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ロードバイク初心者、箱根5区をゆく【後半・死闘編】

※この記事は2016年の思い出です。

前回のヤマノボリ!

ーーー荒川サイクリングロードの出入り口の坂しか登った事が無いのに、温泉につられて箱根駅伝の5区(山の神担当区間)を登り始めてしまったロードバイク暦2ヶ月夫婦のふたり。

なんとか宿泊地の小涌谷にはたどり着いたけれど、早起きしなかったり、箱根らしいフォトスポットで写真を撮りあったり、1時間待ちで湯葉丼を食べてエンジョイしたり、なんでもない道を写真におさめたりしていたせいで時間は押し気味、雨雲迫り気味!?

でも、僕らのゴールはここじゃない。これからいったい、どうなるの〜〜?

現在地を確認!

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小田原中継所を出発し、小涌谷まで登ってきました。高低差は約600mくらいかな。
荒川サイクリングロードの出入り口の坂、何回分になるのかな???

地図で見ると、下記の辺りです。目的地にしている芦ノ湖も目前ですね!!

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……目前に見えますよね??

これがあんまり目前じゃないんだなあ……

後半戦・作戦会議

正直な気持ちを申し上げますと、わたしは「ここで終わっても良いんじゃないかな」と思っていました。

台風12号の影響で昼過ぎから雨予報も出ていたのですが、運良く降られずに済みましたし…この後も降らないとは限らないですし…

時間も予想以上にかかっちゃったので、下手したら夕方ライドになっちゃいますし…何よりこの先に進んで、帰りがローストビーフ食べ放題(夕食)に間に合わないのは絶対に嫌です。

「というわけで、残念だけど…今回は……」

──夫が最後まで走りたそうな目でこちらを見ている。

「生きていたらまたチャレンジできるし……」

──夫が最後まで走りたそうな目でこちらを見ている。

「では、私を置いて一人で行くがよい……」

──夫が最後まで走りたそうな目でこちらを見ている。

「ウッ…じゃあ、行ける所まで……」

というわけで、

リュックもおろしたし、グイグイ行って、
さっさと帰ってくるよーーーッ!!!

さて、次に目指すのは国道1号線最高地点です!!

START!後半戦

ゴメン〜〜!!
リュックおろしたけれど、
思ったよりグイグイ行けない〜〜〜!!

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リュックをおろしてもリュックに削られた体力は戻ってこなかったし、《最高地点》を目指すということは、最高地点まではまだひたすら登りです。

そして、箱根ホテル小涌園(右手にはユネッサン)以降は、雰囲気も急に本気の山!

人が歩いていると「エッ、なぜここに人類!?なぜサラリーマンがトボトボ路肩を歩いているの!?山だよ!?」と思うくらいの山。いや本当になんでサラリーマンいたのかな???

周りにユネッサンやら宿泊施設やらがあるので人が歩いていてもおかしくはないのですが…歩道も無いし、本気の山なのでお宿といえばしっぽり隠れ宿風で真っ白なベンツが車寄せに止まっているカンジ。ベンツで来る人は歩かない。

つまり、人が歩いているのを不自然に感じるなら、自転車が走っているのもまあまあ不自然かも……というわけで、まだ暗くはないのですが、テールライトをON!!して進みます。

自転車を買ってから初めて活躍するテールライト。赤いし明るい。先行する夫の赤い光が目に刺さります。

道すがら”東堂庵のモデル”とささやかれる素敵な老舗旅館「箱根小涌谷温泉 三河屋旅館」を見かけたり、草ボウボウの歩道が出現したり、草ボウボウの歩道の横に薄暗く砂利道なハイキングコースを発見してしまったりしました……。

ゴクリ…徒歩で来る人がいるんだね……。

と、私が思っているのと同じくらい、

ゴクリ…君たち自転車で来たの……?って車で通り過ぎる方々に思われているのかもしれません。

歩道が出現したので、自分に甘い私は、乗れそうなところは乗って、疲れたら自転車を押して進みました。

自転車を押しながら、歩道にボウボウに生えているアザミの花を避けられず轢いてしまったりして、あっ、結構疲れているのかも……と思いました。アザミごめんよ。

ちなみに「乗れそうなところ」とは、一見平坦に見える…いや、これは、ユルくだりじゃないか!?やったねーーー!!というところです。

でも乗ってみると、平坦ですらなく、のぼりです。足を止めれば自転車も止まる……。止まるね……。

それでも、ひたすら、前に進むのみです。ズイズイ。

POINT⑤:国道1号線最高地点

……つ、ついたーーーー!!!!歩いたり乗ったり歩いたりしましたが、着きましたよ!

ココに何があるかというと、薄汚れた看板と、生き生きとした青草、ビュンビュン通る車だけなんですけれどもネ。

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画像補正してもどん曇り感がぬぐえないほど、普通に曇ってきました。

実は箱根旅行から帰ってきてから知ったのですが、ここが弱虫ペダルのインハイ1日目・山岳リザルトライン、ありがとう 楽しかったよ3年間……のあそこだったようです。

そうか〜ワア〜聖地だこれ!!

そしてついに、この聖地こそがこの山登りの山頂!
おめでとうございます!さあ、ここからはダウンヒルですよ!!

ただ、ひとつ問題が。

小雨降ってきたかも。

せっかくありつけたダウンヒルなのに…………。
まあ、気をつけて行きましょう。

シャーーーーッ

小雨だと思っていた雨粒が、下り坂のスピード感で容赦なく顔にビシバシ当たってきます。目もショボショボしてしっかり開けられません。体感的には小雨ではなく中雨くらい。

これ、小雨ナメてたら、しんでしまいます!!

