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ボードゲームの説明書の作り方〜グラフィック編〜

この記事はBoard Game Design Advent Calendar 2021の13日目として書かれています。

こんばんは
Sui Worksのサニィです。

今日は、毎年恒例の上杉真人(I was game)さんのアドベントカレンダーに寄稿しています。

今回のテーマは「説明書の作り方〜グラフィック編〜」です。

自己紹介とはじめに

お前誰やねんという声が大きいので、先に自己紹介をします。

1995年、札幌生まれ、福岡育ち、東京在住の26歳の男性です。サニィと申します。名前の由来は、3/21が誕生日だからです。

2016年くらいからボードゲームを遊ぶようになって、2018年くらいからボードゲームを作るようになって、2021年に説明書を作るレーベルを立ち上げました。

このSui Worksでは現在までに未発表含めて15作品ほど、説明書に携わってきました。半年でこの本数ですので、前よりも知見が溜まってきたかなと思っています(とはいえ、まだまだ知らないスキルがAdobeで出でくるものだから堪らないですね)

なので、今回はアドベントカレンダーに寄稿したり、それを読んだりするボードゲーム デザイナーの方への「ボードゲームの説明書の作り方〜グラフィック編〜」をまとめます。

説明書とは

説明書は、ボードゲームにおいて非常に重要な役割を果たします。
ボードゲームは、いくつかのモジュールの組み合わせとその繰り返しによって構成されます。そのモジュールの使い方・使われ方がルールとして規則され、説明書にまとめられあげます。

つまり、説明書はゲームの定義書であり、仕様書であり、それをユーザーに届けるメディアになります。
ゲーム本体と言っても過言ではありません。なんていったって、説明書がないと遊べないのです。

だからこそ、スムーズに人に伝えるために、遊んでもらうために様々な場所でこういう記事が出たり、議論されているわけですね。

実際、過去のアドベントカレンダーでもいくつか記事が寄稿されています。

去年のゲームマーケットや今年のゲームマーケットでも、カタログの末尾に説明書の書き方が記載されていたりします。

そこでは、とても綺麗にまとめあげられているので、文書の作り方は構成の作り方はその方々の知恵をそのまま利用します。読んでみてください。


この寄稿の目的とターゲット

では、しょっぱな他の記事を読んでくださいから始まったこのnoteですが、ようやく本題です。

この記事は、説明書のDTPデザイン、つまり、印刷データとしてグラフィックに落とし込む作業について書いていきます。

文章の書き方、そのまとめ方、校正の仕方などは
①倦怠期の新澤さんの記事
②ゲームマーケットのカタログ末尾の刈谷さんの記事
をご参照ください。

なので、そういった文章周りを期待されている方はすいません、今回はお役に立てません。
逆に、文章は書けるようになったから、もう少し綺麗に説明書をまとめてみたい、という方がこのnoteのターゲットになります。

少しでも皆様の創作活動のお役に立てればというのが、Sui Worksの信義ですので、そういうところの記事をまとめます。


大原則①「ルールを作ろう」

ボードゲームはいくつかのルールが規則づけられて開発されているように、説明書も同様にルールによって成立しています。
これはゲームルールという話ではなく、説明書製作のルールです。それっぽい言葉で言い換えると、「トーン&マナー」です。

説明書における「トーン&マナー」は、「①色、②文字」の2つになります。

「①色」はシンプルになんの色か、ということです。
「②文字」はもう少し細かく分類され「フォント、大きさ、太さ、段落、文字間」の5つに大別できます。

この合計、6つの要素を書き始める前に決めます。
この要素に基づいて説明書を作るぞ!という最初の仕様になります。

例えば、力強い純日本をテーマにした和テイストのボードゲームの説明書を作りたいなら、白・紫・橙系でまとめて明朝系のフォントを使用するといいでしょう。

他にも、海外の映画のような殺人鬼が出てくるようなボードゲームの説明書を作りたいなら、黒・赤系でまとめて手書きや太めのゴシック系のフォントを使用するといいでしょう。和ホラーなら明朝系でもいいですね。

