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心理学は学問だから占いや魔術と混同しないで欲しいという話

●魔術師さんの仕事kwsk

心理職としては今更ながらのお話ではあるのですが、ここ最近の実体験から改めてここはお伝えしておくべきかと思い、筆を取りました(Apple Pencilね)。

ココナラ、Coubicでオンラインカウンセリングサービスを提供したり、SNS上でメンタルのケアについて情報発信をしているのですが、時々不思議なご職業の方々にフォローをいただく事があります。こないだ驚いたのは「白魔術師」というお仕事をされていらっしゃる方にフォローをいただきまして、「なるほど、世の中にはまだまだ私の知らないお仕事があるものだなぁ」と感心したものです。ファイナルファンタジー大好きの私にとって、白魔術師と言われれば白いフードをまとった回復魔法を操るお仕事をイメージするのですが、、現実の白魔術師さんはどんなことを生業とされているのでしょうか。興味が尽きません。

このほかにも、ネット記事等で「心理テスト」この中からあなたが気に入ったものを一つ直感で選んでください、といった記事をよく見かけます。見かけるたびに私も毎回チェックして、結果を楽しみにしているのでそうした心理テストを否定する立場ではないことはあらかじめご理解いただきたいのですが、こうした記事を書かれていらっしゃる方が「●●心理士」とか名乗っていらっしゃるのを見かけると、ちょっと目を細めてしまうというのが職業病です。つまり、「これは心理検査とは明確に異なる」ものとしてエンターテイメントの一つとして私個人は楽しんでいる(多くの方がそうだと思っています)のですが、その肩書として「心理職」を名乗られると、

心理職=心理学を修めその知識を社会の多様な場面の困難の解決に役立てる職業

だと考えている私にとっては、心理職に対する誤解を招くものだと感じてしまうわけです(これはもう学生の頃からずっと感じている事ですが)。

社会の側も精神疾患や発達障害等への理解が深まってきた事もあり、また公認心理師という国家資格が成立した事で心理職についての誤解も少なくなってきたとは信じてはいるのですが、そうは言っても「エンターテイメントと学問を一緒くたにされるのは、その学問への信用を損いかねない」という観点から、占いや上述の魔術師さん達とはラインを引いておきたいという思いがあるので、改めて心理学とはなんぞや?って話をしたいなぁと思います。もちろん、占星術とか運命学とも立派な学問だと主張される方もいらっしゃると思うので、「そことは成り立ちが違うんです」というご説明になります。


●心理学は19世紀のドイツ生まれ?

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こちら、心理学の祖と言われているヴィルヘルム・ヴントさんという方です。19世紀のドイツで生まれて、世界で初めて「実験心理学の研究室」を開いた方だと言われています。あれ?フロイト先生とかユング先生じゃないの?って思われた方もいらっしゃるかもしれません。一応、フロイト先生は精神医学者、ユング先生は心理学者として知られていますが、科学としての心理学の出発点はこのヴントさんが作られた実験室だと言われています。

心理の実験室って、なんか怪しげな事やってたんじゃないのか?オカルティックな事やってそう、みたいなお声も聞こえてきそうですがヴントさんが実験で用いたのは「内観」と呼ばれる自己観察によって、意識の要素と構成法則を明らかにしようという試みでした。実験ていう言葉のイメージとは裏腹に、結構穏やかで地道な事やってらっしゃいますね。。。というのが学生だった私の所感ですw

●それって結局主観だよね、という批判

ヴントさんは学問としての心理学を確立すべく、目に見えない心の動きについてなるべく客観的にアウトプットされた情報を収集・分析する事で解明を試みましたが、「そもそもそのアウトプットされた情報自体が内観という主観的な情報」だよねといった批判もあり、ここから心理学は色んな応用・発展をしていくことになります。ある人は「人の心を客観的に観察するには目で見て観測できる行動を測定するしかない」と考えますし、またある人は「人間が知覚した情報を収集、解析する事で人間の脳がどんな風に情報収集しているのか」を研究しようとしたりします。心の動きという主観的な情報をいかにして客観的に理解しようとするか、というムーヴメントがヴントさんの実験室での研究を発端として始まって行ったのです。

●集めた情報からどうやって意味を見出すの??

さてさて色んな研究者達が色んな人間の側面にフォーカスを当てて情報収集が行われて行ったわけですが、とはいえRAWデータの蓄積だけでは「そこから何が言えるのか」という意味のある結論に達することはできません。そこで登場するのが“統計学”という学問です。統計学は、集めたデータにどんな意味があるのか、数字でもって表現してくれる学問です。平均点とか偏差値、なんて言葉で皆さんにもなじみ深いところかと思います。統計学を使って、Aというアプローチをしたチームの成績とアプローチをしなかったチームの成績を比較して、Aというアプローチに効果があったかどうかを数値化する、といったようにこの統計学の導入が心理学を科学たらしめたのです。

今日、心療内科や精神科で心理職が様々な心理検査を実施していますが、これらの検査は膨大な研究データを基にして統計的に意味のある結果を抽出できるように作られた検査です。ここが、世に出回っている「心理テスト」との決定的な違いになります。四つの中から一つを選んだらあなたの性格傾向がわかります、なんていう心理テストに、あらかじめ事前のデータ収集をして四つの選択肢に統計的な優位差があることを実証する、なんて手間と時間をかけて作られているとは考えにくいですよね?(それを理解した上で楽しむのは自由ですし私も楽しんでます)


そんなわけで、今日は心理学という学問の出発点についてお話をさせていただきました。くれぐれも、占いなんて信用するなとか、あんな怪しいもの商売にしちゃいかん!なんていうつもりはなくて、バックグラウンドが違うので混同しないで欲しいな、というところをご理解いただけると幸いです。私自身、朝のニュースの「今日の運勢は?」みたいなコーナーも楽しみにしてますし、雑誌に載ってる「今月の金運、恋愛運」みたいなものの結果にも一喜一憂してます😆

ただ、用法容量守って正しくお楽しみくださいね⭐️というお話でした。


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有資格者の心理カウンセラーが自身のうつ病経験のしくじり体験談やそこから復職にいたるまでのコツや、病気と付き合う為のノウハウを記事にしています。遠隔カウンセリングも行っておりますので、なかなか外に出るのが難しかったり直接人と会うのが苦手な方もお気軽にお問い合わせ下さい☺️