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「ELへの調整試合」20-21 PL 第34節 ニューカッスル・ユナイテッド×アーセナル レビュー

前節のプレミアリーグで敗戦し、ミッドウィークのELビジャレアル戦1stレグでも敗戦を喫したアーセナル。引き続き怪我人も多くチーム状態は厳しい。そんな中で対戦する今節の相手は、プレミアリーグでここ4戦負けのないニューカッスル。暫定順位は17位と降格圏ギリギリではあるものの、18位から勝ち点差を広げ残留へ一歩リード。順位は下位ながら、アーセナルと異なりチーム状態は上向き。

プレミアリーグでの前回対戦時レビューはこちら

■ チーム概要

【HOME】
・ニューカッスル(監督:スティーヴ・ブルース)
フォーメーション:5-3-2
【AWAY】
・アーセナル(監督:ミケル・アルテタ)
フォーメーション:4-2-3-1

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アーセナルは暫定順位が11位とボトムハーフに沈み、プレミアリーグからヨーロッパ大会への出場権を勝ち取ることが現実的でなくなった。ELの優勝に全力を注ぐしかない状態のアーセナルは、今節から中4日で戦う次のELビジャレアル戦2ndレグに向けてターンオーバーを実行。負傷空けなどでコンディションを整えたい主力選手をスタートから使いつつ、他のメンバーは休ませた布陣。

■ 前半①:チャンスを生み出すCB陣

試合開始からアーセナルは上々の立ち上がりを見せる。2分のシーンではニューカッスルを押し込み、右サイドで相手陣内に入った位置からダビド・ルイスが幅を取っていた左サイドのマルティネッリへ対角のロングフィード。ここから一気にクロスへ持ち込み早々にチャンスを生み出す。

4分にはダビド・ルイスの相方マガリャンイスが魅せる。ビルドアップから相手のプレスやマークを見てそのままドリブルでスルスルと持ち上がる。そのままペナルティエリア前まで運びミドルシュート。これは相手にブロックされたものの、ダビド・ルイスのロングフィードと、マガリャンイスのドライブと、キックと機動力を活かした攻撃を見せる。

先制点は、まさにそのCBからの展開で生まれる。5分、ダビド・ルイスから今度は右サイドでDFラインの裏をとったベジェリンへロングフィード。これが見事にゴールライン手前で失速しベジェリンがちょうど追いつく形に。ベジェリンはそのままワンタッチでマイナスへクロス。これがオーバメヤンへドンピシャで合うもののシュートは上手くミートできずボールは後ろへ転がっていく。しかし、そこへ飛び込んできたのはエルネニー。トラップもせず上手く歩数を合わせてハーフボレーでゴールへ叩き込んでアーセナルが先制に成功する。

■ 前半②:ゆるいニューカッスルの守備

ダビド・ルイスのフィード、ベジェリンの折返し、エルネニーのハーフボレーと見事な連携プレーで先制したアーセナル。ただ、ニューカッスルのゆるい守備にも問題はあった。

基本的に5-3-2のフォーメーションで守るニューカッスル。当然のことながら左右WBの前、3枚のCH脇はスペースが出来る。先制点の起点となったダビド・ルイスのロングフィードは、まさにこのスペースから蹴り出されている。

ニューカッスルのWBはアーセナルのSHやSBが幅と深さを取りにいっているので、そこをケアする必要がある。CHがスライドするとライン間にポジショニングしているウーデゴールあたりが空いてくる。となると、このスペースをケアすべきだったのはFWの2枚。しかし、この試合では終始前線の2枚がそこをケアしてくる様子は見られなかった。

最前線でロングフィードを収めて起点を作っていたカラム・ウィルソン。ボールを受けに下がって得意のドリブルでアーセナル陣地へ持ち上がって全体を押し上げたサン=マクシマン。オフェンス面ではチームに貢献していたものの、守備では一つの穴となってしまっていた。

ニューカッスルの守備のゆるさもあり、ボールを保持して試合を支配したアーセナルだったが決定機は多く作り出せず。スコアは0-1のまま前半を終える。

■ 後半①:手痛い負傷交代

前半に続き後半もまずまずの入り方を見せたアーセナル。しかし50分、ダビド・ルイスがロングフィードを蹴った際にハムストリングを痛めてしまい負傷交代。膝の怪我から戻ってきた調整の意味もあった試合でまさかの負傷離脱。先制点につながった得意のロングフィードなど、このあとのビジャレアル戦でも貴重な戦力になるはずだった選手が離脱してしまうこととなった。

