかったらお菓子、食べてください。敬田さん風におしゃれな感じで、デイサービスの山本さんが用意してくださってます。

敬田 あ、ありがとうございます。

藤田 では早速ですが、介護の仕事に携わられるようになった、その経緯(いきさつ)からお伺いしたいのですが、高校を卒業されて介護の専門学校に入られたということですね。この高校っていうのは広島の?

敬田 はい。南区にある高校です。

藤田 じゃあ、サンシャインのごくごく近所ですね。専門学校も?

敬田 いえ、専門学校は府中町にある「リソース・カレッジ」っていう、あまり知られてないんですが、小さい専門学校ですね。

藤田 はあはあ。聞いたことがないですが。では、そこで介護福祉士の受験資格を得られたわけですね?

敬田 いえ。今は違いますがが、わたしが出たときは、卒業試験がそのまま介護福祉士の資格試験でした。だから卒業したらそこで介護福祉士の資格を得られましたよ。


※2016年「社会福祉士及び介護福祉士法」の一部改正により、国家試験合格が要件となった。
それまで(~2015年卒業)は養成施設の卒業者は国家試験を受けずに介護福祉士資格を取得できた。

藤田 はああ。そうですか。ちなみによければ伺いたいのですが、その介護福祉士の資格を取られたのはいつ頃のことなんですか?

敬田 わたしが二十歳のときなんで、7年前です。

藤田 はあああ。そうですか。結構最近なんだ。20年前とか言われるのかと思ったけど(笑)、そんなわけないよね(笑)。

そうですか。それで、高校を卒業してすぐに介護の専門学校に行かれてるわけですが、そのときにはもう介護の仕事をしようと思われていたということですが、それはどうしてなんですか?

敬田 もともと母が、福祉系の職場、障害者の作業所でパートかなにかで働いていたんです。わたしそこに結構遊びに行ったりしてたんですね、子供の頃。餅つき大会とかそういうイベントがあるとよく行っていましたね。それでちょっと興味があったんだと思います。

それと私が中学生の頃、職場見学の時間がありまして、わたしは保育園に希望を出していたんですが、その抽選に落ちまして、それで第2か第3希望で福祉施設を書いていたんで、行ったのはグループホームだったんですが、そっちに行くことになりまして、ここでも介護の仕事に興味をもつようになったんです。

そこから介護を目指そうということになりました。

藤田 はああ。そうですか。お母さんの影響とかいわゆる縁があってそういうことに。

敬田 そうですね。それにもうひとつ、なにか人に役に立つ仕事をしたいって思っていたものですから。


新卒で介護老人保健施設

藤田 なるほど。えーと、介護福祉士の資格を得られたのが、7年前で、ここサンシャインにこられたのが1年半前ということですが、するとその間6年ぐらい、どこかで介護職に就いておられたということでしょうか?

敬田 はい。別の施設にいました。老健(介護老人保健施設)です。

藤田 老健?すると木谷さん(第2回「わたしと介護」のインタビュイー)と一緒?

敬田 そうですね。でも違うところですよ。

藤田 そうですよね。そりゃそうです(笑)。
すると、今は特養で働いておられるわけで、その前は老健だったと。どっちも施設系なわけですが、介護の仕事、他にもあると思うんですけど、デイサービスとか訪問とか、そういうところでは働こうとは思われなかったんですか?

敬田 そうですね。まだ若いうちは夜勤やって稼ごうかと思いまして(笑)。それから年取って体力なくなったらデイサービスとかでどうかと(笑)。

藤田 そうかー。そうですね(笑)。わたしぐらいの歳になると夜勤は厳しいですもんね(笑)。考えてますねー。

敬田 介護福祉士しか資格もってないですからね。でもかと言って介護一本で仕事をしていこうとも思ってないんですよ。今は大丈夫ですが、腰とか痛めたら大変ですし。ですから介護・医療系の仕事に就きたいなーとも考えてます。

藤田 あ。質問リストの答えにも「将来は薬剤師とかリハビリに興味がある」って、書いてありますね。

敬田 興味はありますけど、そういう仕事に就くなら学校に行かないといけないので、お金との相談でもありますね(笑)。

藤田 そうかー。でも若い時取っといた方がいいよね。

敬田 歳を取ると、頭に入らない(笑)。

藤田 むずかしいとこあるかもしれませんね。そっかー。やっぱり考えてるなー(笑)。
で、まずは老健で丸5年働かれたということですが、そこで働かれてどうでした?やっぱり学校で習ったことと違うんじゃないかなあと思いますが?

敬田 違いましたね。認知症の方の対応がそれぞれに違いますので、教科書通りにはいかないなって、すごい思いました。

藤田 はああ。認知症の方と初めて会われて、やっぱり違いましたか?

敬田 そうですね。結構強烈なと言ってはあれですが(笑)、徘徊される方とか暴言・暴力を振るわれる方とかおられたので、ちょっと驚きました。

藤田 はああ。そうですか。老健は今の特養と同じような感じで働いておられたのですか?

