見出し画像

[詩]かかる時間〜I dare to say

私に関して言えば

着替えにかかる時間は3分

下着を胸に沿って着けて
キャミソールを着て

到底シャツなんかを着る時間はない

最近は
ボタンをあらかじめ留めておいて吊るしている

結局シワがひどくて
諦めるのだけど

…といっても最近は

駅まで歩く道中で
服に手を突っ込んで
胸を寄せている

髪をセットするのは5分

昔からひどい寝癖だ
結局水を入れたスプレーで徹底的に濡らしてしまうのが手っ取り早い

こってりとしたワックスで下から立ち上げれば体をなす

また道中で時計をつける
どれだけ時間が迫っていても
シルバーの揺れないピアスをつけるのは欠かせない

何もかも
かかる時間を把握して

そうやって把握する時間も
渋々と

あのイヤな上司と今日話す時間は

結局
1時間も満たない

そんなことは
わかっているのに

思ったのか思ってないのか
そうして電車に乗ると
ピシッとしたシャツに
満遍なくクシにとかれた黒髪の

時計がシルバーで
重量のある黒のバッグを片手に持った

サラリーマンが会社に向かっている

よっぽどだよなと横目で
感心とともに

みんな違ってみんないい

童謡になっているだろうフレーズが
頭の中で流れる

みんなみんな 生きているんだ 友達なんだ

友達になんかなりたくないだろうなあ

隣に立つ女性は
案外ラフないでたちをしながら

ブランドのバッグを携えている

みんなみんな 生きているんだ 友達なんだ

夢の中でいいから
あなたの話を

いつか聞かせて


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?