このように、最終形態がどうありたいかによって、最初の仕様決めが変わります。作りながら考えることもできますが、最初に一貫した「トーン&マナー」があると、制作のスピードが変わります。質も変わります。

色の補足

ここで、色について補足ですが、色はたいていの場合「ベースカラー」「アクセントカラー」を「トーン&マナー」に沿って決めることをお勧めします。

配色のルールを少し頭に入れるだけで、だいぶ製作が楽になると思います。


大原則②「引っかかりを無くそう」

これは前提の話ですが、全員にとって見やすい説明書はありません。子供向け玩具の説明書と、家電製品の説明書を見れば分かるように、読む人の属性に応じて見やすさは変わります。

ボードゲームも、ゲームに応じて属性が異なります。例えば、子供向けの知育玩具ですと平易な単語や読み仮名を振ったり、小さいキャラクターをたくさん載せるということがありえるでしょう。

もしくは、将棋や囲碁のようなもしくはコリドールのようなルールがシンプルで頭を使う(思考する)量が多いゲームですと、ルールの例外処理や注意事項をしっかりと定義して、図解していく必要があるでしょう。

最近では、トリックテイキングのゲームを知らない人に、どうやって伝えるか、という話題があがっていたりしていますが、これも初心者におすすめしたいのか、経験者におすすめしたいのかによって、使用するワードが異なります。

なので、自分のゲームのターゲットとなる人に読んでもらいやすいように工夫をしていきましょう。
そして、大事なことは「引っかかりを無くすこと」です。

説明書というのは、ゲームを体現しているものですが、表舞台には立ちません。なんなら立ってはいけないとすら僕は思っています。説明書にいい意味で触れられない、のが良い説明書だなと思います。良い説明書は、ゲームを優しく助けていてそれすらを意識させない。(これは、溶けるデザインという形で、ドナルドノーマンが「我々はペンを走らせているときは意識をしないが、インク切れを起こした時にペンとその先に意識がいく」(意訳)と言っていたのと同じです。)(なかなか難しいんですけどね!!!)

この「引っかかりを無くす」ためには、①読みやすさを上げる、②読みづらさを下げるという2つのアプローチがありえます。

①の読みやすさを上げる、方法については正直手法が多すぎるので、後日まとめます。ざっくり挙げるなら、フローチャートを作る、図解を乗せる、リファレンスを乗せる、概要を乗せる、注意事項を目立たせる、Q&Aを乗せる、ウェブとリンクさせる、コンポーネントリストを乗せる、など色々とあります。
この手法は、ページ数が多くなったり工数がかなりかかるので、皆さんの製作スケジュールとかに依存するかな、とか思います。来年にはこのあたりもまとめます。すいません。

この記事のメインは②読みづらさを下げる、というのに絞ります。

②読みづらさを下げるためには、大原則①「ルールを作ろう」とも少し重複します。これは、「配置のルール」を作るというものです。

これは段落内の配置というよりは、段落ごとの配置や画像などの配置のルールになります。どの列に合わせるか、どのくらい間隔を空けるか、というものを決めるということになります。

この配置のルールが決まっているだけで、相当な整理されている感を出すことができます。これにより不必要な引っかかりを無くすことができます。不必要な引っかかりとは、ゲームのルールに関係のない表記上の問題です。
ユーザーはゲームが遊びたい、そのために説明書を読んでいるので、ゲームに関係のないところでのストレスを減らすように心がけます。


さいごに

こんだけ長くなると、そもそも読みづらいというジレンマに陥るわけですが、基礎的なグラフィックのまとめ方の話をしました。

そんなわけで、誰かの救いになれば良いなと思います。

よろしくお願いします。



告知

本日12/14(月)の23時〜23時30分で上記の内容を含めて、実際にイラストレーターファイルを見ながら解説する生配信します!よかったらご覧ください!

札幌出身、福岡育ち、東京住みのSunnyと申します。 働きながらボードゲームデザインをしています。いただいたご支援は、ボードゲームデザインに使わせていただきます。