敬田 そうですね。今と変わらない働き方ですね。そこでは職員間の人間関係がよかったので楽しかったのですが、仕事量と上司に問題がありまして(笑)。とにかく忙しすぎました。それに待遇もよくなかったんです。

そしてサンシャインへ

藤田 そしてサンシャインへ来られるわけですが、これはどういうことでここに来られたんですか?

敬田 福祉フェアっていうのがあって、そこでサンシャインを知りました。

というか、その前に介護ジョブでしたか、そういう求人サイトがありまして、そこにサンシャインが載っていまして、ボーナス面とかの待遇がいいので応募したんですね。だけどサイトでは応募は締め切りましたと言われて、それで一回諦めたんです。

でもその後たまたま福祉総合フェアっていうのがあって行った時にサンシャインさんが来てて、お話を伺って、じゃあ見学来てみます?っていうことになって、面接になって、トントンと決まりました。

藤田 フェアのブースには山下常務理事(わたしの上司)がおられました?

敬田 おられましたねー(笑)。

藤田 そうかー(笑)。じゃあ山下さんの印象が良かったということですかね?

敬田 そうですね。そうかもしれませんね(笑)。

藤田 他にも面接に行かれたんですか?

敬田 行きました。見学に3ヶ所ぐらい行きましたかね。でもサンシャインが一番良かったんで。

藤田 はあはあ。そうですか。
それでここへ来られてどうでした?

敬田 最初はですね、まず広いな、と思いました。前の職場が1フロア2ユニットだったので、結構行き来はしやすかったのですが、サンシャインに来て、意外に広いな、と感じましたね。

藤田 そうかそうか。サンシャインは1フロア3ユニットだから。間にリビングあるし。歩くの大変だな、と(笑)。

敬田 そうですね。それとサンシャインは特養なので、やっぱり結構介護度高いな、と。

藤田 そうかー。そこで質問リストですが、サンシャインでやりがいを感じるのはどんなときですか?という質問の答えが、「入所時に笑顔があまりなかった方の笑顔が増えたこと」とありますが、敬田さんが笑顔、増やしたわけですね?

敬田 わたしだけじゃなくて(笑)、結構みなさん話しかけたりするので、その刺激もあるんでしょうけど。病院って「治療」が目的なので、コミュニケーションを取ることとかは別のこととしてあったので。

藤田 病院っていうのは老健のこと?

敬田 病院というか、老健で新規入所された方なんかは特にそうでしたね。でもここサンシャインでは、コミュニケーションとかリハビリとか直接関わりだしたら刺激になって、利用者様の表情がすごく明るくなって。失語症とかで全然話せなかった方が、声も出せなかったけど、今はすごいしゃべったりされていて。そんな反応がすごく増えてきて、コミュニケーションが取れるってなったら、すごい嬉しいですね。

藤田 なるほど。でもあれですね、敬田さんと同じ頃にサンシャインに来られた、木谷さんとか、吉本さん(「わたしと介護」第3回インタビュイー)とか、スタッフ間の仲が良くて、それで3人で明るい声掛けっていうか、されてるのかなあと思います。

敬田 声掛けじゃないんですが、わたし、なんか独り言が多くて(笑)。返答がなくても一人で話してることがよくありますね。利用者さんにぶつぶつ独り言で愚痴を言ってたり(笑)。「もう、疲れてるんだけどー」とか。それがいいんでしょうか(笑)?

藤田 ええ、ええ。そうかもしれませんね(笑)。

次の質問にもありますけど、仕事していて楽しいのは、利用者様の笑顔が見えたとき、とありますね。これ、わたしなんかもそうなんですが、なんていうか、介護の仕事って楽しいから、仕事自体が喜びになるところがありますよね。

敬田 そうですね。

「介護」ってなに?

藤田 そういうの、新聞などによると「やりがい搾取」って言うらしいけど(笑)、そういうところってありますよね。でもそういうこと考えてると、「介護ってなに?」っていう問題意識を持たれるようになるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょう?敬田さんにとって「介護」ってなんでしょう?

敬田 一言で言うのは難しいですけど、「ほったらかしは悲しいな」と思います。

藤田 ははあ。

敬田 スタッフと利用者様との信頼関係がなくちゃいけないと思いますよ。そのためにも相手を知ろうと努めようと思います。

藤田 はあはあ。なるほど。でも知るとどうなるんです?信頼関係が築けるわけですか?

