見出し画像

18-19 PL 第28節 Arsenal × Bournemouth

前節サウサンプトン戦に2-0で勝利したアーセナル。順位も4位に浮上し徐々にチームの状態も上向きつつある。今節の対戦相手は現在12位と中位に位置するボーンマス。中2日という過密日程での対戦となる。

今節を終えるとまた中2日でアウェイのノースロンドンダービーが控えているので、今節をある程度ローテーションで戦うのか、それともここでしっかりと勝ち点3を確保するためにフルメンバーで挑むのか、メンバー選考に注目の集まる一戦。

アーセナルは前節から6名を入れ替え。適度なローテーションを実行する。ただ、極端に力を落としたということはなく、疲れやケガ、次節へのコンディションなどを考慮しつつ現状でのベストメンバーを組んできたようだ。そんなメンバー選考の中、久々にエジルがスターティングメンバーに名を連ねた。

PLでの前回対戦時レビューはこちら
18-19 PL 第13節 Bournemouth × Arsenal

■チーム概要

【HOME】
・アーセナル(監督:ウナイ・エメリ)
フォーメーション
基本:3-4-2-1
ボール保持:3-4-2-1
ボール非保持:5-4-1

【AWAY】
・ボーンマス(監督:エディ・ハウ)
フォーメーション
基本:4-4-2
保持:2-4-4
非保持:4-4-2

■前半の試合展開

この試合3バックでスタートしたアーセナル。ビルドアップでは3バック+2CHでボールを出し入れしつつファーストディフェンダーのプレッシングをかいくぐる。ビルドアップの出口として狙うのは主にシャドーに入ったエジルとムヒタリアン。この2枚にボールが入ったときが攻撃のスイッチを入れるタイミングになっていた。対するボーンマスは、試合開始早々から積極的なプレッシングを実行。フォーメーションを崩さず4-4-2のまま前線からプレスをかける。だが、CHのゲンドゥージやトレイラがCBのラインまで下がってボールを受けることでかみ合わせを外し、ボーンマスのプレッシングは上手く機能せず。アーセナルは比較的楽にボールを前へ運べていた。

そして4分、早くもアーセナルが先制点を奪う。右サイドのビルドアップからやり直しで戻ったパスをコシエルニーが大きく左WBへサイドチェンジ。これをコラシナツ、ムヒタリアンとつないで、再度コラシナツからするするっとハーフスペースのライン裏へ走り込んだエジルへスルーパスが通る。GKと1対1になったエジルは、インサイドでボールを叩きつけるキックで浮玉にする巧みなシュートでGKのタイミングをずらして鮮やかにゴールを決める。早くもアーセナルが主導権を握る展開に。

主導権を握ったアーセナルは、より前がかりに攻め立てる。ただ、それによりややCH(特にゲンドゥージ)のポジションが前目になることが多く、DFラインとの間にスペースが生じていた。15分頃からはボーンマスも巻き返し、何度かアーセナルゴールに迫るシーンを作っていた。

20分頃からボーンマスがディフェンス時のフォーメーションを変える。2トップの一角であったキングを左SHにもっていきサーマンをアンカーポジションに。4-1-2-3のような形で3バックに噛み合わせる。ビルドアップの鍵をにぎるCHにはゴスリングやフレイザーが厳しくプレッシングを行い前進を阻止。徐々にアーセナルはビルドアップがうまくいかなくなってくる。

しかし27分に思わぬ形でアーセナルが追加点を奪う。ボーンマスの左SBスミスがボールを保持した状態からサイドチェンジを狙うも中途半端なキックになり、これをムヒタリアンがカット。そのまま持ち上がって裏へ抜けたエジルへパス。エジルはシュートを打つと見せかけてワンタッチでムヒタリアンへリターン。これをムヒタリアンが難なく決めて追加点。チャンスをきっちりと決めきったアーセナルが貴重な2点目を奪う。

このまま一方的な展開になるかと思われたが、フォーメーションを変更したボーンマスの守備が功を奏す。アーセナルのビルドアップでGKレノからCHゲンドゥージへ出たパスを狙ってゴスリングがプレッシング。ファール気味に見えたタックルだったが、これでボールを奪取し中のムセへパス。ムセが難なく決めて1点を返す。アーセナルはビルドアップのミスからもったいない失点。

