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経営者の妻として、覚悟を決めて結婚したが

覚悟して結婚したはずなのにいろんな思いが込み上げて涙が出る時だってある。私だって愚痴の一つや二つ言いたくなる時だってある。

夫は忙しいとそれ以外のことができなくなる。一気に無口になるし仕事のことしか考えられなくなる。それが土日だろうとも、一緒に過ごす時間であろうともお構いない。数時間考えごとをしてクリアになるとケロッと笑顔で話してきたりするのだが、そうならないことにはいつまで経っても無口で心ここにあらずな対応をされる。

息抜きに、と思い誘ったIKEAでさえも道中全く話すことはないし、事態が好転するかと思ったが故にそうでないと余計にストレスだったりする。同じ車の中にいて全く会話をしないなんて息が詰まるし、真夏の暑い中の運転だったのにも関わらず窓を開けたくなって全開にした。

そんな私の小さなトライも実を結ばず、結局IKEAでは私が見たかったものを見るものの購入には至らずに数分の滞在で終わり、自宅に戻った。この時間は何だったのか。

家に帰るなりすぐにコーヒーを入れて書斎に籠る。考えことを処理する時間が必要なのだろう。

Twitterを見ていたら、同じようなことを呟いている人がいた。

「IKEAにいこうと話していたのに、夫は朝からだらだらモード。息子と二人で行ってこようか?というと、行ってきてと言われて腹立たしい。なので、ついでにランチまで行ってやった」

ここの旦那さんもさぞお疲れなのだろう。自分の夫に照らし合わせた。

私はいつも何処かで、「夫は経営者だからしょうがない」と言う呪文の言葉を使って自分を慰めたりする。自分の事業、自分の手腕、全て反映される経営の数字は365日休むことができないし会社員とはちょっと違うと思っている。自分がサラリーマンで働いていた時を思っても、明らかにその責任の重さや使命感が違う。

ただ、そうはいっても腑に落ちない時だってある。人間だから頭でわかっていることと感情とがついてこないことがある。でもこの「事態」は数週間に一度は繰り返していて、何度も繰り返すごとにうまく処理できるような能力を身につけないとなとも思うのだった。何度も似たような不穏な空気を経験しているしその度に喧嘩をするわけにもいかない。私たち、いや、私の成長度合いが試されているのかもしれない。

自宅に帰り、夫は歩み寄ってくれて「ごめんね、忙しいときはそれ以外のことができないんだ」と肩を寄せてくれたが、私は”覚悟して結婚したんだった”と思い涙がたくさん溢れた。何の涙だったんだろうか?耐えなければいけないという苦しさ?乗り越えなければいけないという焦燥感?寂しいとか腹立たしいとかそんなことではない。ただ決意からくる涙だったのか、私はこの苦しみを受け入れるしかない。

華やかな生活に見えるかもしれないが、日々私にだって辛いことはある。夫をどうやってサポートしていくか、それに合わせて自分の生活や精神をどう保っていくか。全く無視して自分の道に進むことだってできるだろう。でもそれはそれで家庭の平穏のバランスが崩れたり、一緒に過ごす時間がなくなったりする。余裕がないと歩み寄ることや許すことの難しさだってあるし、お互いの主張も出てきてぶつかることもあるはずだ。

私は夫が最大限の力を発揮できるようにサポートすると決めている。だとすればこの現実を受けいれて乗り越えていくしかない、そう思った結婚3年目の海外に住む夫婦の話だ。


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