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18-19 PL 第27節 Arsenal × Southampton

アーセナルは前節のハダースフィールド戦後、ELベスト32でBATEボリソフとホーム&アウェーの2戦を消化。アウェーで良いところなく格下とされていたBATEボリソフに0-1で敗れるも、ホームの第2戦で3-0で勝利し何とかベスト16へ駒を進める。ホームでの試合では終始ボールを保持して攻めていたが、チーム力の差を考えれば当然の結果とも言えるので、チーム状態はそこまで良くなってはいないのではないかと思われる。

対するサウサンプトンは、現在の順位が18位と降格圏ではあるものの、プレミアリーグ直近5試合で2勝2分1敗とまずまずの調子。前回対戦を振り返るとアーセナルの無敗記録を破った相手でもあるサウサンプトン。順位が18位とはいえ全く油断できない相手であるのは間違いない。

アーセナルはCL出場権の4位を勝ち取るため、サウサンプトンはプレミアリーグ残留に向けて、お互いに勝ち点3が欲しい両チームの対戦。

PLでの前回対戦時レビューはこちら
18-19 PL 第17節 Southampton × Arsenal

■チーム概要

【HOME】
・アーセナル(監督:ウナイ・エメリ)
フォーメーション
基本:4-2-3-1
ボール保持:2-4-3-1
ボール非保持:4-4-2

【AWAY】
・サウサンプトン(監督:ラルフ・ハーゼンヒュットル)
フォーメーション
基本:3-5-2
ボール保持:3-3-4
ボール非保持:5-3-2

■前半の試合展開

アーセナルは4-2-3-1、サウサンプトンは3-5-2の布陣でスタート。アーセナルはジャカをアンカー気味に落としつつビルドアップしながら、サイドのSHとSBの連携でニアゾーン侵入を狙う形をベースに組み立てを行う。対するサウサンプトンはプレッシングからのショートカウンター、またはDFラインから前線の2枚またはSHの前へロングボールを蹴ってセカンドボール回収から押し込む形を狙っているように見えた。

立ち上がりはサウサンプトンが前線からプレッシングを行うものの、前回対戦時とは違い1列目と2列目の連動が機能せず。アーセナルは比較的ラクにボールをつなぎ前へ運べていた。

しかし、6分にサウサンプトンにビッグチャンスが訪れる。ラインを高く設定していたアーセナルだったが、ラインコントロールを誤り、レドモンドにオフサイドギリギリで抜け出される。GKと1対1になるが角度が無かったこともあり、ここはレノのビッグセーブでゴールとはならず。
逆にアーセナルはこの守備からカウンターを狙う。一旦ボールを奪われるがラカゼットの良いポジショニングから再度ボールを奪いショートカウンターにつなげる。左サイドのイウォビへボールが渡りクロス、これをムヒタリアンがシュート、コースがずれていたもののラカゼットが上手く反応しバックヒールで合わせてゴール。アーセナルが大ピンチから一転、先制点を奪う形に。

この先制点で試合はアーセナルペースに。16分には更に追加点を奪う。サウサンプトンのビルドアップ時にラカゼットがプレッシングでGKへのバックパスを誘発。GKガンのキックはミスになりイウォビへのプレゼントパスに。そのままイウォビは縦へ持ち込んで中へクロス。クロスは相手に当たったものの大外へ流れ、そこへ走り込んできたムヒタリアンが落ち着いてゴールへ流し込み追加点。早々に2点のリードを奪う。

追加点を奪ったことで試合は更にアーセナルペースになり、そのまま前半は終了。ビルドアップでは、CBのムスタフィが上手くドライブを使いファーストディフェンダーを引きつけ、中盤センターではジャカとトレイラを中心に組み立てを行う。サイドは右左ともにSHとSBにトップ下のラムジーが絡みながら数的優位を作って押し込む。サイドから押し込むことでサウサンプトンのラインを押し下げつつ、ネガティブトランジションでも自ゴールから遠い位置なので帰陣する時間をかせぐ。何度かピンチはあったものの、全体的にアーセナルが狙ったとおりに試合を進められた前半だった。強いて言えば何度もあったチャンスを決めて3点差に出来なかったのはもったいなかったぐらい。