敬田 相手を知ると、より相手の懐に深く近づけるというか。こころがほどけるっていうか。

藤田 なるほど。こころがほどける。

そういえば「介護保険物語」でお話を聴かせていただいている森藤部長が言ってましたね(「介護保険物語」第2回)。介護士はやさしくなけりゃいけないって。もう、信じられなくらいやさしくする。そうすると信頼を得ることができるって。

で、そのときわたし、訊いたんですよ。じゃあやさしくなるためにはどうすればいいのですか?って。

そしたら、部長が言うには、個人にやさしさを求めてもダメだって。個人にやさしさを求めてたら、その人いつか疲れ果てちゃう。そうじゃなくて、その個人のいる組織がやさしくならないとダメなんだって。でなきゃそこで働いてる人がやさしくなれるわけないっ!って。

いいこと言うなあ、と思ったんだけど、最後に、でもそんな組織どこにあるの?って(笑)。

敬田 じゃあ前にいた老健は組織がやさしくなかった(笑)。

藤田 そういうことですか?(笑)。
でもそんな、働いてる人にやさしい組織ってない(笑)。あるといいんだけど、ない(笑)。

だけど森藤部長言っておられましたよ。そういうことはトップの考え方次第だって。

敬田 前の老健はトップがやさしくなかったから(笑)。

藤田 そういうことですか(笑)。

これからやりたい仕事は

藤田 今後の仕事としては、レクとか手作業を提供したいっていうことですね?

敬田 前の職場で「ものづくりクラブ」っていうのをやってたんですね、わたし。毎月季節にあった作品づくりを提供するっていう仕事なんですけど。サンシャインでは今はたぶん作業療法士の方がやってるのかな。

藤田 ああ、ああ、あれですか。ああいうことをやりたいわけですか。でも今そういうことができる時間、あります?

敬田 ないですねえ。今は利用者様の状態が落ちてきてるってこともありますし。時間、ないですねえ。でも季節感を出したいなって思いますね。

藤田 へええ。そういうの、好きなんですね。特にどういうのが好きなんです?絵とか工作とかあるじゃないですか?

敬田 わたしは絵とかより、作品を作るのが好きですね。手芸とか。

藤田 はあああ。そうかそうかそうか。手芸ですか。じゃあ、そういう仕事ができるように、少しずつシフトしていくといいかもしれませんね。でもそういうの家で自分の時間でやったら大変ですよねえ。

敬田 そうなんです。先ほど言いましたけど、前のところでやらせてもらってた「ものづくりクラブ」、あれ大変だったんです。ご自分で作れない利用者さんの分も含めて全部で50人分くらい、ひとりで作らなきゃいけなくて、とっても大変でした。

藤田 はああ。そりゃそうですね。

そう言えば、ちょっと話は変わりますが、少し前にね、ここサンシャインの理事長が、アートとかとっても好きな方なんで、そういうアート作品に触れるような機会を、ここで作れないかねっていう趣旨の相談をもらったことがあって、そのときわたしは、じゃあケア(介護)とアート(芸術)を合わせて、ケアートっていう概念を作って、流行らせませんか、と提案させてもらってるんですが、敬田さんのやりたいことって、そういうことに通じますよね?

特養ってやっぱりお世話が必要な方が多くいらっしゃるけど、みんながみんな、なにも作れませんということじゃないだろうし、そういう作品作りをすることで、少しでも介護状態が良くなったり、維持できたり、悪くなるのを遅らせたりできるんじゃないですかね?面白いんじゃないですかね。

でもどうすればそういう機会がもてるんだろう?

敬田 やっぱり人が職員が増えなきゃだめでしょうか(笑)。

藤田 あー、そーかー(笑)。
でもときどきそういう時間がありますよね?

敬田 そうですね。毎日じゃないけど、やってますね。歌レクとかも。

藤田 あれはそういう担当の人がやられてるんですよね?

敬田 そうです。そうです。作業療法士の方が。

藤田 じゃあそれに混じらせてもらったらどうなんだろう?週に1回ぐらい、か、月に1回ぐらい?

敬田 そうですね。そうなればできるかなあ。でも、こっちはこっちで業務がありますからねえ…。

藤田 でも敬田さんの趣味を活かしたいよねえ。
どんどん、どんどん、楽しく働ける環境にしていった方がいいよねえ。


介護士の社会的地位を上げたい

藤田 ところで最後の質問です。敬田さんが今、なにか言いたいことはないでしょうか。

敬田 そうですね。
やっぱり介護士の社会的地位を上げてほしいですね。

藤田 はああ。そうかあ。そんなに低いんですか?

敬田 前のところなんかそういう感じでしたね。わたしは言われてませんが、後輩がそんなことを言われたって聞きました。

藤田 へええ。そうなんですね。

わたしなんか、鈍いせいで(笑)、低いと感じないんですが。
むしろ、なに言ってるの、介護の仕事は素晴らしい仕事ですよ、って思ってやってます(笑)。

介護の世界のことを、こういう対談とかで発信させてもらってるのも、そういう思いでやってるんですけどね。

わたしなんか、喜びあふれて働いてないと嫌なんで(笑)。
もしそうでなければ、そうなるように変えていきたいと思ってます。

ということで、今日は夜勤明けにもかかわらず、長い時間お話をしていただきました。
本当にありがとうございました。

敬田 ありがとうございました。


収録日:2020年10月6日(火)
収録場所:社会福祉法人サンシャイン、多目的ホール

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