ダビド・ルイスと交代で投入されたのはチェンバース。本来であればホールディングがこの役目を担うはずだが、ELを見据えてか今節はベンチにも入っておらずお休み。

久々のCB起用となったチェンバースだったが、交代直後のプレーでニューカッスルのリーチが蹴った鋭いクロスを見事にクリア。チームをピンチから守り、良い形で試合に入ることができた。

■ 後半②:待望の選手に待望のゴール

ボールを保持し、試合も支配しているアーセナルだが、前半同様なかなか決定機まで作り出せない嫌な時間が続く。そんな嫌な流れを断ち切ったのは、アーセナルのエースストライカーだった。

65分、ボール保持から左右に揺さぶりつつ、ジャカから中央のオーバメヤンへ楔のパス。このパスを近くに居たセバージョス、ウーデゴールとつないで、再度オーバメヤンへ。中央にいた3人のコンビネーションでバイタルエリアへ侵入。前を向くことができたオーバメヤンのドリブル突破は阻まれるも、こぼれ球をウーデゴールが左サイドのマルティネッリへ展開。これをマルティネッリは利き足とは逆の左足でワンタッチで中央へ折返し。これをオーバメヤンがジャンピングシュートでゴールへ押し込み、待望の追加点。

中央3人の崩しできっかけを作り、そしてオーバメヤンしか届かないコース、速さでクロスを折り返したマルティネッリの素晴らしいキックと、見事なプレーでアーセナルのエースストライカーが久々のゴールをゲットした。

2点のビハインドになったニューカッスルは、2枚替えで4-4-2のフォーメーションに変更するが、前線の守備のゆるさは解消されず。試合はそのままアーセナルが支配する形に。90分には、交代で投入されたニューカッスルのシェアがマルティネッリへの後ろからのタックルで1発レッドカード。これでニューカッスルは万事休す。0-2でアーセナルが勝利を収めた。

■ 試合結果

Newcastle 0 × 2 Arsenal

■ 得点
6分:エルネニー(アシスト:オーバメヤン)
66分:オーバメヤン(アシスト:マルティネッリ)

■ 交代
53分:ダビド・ルイス → チェンバース(負傷交代)
72分:フェルナンデス → シェア
73分:アルミロン → ジョエリントン
78分:オーバメヤン → ペペ
84分:クラーク → ゲイエ
85分:ウーデゴール → トーマス
90分:シェア(レッドカード)

■ 試合ハイライト

■ あとがき

クリーンシート。得点も2つ挙げて結果は上々。とは言え、アーセナルが良かった!というよりはニューカッスルの出来がイマイチだった。という試合。ニューカッスルはプレミア残留が濃厚になってきたということで、メンタルの面で少しゆるい部分があったのかもしれない。

この試合、アーセナルは前線から積極的にプレッシングを実行していたものの、プレスがはめきれておらずボールの回収に失敗する場面が多く見られた。勝たなくてはならない次の試合のビジャレアルはビルドアップで引き込んでから擬似カウンターを狙ってくるのが上手かったので、この試合でプレスがうまくはめられなかったのは非常に心配。

良かった点を挙げるのであれば、ファイナルサード左右の崩しの場面。3-1-6のビルドアップからファイナルサード右はベジェリンとウィリアンのコンビネーションを軸に形成。特にベジェリンのオフザボールの動きは素晴らしく、ウィリアンの位置に合わせて幅を取ったり、偽SBでCHの位置に入ったりと、気の利いたプレーが見られた。左はマルティネッリの単騎でのドリブル突破が効果的だった。幅や高さもしっかりと確保しチームに貢献していた。あとは上のレベルでもこの突破が通用するかが課題だろう。

試合の内容、そしてダビド・ルイスの負傷離脱と、勝利を挙げたものの次のビジャレアル戦に向けて不安を感じる結果となった今節。ビジャレアルに勝利を挙げなければ実質今シーズンは終了となる。CL出場が無くなれば来シーズンの補強にも大きく影響してくるだろう。まさに正念場。内容は問わないのでとにかく勝利を収め、EL決勝へ駒を進めて欲しい。


見出し画像 引用元:アーセナル公式HP
ハイライト動画:アーセナル公式 You Tube
フォーメーション画像作成:TACTICALista