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今、自死を考える人のことを考える

●自殺者の増加傾向

2021年1月現在、自殺者の数が前月までと比較して増加傾向にあるとのこと。改めていうまでもないことかもしれませんが、恐らく下記の点が影響している事に疑問の余地はないように思えます。

・緊急事態宣言に伴う経済活動の自粛、その影響による金銭的な不安

・外出自粛に伴う活動制限下での運動および日光にあたる時間の減少

・鬱屈した感情を吐き出す為の言葉が溢れ、それにより心身が疲弊する

・社会的構造変化に無意識に脳のエネルギーを消耗している

表面的には一番が大きな原因のように見えますが、実態としては三番目四番目が共通要因、一方で二番目と四番目はその影響に自覚の乏しい方が多いように思えます。(大々的に統計をとっているわけではありません)

●「死にたい」は心の悲鳴

亡くなった方にアンケートを取ることはできないので、最終的に自死に至る決断の動機を詳細に知ることはかないません。ですが、自死に至る方の多くはその直前に何らかのサイン、兆候、メッセージを残されるようです。そのサインからは、心が疲弊されていたであろう事が伺えるようです。一つご留意いただきたいのですが、周囲の方がそれに気づくか気づかないか、でその方の決断に変化があったかどうかの判断は保留とさせてください。少なくとも残された方を責めるような事はして欲しくありません。

私がお伝えしたいのは、今を生きている方々に向けて、その自死の判断をされる前にご自身の心の疲弊に気付いてほしい、という事です。「まだ大丈夫」とか「自分は甘えているだけだ」とか「弱音を吐くな」とか「自分なんかよりよっぽど苦しい思いをしている人はいるんだから」とか、、、そんな言葉をご自分の心に投げかけて、傷ついたご自身の心に蓋をしないでください。

「死にたい」とか「自分なんて生きていても価値がない」とか、そんな言葉が口をついて出るようになったらそれはあなたの心の悲鳴なのです!心が疲弊しきって、今の状態では1人で回復することが難しいほど追い込まれているんです!

医学的には、モノアミン仮説とか脳の炎症モデル、と言われるような「脳内伝達物質バランスの乱れ」や「脳内でサイトカインと呼ばれる炎症が増えている事」が心の疲弊と関連していると言われています。つまりあなたの「死にたい」という声はあなたの本心からの望みではなくあなたの脳が悲鳴をあげていて、SOSサインを出している状況だと理解できます。

脳からのSOSが出ているのにそのSOSに蓋をしたらどうなるでしょうか??

●心の疲弊のサイン

食欲がない、意欲が湧かない、日常生活行為さえめんどくさい・・・

体が動かない、頭が働かない、気づかないうちに怪我が増えてる、物忘れの増加

音や臭いや光に敏感になった、フラフラして立っているのもやっと、寝れない

イライラすることが増えた、些細な事も許せなくなった、急に泣けてきた

やけにハイテンションになる、急に一時的に活動的になりあれこれとやりだす

簡単な暗算ができなくなる、スケジュール把握ができなくなる・・・

これらは全て脳からのSOSです。こうしたSOSがご自身に現れ始めたら要注意。早めにSOSに気づけると、対処も早めにできます。ここを見逃すと、次第に「自力で回復が難しい」状態に陥ってしまいます。

●自死から踏みとどまるために

脳がSOSを出しているのだから、踏みとどまるためにはやはり脳を回復させてあげることが一番の回復手段です。回復するためには、材料、手順、十分な時間が必要です。つまり材料(食事、酸素、水分)手順(睡眠、排泄)時間(睡眠時間)です。寝れない、食べれない、では回復手段がなくなり消耗する一方です。

それでも、自死を考える方にとってはその回復手段がなくなっている状態が、ほぼ当たり前のような状況に陥っている方が少なくありません。(その意味で、自力での回復が難しい、のです。)だから辛い、その状態から解放されたい、と願い、自死を選択してしまう・・・。本当は「辛い」から解放されたいのであって、心身が健康な状態であればそのような選択はそもそも希望されない筈なのです。

ではどうやって踏みとどまったら良いのでしょうか?

できることは一つ。

とにかく声を出して周りに助けを求めるしかない、と私は思います。

「自分ではどうにもできなくなってるから助けてほしい!」

「今すぐ死にたいくらいに苦しくて仕方がない!」

と、とにかく発信をすることが、ご自身で自ら命を絶ってしまうことを防ぐための予防線になる。発信したら誰かが助けてくれるかもしれない。今すぐ辛い状態が治るわけではないけど、踏みとどまれるきっかけになるかもしれない。お医者さんに連れて行ってくれたり、お金の困り事について解決するための手続きを手伝ってくれるかもしれない。吐き出すことで少し楽になったり、孤独や不安が晴れるかもしれない。1人2人には相手にされなかったり、相手もどうしたらいいかわからないことがあるかもしれない。でも声をあげれば助けてくれる人に出会える打率が上がります。実際にひとに話すことも難しければSNSでもいいのです。発信しないと、あなたが「1人でどうしようもなくて困ってる」事に気づいてさえもらえないんです。

●妄言に振りまわされるな!

よく「死ぬ死ぬ言ってるうちは死なない」なんていう妄言を聞きます。そう、妄言です。それを言う人は、本当に辛い時にあなたを助けてくれない人です。誰かを助けたこともなければ、助けられた事もないから言える言葉だと私は思います。

だって、死ぬって言わなくなったら親身になってその人のこと助けてくれるの?


きっと、Noです。その人は、それを聞いても何もできない、何もしてあげられない自分を慰めるために「そんなこと言ってるうちは死なない」と自分に向けて言い訳をしているだけなのです。

もし、あなたの周りにそんなことをいう人がいたらこう返してあげてください。

「君がどうしようもなく辛くなった時は「死にたい」ってちゃんと教えてね。その時には何かできる事はないか、自分にできる限りの事はしたいから。」と。

今まだまだ元気だという人は、ぜひ周りの手の届く範囲の人たちに、できる限りその気持ちを伝えてあげてください。「君がいなくなってしまう前に、自分にできることは少しでも力になりたいんだ」と。

こんな誰かを傷つけあい、攻撃し合う世の中の雰囲気を、目の前から変えていきましょう。それがこの社会不安を打ち破る、一番の近道だと私は信じています。

ここまで目を通してくださってありがとうございます。

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有資格者の心理カウンセラーが自身のうつ病経験のしくじり体験談やそこから復職にいたるまでのコツや、病気と付き合う為のノウハウを記事にしています。遠隔カウンセリングも行っておりますので、なかなか外に出るのが難しかったり直接人と会うのが苦手な方もお気軽にお問い合わせ下さい☺️