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視聴済み1000作品から推し映画を選ぶ Part.15 ヒューマンドラマ③(友情/青春)編

ブリグズビー・ベア

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ジェームスは、外気から遮断された小さなシェルターで、両親と3人で暮らす25歳の青年。子供の頃から毎週ポストに届く教育ビデオ「ブリグズビー・ベア」を見て育った彼は、今は「ブリグズビー・ベア」の世界の研究に勤しむ毎日を送っていた。少し退屈でも、パソコンでチャットする友人や仲の良い両親と、平和な日々がずっと続くのだと思っていた。しかしある日、警察がジェームスを連れ去り、両親は逮捕されてしまう…。

 「ブリグズビー・ベア」という架空の教育ビデオは、夫婦ふたりがジェームスを誘拐して監禁しておくための道具だった…夫婦は逮捕され、25歳になったジェームスは本当の親の元へと引き取られる。

 と、これまで聞いたことのない設定ですが、不思議と引き込まれる作品です。これほど”とりあえず見て”という映画はありません。

 本当に好きなものがリアルであるかどうかは、大した問題ではないことを教えてくれます。そして、好きなものへの熱意のおかげで、友人が増えて家族との絆も深まる。

 私自身がオタクで、好きなものを通じて交友関係が広がった経験があるので、自分の姿を見ているようでジェームスが愛おしくなりました。

マイ・フレンド・フォーエバー

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ある日、エリックの家の隣に新しい住人が引っ越してきた。その家の子供デクスターはHIV感染者だという。始めは戸惑い、敬遠していたエリックだったが、やがてデクスターと心が通い合い、友情が芽生えてきた。そしてエリックは“彼の治療法を見つける”とデクスターを連れてあてどのない旅に出掛けるが……。HIVに感染した少年と、その友人エリックとの友情を描いた感動作。

 少年たちの友情と母親の愛情がたっぷり詰まったジュブナイル映画の名作。作品全体を包み込む優しい空気感が大好きです。

 エリックの隣に引っ越してきたデクスターはHIVを患っていた。エリックはデクスターと仲を深める中で、HIVの治療法を探し始める。チョコレートバーを食べては失敗し、野山に生えている草を煎じては失敗し。ある時少年たちはニューオリンズで特効薬が見つかったというニュースを聞き、遠く長い冒険の旅が始まる。

 「スタンドバイミー」のような少年時代の小旅行感も味わえます。

 後半はとにかく切なく儚い。お互いどこか最期が来ることを予感している空気感。でも限られた時間の中で彼らが深めた友情は本当に特別で濃密で。彼らを包み込むようなデクスターの母親の愛情もあたたかい。それらが全て合わさって映画全体の優しい空気感に繋がっているような気がしました。

 また、ラストが本当に粋な終わり方なので、映画が終わった後も心がじんじんし続けるのと同時に、スッと受け入れられる気持ちになれるのも、この作品の魅力のひとつだと思いました。

最高の人生の見つけ方

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仕事に人生をささげた大富豪エドワード(ジャック・ニコルソン)と、家族のために地道に働いてきたカーター(モーガン・フリーマン)は、入院先の病室で知りあった。共に余命は6か月。やりたいことをすべてやり尽くそうと決意し、無謀にも病院を脱出。“やりたいことリスト”を手に、さまざまなことに挑戦する。

 余命を宣告され、病室がたまたま一緒になった性格が違う2人が織りなすヒューマンドラマ。

 重々しさはほとんど無くむしろ残りの人生の中で「やりたいこと」を笑いを交えながら達成して行く2人からは不思議と生きる活力すら貰いました。

 伏線を回収しながら迎えるラストシーンは涙を禁じ得ません。繰り返し見たくなるような心がじんわりする最高に素敵な映画です。

最強のふたり

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不慮の事故で全身麻痺(まひ)になってしまった大富豪のフィリップ(フランソワ・クリュゼ)は、新しい介護者を探していた。スラム出身の黒人青年ドリス(オマール・シー)は生活保護の申請に必要な不採用通知を目当てに面接にきた不届き者だったが、フィリップは彼を採用することに。すべてが異なる二人はぶつかり合いながらも、次第に友情をはぐくんでいき……。

 特別扱いを嫌うお金持ちの白人の老人の雇い主と、そんな気遣いを毛頭持ち合わせてない黒人の凸凹バディが織りなす友情ヒューマンコメディ。めちゃくちゃ笑って泣ける最高の映画。繰り返し見たくなります。

サニー 永遠の仲間たち

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『過速スキャンダル』のカン・ヒョンチョル監督のヒューマン・ドラマ。高校時代の友人チュナに再会したナミは、余命少ないチュナのため、かつての仲良しグループ「サニー」のメンバーを探し始めるうちに、人生の輝きを取り戻していく。

