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視聴済み1000作品から推し映画を選ぶ Part.14 ヒューマンドラマ②(家族)編

ワンダー 君は太陽

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生まれつき人と違う顔をもつ少年・オギ―(ジェイコブ・トレンブレイ)は、幼い頃からずっと母イザベル(ジュリア・ロバーツ)と自宅学習をしてきたが、小学校5年生になるときに初めて学校へ通うことになる。クラスメイトと仲良くなりたいというオギーの思いとは裏腹に、その外見からじろじろ見られたり避けられたりするが、彼の行動によって同級生たちが徐々に変わっていく…。

 "素敵"という言葉は、この映画のためにある言葉かと思えるくらい最高に素敵な作品。出てくる言葉のすべてが胸に刺さりました。本当に大好きな作品です。

 この映画の好きなところは、主人公のオギーをあたたかく見守る周りの人達のあたたかさ。そして、何と言っても彼のお姉ちゃんや友達の目線でそれぞれの気持ちが語られるところ。映画やドラマでは不幸な主人公の感情にしかフォーカスされませんが、その周りでそれぞれ悩みを抱える家族や友人たちもいることも明らかになります。

 それが深く、時にユーモラスに描かれているところが本当に素晴らしい。誰もが寂しさを抱えていて、それを癒せるのは本当に向き合ってくれる周りの人たちだということ。そして、一人ひとりが主人公で、太陽であることを教えてくれる人間讃歌な映画だと思いました。

37セカンズ

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生まれた時に、たった 37 秒息をしていなかったことで、身体に障害を抱えてしまった主人公・貴田ユマ(佳山明)。親友の漫画家のゴーストライターとして、ひっそりと社会に存在している。そんな彼女と共に暮らす過保護な母(神野三鈴)は、ユマの世話をすることが唯一の生きがい。毎日が息苦しく感じ始めたある日。独り立ちをしたいと思う一心で、自作の漫画を出版社に持ち込むが、女性編集長(板谷由夏)に「人生経験が少ない作家に、いい作品は描けない」と一蹴されてしまう。その瞬間、ユマの中で秘めていた何かが動き始める。これまでの自分の世界から脱するため、夢と直感だけを信じて、道を切り開いていくユマ。その先で彼女を待ち受けていたものとは…。

 生まれながらに脳性麻痺で手足が自由に効かないユマが現実の厳しさにもがき苦しみながらも、夢を持ち人に出逢い壁を乗り越える中で成長をする過程を描いたドラマ。物語、役者、演出、音楽全てが自分に刺さる作品。主人公は障害を持つ女性ですが、描かれているのは普遍的なテーマだと思いました。"自分が変われば世界が変わる"。熱いメッセージです。

 ユマ目線で描かれる世界はとても残酷。ユマをゴーストライターとして扱う漫画家の女子は自分の体裁が大事で彼女を下にしか見てませんし、母親は彼女を過保護に扱いすぎていて彼女が本当にやりたいことに制限をかけようとします。それでもユマは自分の直感を信じて一歩踏み出すことで彼女と対等に向き合ってくれる人たちに出逢います。"やりたいこと"の前に壁があっても乗り越えて行きます。そして、やがて彼女の行動で周りの人達の向き合い方も変わって行きます。これこそが監督が描きたかった希望ではないでしょうか。

https://www.banger.jp/movie/27161/

 監督のインタビューを拝見しましたが、この作品が監督にとっての長編デビュー作で、主演の佳山さんもお芝居の経験が無かったというから驚きです。期待が大きい監督らしく佳山さん共々次回作な非常に楽しみです。

 演出の点から言うとユマ目線の世界が大胆に描かれるシーンが好きでした。漫画の世界が広がっていく描写なんか正に彼女の夢の空想の世界が広がっていくようで伝わってくるものがあります。