■後半の試合展開

2点ビハインドのサウサンプトンは、後半開始早々から2枚替えでフォーメーションを4-4-2へ変更する。CBのスティーブンスを下げて前線のオースティンを投入。さらにアームストロングとオバフェミを交代。

狙いは恐らく3点。
・サイドの枚数を増やして同数で守れるようにする
・オバフェミがサイド裏に走り込み押し込む
・リヒトシュタイナーに対してレドモンドでスピード勝負

実際この交代は功を奏していたように思う。後半は前半のように押し込むことが出来なくなり、アーセナルはSB裏のスペースへオバフェミが走り込まれることでDFラインを押し下げられていた。決定的なピンチになるほど崩されることはないものの、アーセナルは前線までなかなかボールを運べない時間が続く。

56分、アーセナルは右SBのリヒトシュタイナーが負傷(疲労?)で交代。コシエルニーがCBに入り、右SBにはムスタフィが入る形になる。さらに63分にはラムジーを下げてエジルを投入する。

逆にサウサンプトンは、後半頭から投入したオバフェミが負傷してしまいエルユヌシと交代。わずか20分の出場となり、監督ハーゼンヒュットルとしても思ったように進められない展開となってしまった。

アーセナルはエジルが入った事で徐々に前へボールを運べるようになる。エジルがハーフスペースのDF-MFライン間でパスを引き出しながら展開することで、全体の押し上げを可能にしていた。試合終了が近づくに連れてアーセナルに決定的なチャンスが何度か訪れたものの追加点は奪えず。そのまま2-0で試合終了。

■試合結果

Arsenal 2 × 0 Southampton

■得点
6分:ラカゼット(アシスト:ムヒタリアン)
17分:ムヒタリアン

■交代
45分:スティーブンス → オースティン
45分:アームストロング → オバフェミ
56分:リヒトシュタイナー → コシエルニー(負傷交代)
63分:ラムジー → エジル
65分:オバフェミ → エルユヌシ(負傷交代)
75分:イウォビ → オーバメヤン(負傷交代)

■まとめ

前半はフォーメーションのかみ合わせからアーセナルが優位に立ち、ビルドアップからサイドへの展開で主導権を握る展開。後半はサウサンプトンが対策してきたことで前半ほどビルドアップでもサイドでも優位に立てずといった展開。

アーセナルは全体的にどの選手も良かった。個人的に前半で特に優位性のきっかけを作っていたムスタフィが特に良かったと感じた。ムスタフィがファーストディフェンダーを引きつけることで相手を動かし、中盤、サイドで優位に立てる状況のきっかけを作ってくれていた。欲を言えばサウサンプトンが行ってきた対策に対して、更にその対策を講じて試合を決めきっていればもう少し楽に試合を締めくくれたのではないかと思う。

また、アーセナルの良さを引き立ててしまったのはサウサンプトンの出来の悪さだったと感じた。特にプレッシングでは前線と後ろの連動が見られずライン間が広くなっており、プランどおりに進められていなかったのではないかと思う。

アーセナルはこの勝利で暫定ながらCL出場権を獲得できる4位に浮上。徐々にではあるがチーム状況も上向きになってきたように感じる。特にムヒタリアンが帰ってきたことはとても大きい。ムヒタリアンがいることで4-2-3-1が上手く機能している。ここにベジェリンが居てくれれば尚良いのだけれど・・・

次節は中2日で第28節のボーンマス戦。さらにその次は中2日でノースロンドンダービーも控えている。ノースロンドンダービーを考えるとこの過密日程でボーンマス戦はターンオーバーしたいところだが、CL出場へ向けて次節も絶対に勝ち点3を勝ち取らなければいけない試合。これからも絶対に勝たなくてはならない試合が続く。