前半はそのまま終了。2-1でアーセナルが1点リードで折り返し。

■後半の試合展開

後半は両チームともに選手交代は無し。前半終了時と同じフォーメーションでスタート。

後半開始からわずか1分20秒、アーセナルが追加点を奪う。変化をつけたフリーキックからショートパスをつないでムヒタリアン、エジルのワンツーパスでニアゾーンへ侵入。ムヒタリアンから中央で待っていたコシエルニーへの丁寧なパスが通りシュート。GKが触るもゴールラインを割っておりゴールが認められ追加点。早い段階でリードを2点に広げる。ムヒタリアンの抜け出しにエジルの丁寧なリターンパス。コシエルニーのマークを外すステップなど、非常に見応えのあるゴールだった。

後半も10分が経った頃、両チームのベンチが動く。ボーンマスはアイブに替えてダニエルズを投入。フォーメーションを3-4-3に変える。アーセナルはコラシナツに替えてイウォビを投入。こちらは4-2-3-1のフォーメーションへ。
ボーンマスとしては、エジルやムヒタリアンに再三突かれていたハーフスペースを3バックで防ぎたいといった意図があったのかもしれない。対するアーセナルは、トップ下を置くことでCH前のスペースを埋めてDF-MF間のスペースが大きく空かないように修正したように見えた。

この選手交代の直後、また試合が動く。アーセナル陣内でボーンマスがボールをロスト。ボールを持ったムヒタリアンは自陣ペナルティエリア付近からそのままドリブルを開始。ハーフウェイライン付近までボールを運び、相手DFの間を上手く抜け出したオーバメヤンへ絶妙なスルーパスを通す。スピードに乗ったオーバメヤンはそのままGKを交わしてゴール。選手交代がどう試合に影響するのかを見る前にアーセナルがさらに追加点を奪い、半ば試合を決定づける形に。ボーンマスとしては、フォーメーションを変えて巻き返そうとした矢先にミスからの失点となった。

試合はその後もアーセナルが主導権を握ったまま進んでいく。そして78分、ボーンマスのゴール前で直接フリーキックのチャンス。ボールの前に立っているのは途中交代で投入されたラカゼット。ラカゼットがフリーキックを蹴っている記憶は無いが点差が開いていたことでちょっとした遊び心なのかなと思いきや、ラカゼットは見事なキックでフリーキックを直接決めて更に追加点を奪うことに成功する。地味ながら壁を抑え込んでシュートコースを空けたソクラティスのプレーも効いていた。

そのままアーセナルが試合をコントロールし試合終了。クリーンシートは逃したものの、5-1の大差でアーセナルが勝利を勝ち取った。

■試合結果

Arsenal 5 × 1 Bournemouth

■得点
4分:エジル(アシスト:コラシナツ)
27分:ムヒタリアン(アシスト:エジル)
30分:ムセ(アシスト:ゴスリング)
47分:コシエルニー(アシスト:ムヒタリアン)
59分:オーバメヤン(アシスト:ムヒタリアン)
78分:ラカゼット(直接FK)

■交代
56分:アイブ → ダニエルズ
57分:コラシナツ → イウォビ
64分:ムヒタリアン → ラカゼット
70分:スミス → リコ
71分:オーバメヤン → スアレス
80分:フレイザー → サリッジ

■まとめ

アーセナルとしては、試合開始直後に得点、更に相手のミス絡みでポンポンと効率よく追加点を奪えたのは非常に大きかった。それを可能にしていたのは、この試合躍動していたエジルとムヒタリアンだろう。両選手ともにハーフスペースを上手く活用し、ビルドアップから前線の起点作り、フィニッシュに至るまで、縦横無尽に躍動していた。

他にも後ろからゲームを組み立てつつ、セカンドボールを何度も回収していたゲンドゥージとトレイラ、ここぞという時に体を張ってゴールを死守するコシエルニーやモンレアルなどのベテラン勢、さらにはガッツ溢れるプレーでグーナーを魅了したジェンキンソンと、出場した選手みんなが活躍していた試合だった。

同節でスパーズが負けたことで3位スパーズとの勝ち点は4に縮まった。次節のノースロンドンダービーで勝てば勝ち点は1差。逆転も十分に有り得る状況になってきた。更にスパーズはここ2試合で連敗を喫しており調子は下降気味。アーセナルは連勝を飾っており上り調子。とても楽しみだ。