介護人材不足にどう対応すべきか 訪問介護士@オーストラリア

最近、投稿できずにおりましたが、大学院のレボートに夢中になっておりました。久々の勉強は楽しくて仕方がありません(が、哲学・倫理学に関しては、わからないーーーと頭を抱えておりまする…)。

ある科目の長寿化と人口増加に伴う変化を取り上げて論じる課題で、私は「介護人材不足」をテーマにレポートを書き、昨日レポートの添削が返却され、俄然やる気が出てきました。

既にご存知の方も多いと思いますが、2023年度で既に約22万人の介護職員が不足しています。2025年度には介護職員が約243万人必要となる一方で、働き手は約220万人で約32万人の不足、2040年度には約280万人が必要とされている一方で、働き手は約215万人で約65万人が不足すると予想されています。私はちょうど団塊ジュニア世代、まさに私の同年代がこの2040年問題に直面するわけです。

国は介護予防に力を入れていて、アクティブシニアが注目されていますが、平均寿命が男性81.05年、女性87.09年、健康寿命が男性72.68年、女性75.38年ということは、どんなに個々人が健康維持を頑張っても、死ぬまでに多くの人は大なり小なり援助や介護が必要となる時期があるのです。安楽死のドキュメンタリーが地上波でも流れ、以前より安楽死や尊厳死について取り上げられることが増えてように感じますし、『PLAN75』という映画まで放映され、高齢者は自活できなかったら死んだ方がいいみたいな風潮も感じられずにはいられません。

国は、①介護職員の処遇改善、②多様な人材の確保・育成、③離職防止・定着促進・生産性向上、④介護職の魅力向上、⑤外国人材の受入環境整備など総合的な介護人材確保対策に取り組むと言っていますが、給与の改善は国の財政状況と介護のシステム上、この先も大きな改善は見込めないでしょう。外国人材の受け入れは進んでおり、着実に人数は増えてはいるものの、各事業所の受け入れ態勢はまだ進んでおらず、8割以上の事業所では外国人材を活用できていません。言語や文化の壁も依然として大きな課題として残ったままです。
私が感じる一番の問題は、介護職のイメージの悪さと、介護職を下に見る風潮が変わらないことではないかと感じています。だから、利用者やその家族が介護職員を下に見て暴言を吐いたり、無理な業務を要求して、介護職員がストレスを感じることも少なくありません。パワハラ対策にも目を向けるようになってはいますが、認知症等の症状による言動もあるので、なかなか問題として取り上げる難しさもあります。介護職員が暴言・暴行をすれば大きく報道で取り上げられるのに、その逆はもみ消されてしまう…。
若い世代が介護職を目指せば、家族に反対されて諦めてしまう、せっかく希望を叶えて介護職に就いても、職場で日常的に嫌な目に遭って介護業界を離れてしまう、そんなことも起きています。
国は人材不足の対策として「介護職の魅力向上」を掲げていますが、一体どうやろうとしているのでしょう。
主な取り組みとして以下の4つを挙げていますが、陳腐なアイデアとしか言いようがありません。これで本当に人々の介護職に対する理解が深まり、イメージが変わるのでしょうか。
★学生やその保護者、進路指導担当者等へ の介護の仕事の理解促進
★介護を知るための体験型イベントの開催
★若者層、子育てを終えた層、アクティブシニア層に対する 介護職の魅力等の情報発信
★介護サービスの質の向上とその周知のため 、ケアコンテストの取組を情報発信

表面的な体験は逆にイメージを下げてしまうことも、個人的な体験から感じています。単なる情報発信だけでは得られない、介護職に対する正しい理解は不可欠だと思います。そして、いずれ利用者となる壮年期や高齢期の人々も、アクティブシニアのようなキラキラした高齢者ではなく、本来多くの高齢者が過ごしている実生活はどのようなものかをイメージではなく、正しく理解することも大切なのではないかと感じています。
核家族が増え、同じ屋根の下に高齢者がおらず、世代別に断絶されて別の世代と関わる機会が少ない現代だからこそ、社会全体での「共生」をもっと大切にしていく必要があるのではないでしょうか。

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