 多くの人に見て欲しい嫌みのない爽やかな青春映画。友情は永遠です。あの頃は、何気ないことでも輝いていたなぁと。

 久しぶりに再会した友人が余命わずかで「かつての仲間に会いたい」という願いがキッカケで次第に皆が集まっていきます。でも全く重苦しくなく、むしろクスッと笑える場面が多くある素敵ないい映画です。

志乃ちゃんは自分の名前が言えない

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高校一年生の志乃は上手く言葉を話せないことで周囲と馴染めずにいた。ひとりぼっちの学生生活を送るなか、ひょんなことから同級生の加代と友達になる。音楽好きなのに音痴な加代は、思いがけず聴いた志乃の歌声に心を奪われバンドに誘う。文化祭へ向けて猛練習が始まった。そこに、志乃をからかった同級生の男子、菊地が参加することになり・・・。

 青春らしい感情の発露がみずみずしい映画。気持ちをうまく言葉にできない志乃と、気持ちをうまく歌にできない加代。二人が出逢ってバンドを組んで日常が彩られていきます。それでも二人は壁にぶつかって…。

 人からすれば大げさな話かもしれませんが、彼女たちにとって”伝えること”は大きな一歩。最後なんてものすごいエネルギーを感じました。そして、主演のふたりの演技がとにかく素晴らしいです。

ブレックファスト・クラブ

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『ホーム・アローン』の脚本、製作を担当したジョン・ヒューズ監督作。タイプの違う5人の高校生がそれぞれ起こした問題の罰として休日登校。「自分とは何か」というテーマで作文を書いていたところ友情が芽生える青春映画。

 問題を起こした罰として土曜日に登校し、作文を書かされる羽目になった性格もキャラも違う高校生5人らが、雑談を通じて少しづつ友情を深めていく話。

 ほとんどが会話劇なのになぜか面白い。最初は嫌味な奴もいるけど最後にはみんな好きになれる。みんな違って根っこでは似てる。みんないい奴。

 ラストの爽やかさ、描かれずとも想像させる後日まで青春ですごくいい。

ジーサンズ はじめての強盗

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ウィリー、ジョー、アルの3人は慎ましくも幸せな老後生活を送っていた。ところがある日、長年勤めていた会社の合併によって、年金を止められてしまう。このことをきっかけに、彼らはある企てを決意。なんとしてでも今までの生活を取り戻し、愛する家族と仲間たちとの幸せな余生を続けられるよう、3人は銀行のお金を奪おうと、大胆で危険な賭けに出るが……。

 銀行に年金を差し止められ、明るい老後生活の筈がお先真っ暗。愛する家族と仲間と暮らす未来のために、銀行強盗を企てたのは三人のジーサン。

 「ドリーム」「ヴィンセントが教えてくれたこと」で監督を務めたセオドアメルフィが脚本に関わっているということで見ましたが、期待通り良いヒューマンコメディドラマに仕上がっていました。三人のジーサンを演じたのが名優ばかりで、それだけでも幸せ。

 銀行強盗までのコメディも毒がある笑いで大変好きなやつですが、銀行強盗のその先に待ち受けていた未来は予想外に素敵なもので感動しました。良き友人、良き仲間、良き家族を持つことが幸せなんだと三人のジーサンから教えてもらいました。

ミスミソウ

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東京から田舎に転校してきた野咲春花(山田杏奈)は、学校でひどいいじめを受けていた。唯一心を許せる存在は、同じ転校生の相場晄(清水尋也)だけだった。彼の存在を頼りに学校生活を送っていた春花だったが、いじめはどんどんひどくなっていく。ある日、彼女の自宅が火事になってしまい……。

 ここまでの毛色と全く違う映画なので似た雰囲気を期待してる人は絶対に見てほしくない映画。こちらはボタンのかけ違いから始まる純愛青春スプラッター映画です。極大トラウマ描写に注意。何でここに入れたのかくらい謎ですが青春もあるのです。

 万人にはオススメできない描写ばかりですが印象的な光るシーンも幾つかあります。二度は見たくないけど、見て良かったなと思える不思議な作品。

惡の華

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中学2年生の春日高男(伊藤健太郎)は、周りを山々が囲む町で、息苦しさを感じながら過ごしていた。ある日の放課後、彼は教室でクラスのマドンナである佐伯奈々子(秋田汐梨)の体操着を見つけ、とっさに体操着を盗んでしまう。それを目撃した問題児の仲村佐和(玉城ティナ)は、黙っていることを条件に自分に従うよう春日に迫る。

 こちらも一風変わった青春映画。歪んでいる青春。歪んでるからこそ思春期。思春期のドロドロ悶々したものが出力大きめによく表現されています。

 印象だけだと光の佐伯さん、闇の中村さんが主人公に語りかけてくるように見えますが、根っこの部分で主人公と通じ合っている中村さんが自分的にもヒロインのように感じました。

 最後の結末は賛否分かれますし、成長と捉えるかも人によって違いそうですが、正解が無いからこそ青春であり。人生なのだという解をもらえたような気がします。そして、誰にでも光と闇の両面がある。

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