 音楽も「コンプレックスはアートなり」と語るCHAIが主題歌を務めており、"NEOかわいい"がこれほどマッチする作品もありません。

 とにもかくにも、あらためて物語も役者も演出も音楽も何もかもが自分に刺さる作品でした。

7番房の奇跡

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春には黄色いランドセルで学校へ・・・娘の入学式を夢見ていた、知的年齢が6歳の父親ヨングと、しっかりものの6歳の娘イェスンに突然の事件が影を落とす。ヨングは殺人の容疑で逮捕、収監。娘はひとり寂しく父を思い、塀の中では父が娘に会いたいと思いを馳せていた。そんなある日、ヨングに命を助けられた7番房の房長と仲間たちが、娘イェスン潜入大作戦を決行!しかし、二人の幸せな時間は長くは続かず・・・。

 刑務所が舞台のハートフルコメディ感動作。最高にいい映画です。こんなに”奇跡”が起こることを願った作品はありません。

 主人公は知的障害を持つ一児のパパで、ある日女児の誘拐及び強姦致死罪で、冤罪にも関わらず刑務所に投獄されてしまいます。

 タイトルや設定は重たいですが、内容は全くの逆でかなり笑えるコメディ作品です。7番房の受刑者は、癖のある面々だけど、みんないいキャラで、情に厚い良い人たち。彼らはパパに娘のイェスンを会わせるために動いたり、無罪放免に向けて働きかけを行います。

 気軽に見れるのに、しっかりと心を温めてくれる素敵な映画。最後はボロ泣きしました。多くの人に見て欲しい作品です。

洗骨

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沖縄の離島、粟国島・粟国村に住む新城家。長男の新城剛(筒井道隆)は、母・恵美子(筒井真理子)の“洗骨”のために、4年ぶりに故郷・粟国島に戻ってきた。実家には、剛の父・信綱(奥田瑛二)がひとりで住んでいる。生活は荒れており、妻の死をきっかけにやめたはずのお酒も隠れて飲んでいる始末。そこへ、名古屋で美容師として活躍している長女・優子(水崎綾女)も帰って来るが、優子の様子に家族一同驚きを隠せない。様々な人生の苦労とそれぞれの思いを抱え、家族が一つになるはずの“洗骨”の儀式まであと数日、果たして彼らは家族の絆を取り戻せるのだろうか?

 ガレッジセールのゴリさんがメガホンを取った作品。タイトルから暗い気持ちになる映画だと思ってましたが全くそんなことありません。むしろ、家族っていいなと思えるような素敵な映画でした。

 沖縄の粟国島に残ってる風習「洗骨」。風葬で風化した死者の骨を家族が洗うという風習があるそうです。この日には家族が集まるのですが、この映画では東京に出て物理的にも心の距離もバラバラになった家族が母の洗骨の機会に一堂に会します。

 急に身篭ったと告白する娘や酒浸りで気の弱い父親などみんな何かしら問題を抱えてるのですが、その家族の絆のほつれが島で起こる笑いあり涙ありの様々な出来事で再び結ばれてゆきます。

 繰り返しになりますが、タイトルの暗いイメージからは想像のつかないくらい笑いがあって、あたかも自分も島の住民、家族になったような目線で家族の絆に触れられる素敵な作品となっています。

シェフ 三ツ星フードトラック始めました

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一流レストランの料理人カール・キャスパー(ジョン・ファヴロー)はオーナー(ダスティン・ホフマン)と衝突。創造性に欠ける料理を作ることを拒み、店を辞めてしまう。マイアミに行ったカールは、とてもおいしいキューバサンドイッチと出会い、元妻(ソフィア・ベルガラ)や友人(ジョン・レグイザモ)、息子(エムジェイ・アンソニー)らとフードトラックでサンドイッチの移動販売を始めることにする。

 オーナーの意向に沿って料理を提供したら批評家にボロカス叩かれたカールが、生活と自分の料理を出すために一念発起してフードトラックを始めるお話。ロードムービー好き、ヒューマンドラマ好き、料理好き、そしてTwitter好きと色々な人にオススメしたい映画です。

 フードトラックの旅を通して息子と家族として、仕事のパートナーとして深い関係性になっていくのがグッと来ます。そして、何よりもキューバサンドイッチが死ぬほど食べたくなる作品です。

