ビクトリア州の大学入学システム(VCE) 教育@オーストラリア
私が住むオーストラリアのビクトリア州では、The Victorian Certificate of Education (VCE)を終え、最終的に算出されるATAR Scoreという点数によって入学できる大学が決まります。
このVCEについて詳しくご説明したいと思います。
VCEとは、The Victorian Certificate of Educationの略で、ビクトリア州教育省が発行する証明書、及びそれを取得するためのシステムを指します。生徒は高校最後の2年間(11年生と12年生)で各自の高校卒業後の希望進路に沿った科目を勉強し、最後に大学希望コース入学の目安となるATAR(Australian Tertiary Admission Rank)を得て進路が決まります。VCEの他に、VCAL(ビクトリア州実用学習証明書)というのもあり、こちらは大学進学よりも就職に向けて、より実践的な技術を学びトレーニングを積むためのコースを選択した場合の証明書です。現地の大学進学のためには、VCEが必要です。
<VCEについて>
◆どの科目でも11年生でUnit1/2、12年生でUnit3/4を履修するのが一般的です。10年生でUnit1/2から始める現地生徒もいます。
◆英語科目(留学生はEAL)は必須科目で、それ以外は全て選択科目です。
◆11年生で6科目、12年生で5科目履修するのが一般的です。
学校によって異なりますが、通常10年生の7・8月くらいに11年生の希望履修科目を提出します。
※現地進学希望の生徒にとって、このVCE科目の選択がとても重要になるので、現地校のCareerの先生に相談するよう勧める必要があります。また、出願条件に指定科目があるコースがあるので、VCEの科目選択の前に志望コースの出願条件を調べておく必要があります。
◆職業訓練科目=Vocational Education and Training (VET) もあり、現地生徒は履修可能ですが、留学生は2020年より履修できなくなりました。
◆進級及び卒業に必要な単位は、通年で8単位です。Unit1/2は1科目につきセメスター毎に1単位、Unit3/4は1科目につき通年で2単位取得できます。
◆この8単位には、English(またはLiterature)、留学生の場合はEALの単位が含まれている必要があります。Unit1/2では、どちらかのセメスターで英語(EAL)をパスできていれば問題ありませんが、Unit3/4は通年で単位を取得できるため、英語(EAL)をパスしないと卒業ができません。
◆Unit1/2を履修してからUnit3/4を履修した方が望ましいですが、Unit3/4から履修できる科目もあります。
※Unit1/2を履修していないとUnit3/4を履修できない科目もあります(Specialist Maths, Maths Methods, Physics等)。
※Unit1の時点で既にパスするのが難しいと感じている場合は、Unit2から科目変更を勧めた方が良い場合もあります。
<ATARについて>
◆Unit3/4の通年の成績で点数が換算され、各科目のStudy Scoreが出されます。科目によって配点は異なります。
例:Maths Methods Accounting
School-assessed Coursework Unit3:17% School-assessed Coursework Unit3:25%
School-assessed Coursework Unit4:17% School-assessed Coursework Unit4:25%
Exam1(Calculator Free):22% Exam:50%
Exam2(Calculator Active):44%
Visual Communication and Design Music Performance
School-assessed Coursework Unit3:33% School-assessed Coursework Unit3:20%
School-assessed Task(SAT):33% School-assessed Coursework Unit4:10%
Exam:34% Performance Exam:50%
Aural & Written Exam:20%
◆Study Scoreは50点満点です。
2% of students will get a score on or above 45
9% of students will get a score on or above 40
26% of students will get a score on or above 35
53% of students will get a score on or above 30
78% of students will get a score on or above 25
93% of students will get a score on or above 20
※Study Score40点以上が、成績優秀者として新聞やインターネットに掲載されます。
◆Study Scoreとは各科目の点数のことで、Scalingの前の点数です。Scalingの後の点数をSubject Scoreと呼びます。
◆ATARは最高6科目のScaled Subject Scoreから計算され、英語(English, English Language, English as an Additional Language (EAL), Literature)と上位3科目のScaled Subject Score、5・6番目の10%のScaled Subject Scoreから計算されます。
◆ATARの最高点は99.95、最低点は30以下(30以下は点数がつきません)で、0.05点刻みです。
◆Scalingは年によって異なりますが、傾向として理系科目(Specialist Maths, Maths Methods, Chemistry, Physics等)と言語科目(French, Japanese as Second Language等)でScale Upされ、文系科目でScale Downされます。
※Japanese as First LanguageではScale Upはされません。
<VCE科目について>
◆以下の9つの主要学習分野から90を超えるVCE科目が提供されています。
※提供している科目は学校によって異なります。
•英語(English/EAL/Literature/Foundation English/Bridging English as Additional Language)
•数学(General Maths(Unit1/2)/Further Maths(Unit3/4)/Maths Methods/Specialist Maths/Foundation Maths)
•自然科学(Physics/Chemistry/Biology/Environmental Science/Psychology)
•人文科学(History/Geography/Australian and Global Politics/Classical Studies/Philosophy/Religion and Society/
Sociology/Texts and Traditions)
•ビジネス・経済(Business Management/Accounting/Economics/Industry and Enterprise/Legal Studies)
•技術(Agricultural and Horticultural Studies/Food Studies/Product Design and Technology/Systems Engineering)
•デジタル技術(Algorithmics (HESS)/Computing)
•ビジュアルアート(Art/Studio Arts/Visual Communication & Designs/Media)
•パフォーミングアート(Dance/Drama/Music Performance/Theatre Studies)
•保健体育(Physical Education/Health and Human Development/Outdoor and Environmental Studies)
•英語以外の言語(Japanese/Chinese/French他多数)
<日本語の履修について>
◆高校留学の生徒は、Japanese as First Languageを履修する必要があります。(Second Languageは不可)
◆Japanese as First Languageは、現地校では提供しておらず、土曜日の通学、もしくは通信講座で受講可能です。
※通信講座はUnit3/4しか開講されていないので、Unit1/2から履修した場合は、土曜日に特定の学校に通う必要があります。
◆通信で受講した場合、SAC等のテストは通常放課後や空き時間に行われ、Oralのテストは電話で行われます。
※通信で受講する場合、テストについて各学校の担当の先生に確認する必要があります。
◆JapaneseのOral Examが通常10月上旬に行われるため、帰国受験をする場合、志望校によっては大学入試の試験日とOral Examの試験日が重なる可能性があります。したがって、帰国受験志望の生徒には、11年生でUnit3/4を履修することを勧めた方が良いです(日本語は、Unit1/2を履修せずにUnit3/4を履修することが可能です)。
※Offshore Examを申し込んで、日本でExamを受けることも可能ですし、Oral Examだけ日程を変更してもらうことも可能です。いずれの場合も、事前に学校に相談する必要があります。
<参考資料>
Study in Melbourne, Australia | Victorian Government Schools
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?