海街diary

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鎌倉で暮らす、幸(綾瀬はるか)、佳乃(長澤まさみ)、千佳(夏帆)。そんな彼女たちのもとに、15年前に姿を消した父親が亡くなったという知らせが届く。葬儀が執り行われる山形へと向かった三人は、そこで父とほかの女性の間に生まれた異母妹すず(広瀬すず)と対面する。身寄りがいなくなった今後の生活を前にしながらも、気丈かつ毅然と振る舞おうとするすず。その姿を見た幸は、彼女に鎌倉で自分たちと一緒に暮らさないかと持ち掛ける。こうして鎌倉での生活がスタートするが……。

 海辺の古い大きな家で4人の姉妹が本当の家族になる話。緩やかな時間の流れが凪のようで心地の良い作品です。まるで鎌倉の海のよう。ずっとこの作品に浸っていたくなるのは、優しい音楽と懐かしさのある風景。そして、4人の素敵な女優の自然体な姿でしょう。

 親の代わりとなるようなしっかり者の長女、恋もサバサバで自由奔放な次女、マイペースで変わり者の三女、元はしっかりものの長女だけど姉3人と関わることで末っ子らしい一面も垣間見せる四女。どこかそれぞれの立ち振る舞いには共感を覚えてしまいます。

 この作品では緩やかに日常を重ねていきますが、その中で起こるいくつかの出来事が4人の絆を次第に深めていくことに繋がる様子が波のようでいて、時間の流れが愛しいと感じる素敵な映画です。

ステップ

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妻を亡くした30歳の健一(山田孝之)に、妻の両親が幼い娘・美紀を引き取ろうと提案するが、健一は自分で育てることを決断。亡き妻との思い出のある家で、育児に励む日々が始まる。健一はシングルファーザーとしてさまざまな壁にぶつかりながら、子育てに奮闘する。

 妻を失くしたシングルファーザーと娘、周りの家族や同僚達との成長や絆を描いた物語。とてもあたたかい気持ちになるのと同時に、生きていくことは何か考えさせられる普遍的なお話でもありました。

 誰の日常にも起こり得る出来事が描かれているので、感情移入して気づけばボロボロ泣いていました。悪い人が一人も出てこないのもこの作品のいいところです。

劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん

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単身赴任中だったアキオ(坂口健太郎)の父・暁(吉田鋼太郎)が、突然会社を辞めて家に戻ってきた。アキオは、何を考えているのかわからない父のことを知りたいと思い、ある計画を思いつく。それは「ファイナルファンタジーXIV」に父を誘導し、自分は正体を偽り一緒に冒険に出るというものだった。こうして「光のお父さん計画」が始まる。

 言葉数少ない父親と息子。父親の退職祝いにプレゼントしたある一本のゲームをきっかけに心が通い始めます。

 何となく「電車男」に似た雰囲気を感じました。嘘のような本当の話。

 たとえネットの世界でも、誰かにとっての「居場所」になるのだと、ネット世代の自分としてはあたたかい気持ちになれる作品でした。

 そしてなんと言っても、吉田鋼太郎さん演じるお父さんがピュアで可愛すぎる!見た後で自然と誰かに優しくなれるような素敵な作品でした。

サバイバルファミリー

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鈴木家は、父・義之(小日向文世)、母・光恵(深津絵里)、息子の賢司(泉澤祐希)、娘の結衣(葵わかな)の4人家族。ある朝、目を覚ますと突然全ての電化製品が停止しており、鈴木家だけでなく近所中で同じことが起きていた。さらに電車も車もガスも水道も止まってしまい、家族全員途方に暮れる。そこで義之は、東京から出ようと決断し……。

 電気、水道、ガスといったライフラインが止まったとき、日本人はどうなるのか。この作品ではそれが「なぜ」起こったのではなく、それを「どうやって」生き残っていくかが描かれます。

 生死をかけて西を目指すサバイバルロードムービー!

 かなりコミカルな作風ですが、それを笑えるのもいま自分たちが平和な場所にいるからなのかも。色々なものが取っ払われてはじめて見えてくる家族の絆。豊かな暮らしのありかたも描かれています。

 そして、小日向文世さんに萌える映画でもあります!



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