雨に濡れる体。スピード感。受ける風。冷える体。想いを馳せるのは、ホテルに置いてきたリュックの中のウインドブレーカー(昨日買ったやつ)。

エーン、ウインドブレーカー、今だよおォォォ〜〜〜!!!!!

ア…ア……アア………目がしょぼしょぼする……さむい…………

と、いつものサイクリングロードでは体験できない長いダウンヒルの洗礼を体いっぱいに受けながら、それでも、予習してきた「長いダウンヒルは下ハンを持ち、ブレーキに指をかけておきましょう。」を忘れず実践しましたし、夫にもドヤ顔で教えてあげました。

体験してみると、なるほど、下ハンのほうがブレーキかけやすくて良い感じですね〜。

初心者的には、下り坂で下ハンなんて持ったら、ツンのめって、前に転がり落ちてしまうのでは……と思わずにはいられませんよね。頑張りました。

なるほどなるほど…、と思いながら下っていると、「ニャンCさんもっとスピード落としてぇぇーー!!」と後ろで夫が叫んでいます。

曰く、路面は濡れ始めが危険なんだそうです。アスファルトの中のホコリや油が浮いてきて、ヌルッツルッっといくんだそうです。2人でも寄れば文殊の知恵ですね。

これに限らず、ロードバイクは本当に今まで知らなかったこと・経験してこなかったことばっかり出てくるので、どれだけ予習してきても足りないというか、そもそも疑問にすらたどり着けなかった事にわんさか直面するので、自分の知識外のことを知っている人が共に走ってくれるのは、本当にありがたいです!

新しいことを誰かと一緒に始められるっていうのは、実に幸福なことですね。

ところで、グイグイ下っているこの坂、帰りにはに登りになるんですよね〜〜〜。

(ああ、もう、帰れない…)

出発前に「行ける所まで行こう。」(=引き返せるところで引き返そうの意)と言っていたのに、文字通り本当に行けるところまで行く気ですよこれは。完全に手遅れです。

文殊の知恵(2人ver)をもってしても、長い登りは我々の冷静さを失わせるには十分で、目の前の、漕がなくていい、ただひたすら重力に身を任せればいいダウンヒルの快感にまんまと飲まれてしまいました。人はなんて弱い生き物なんだ……。

さあ、色々考えているうちに、芦ノ湖に到着です!!

ここまで来たら、あともうひと頑張りで箱根駅伝往路ゴールです!!!

GOAL!箱根駅伝往路ゴール(芦ノ湖)

GOOOOOOOAL!!!

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GOOOOOOOOOOOAL!!!

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いやあ、この写真を撮る為にここまで頑張ってきたってもんです!!

はしゃいで、2人×2回ずつゴールしました!!

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重厚感のある曇り空と、ド派手な海賊船が僕らを迎えてくれましたよ!!

写真はちょっと明るく補正していますが、実際中々の曇り具合(小雨)だったので、残念ながら芦ノ湖の定番風景の赤い鳥居や富士山は全く見えませんでした。

さあさあ、存分に記念撮影を楽しんだら、雲行きも怪しいので、い・ろ・は・すをボトルに補給して素早く折り返しての帰路モードに。

登れ!再び小涌谷へ!!

めちゃめちゃ雨降ってきたよ〜…!

いやむしろ、昼過ぎから雨予報だったのに、良くここまで耐えましたよね。

まあ、Yahoo!雨雲レーダーによれば強い雨はもうすぐ通り過ぎそう。ということで、屋根のあるところでしばし雨宿りをしたり、ジップロックにスマホを包んだりします。

雨の日に走るつもりが全くなかったので、防水のサドルバッグじゃないんだなあ〜。

そしてここで、ある事に気がつきます。

テールライトが、切れている。

良かれと思って早めに点けていた事が仇に……

フ……

これでもう、わたし、法のもとで夜間の走行は出来ません。

ウオーーー!!!!
日があるうちに帰るぞーーーーーー!!!!!

元気よく、小雨になった道へ漕ぎ出します。

そう、私たちの冒険はまだまだ、これからなのだから!!!

そして慈悲なき日没……

ま、ま、間に合わなかったよおおお〜〜〜〜

そして、濃霧だよお〜〜〜〜

べそべそ……

カーボン製手押し車と化した Bianchi INTENSOちゃん。霧の中でフロントライトの光が拡散してイイ雰囲気になるくらいのガチ霧です。過酷すぎだな〜。

夫は「いや〜〜凄い体験だね〜〜〜!!」なんて言っています。呑気だな〜。

自動車教習所で教えてもらった事を、ペーパードライバーパワーで思い出しながら、ライトをロービームにしたり、下に向けると視界もちょっとマシ…かな…?霧すぎて何とも言えません。過酷すぎだな〜。

夫はは「いや〜〜イイ勉強になったね〜〜〜!!」なんて言っています。前向きだね〜。

心無しか、雨もまた本降りに…。過酷すぎだね〜。

そんなとき、スネにばしっと当たった何かが、とても痛い!!!!

お、おまえは、

あのとき踏んだアザミじゃないか……!!!

アザミの棘がレーパンの厚みを越えて突き刺さってきました!!!

過酷…!!すぎ…!!る……!!!

それでもひたすら歩いていけばホテルにたどり着けるはずなので、クールに前を向いて進みますよ。

……。

………木がいっぱいの暗闇の方向いたら、オバケとかいそうだね。(ボソッ)

…………。

………なんだか明かりが見える気が。

ウワーーーン!!!
人里っぽくなってきたよーーーーー!!!!!

ウアアア怖かったよおお……!!!怖かったよおお!!

というわけで、実に、ギリッギリ、
ローストビーフ食べ放題までにちゃんと帰れたのでした〜♡

めでたしめでたし!

まとめ

で、果たして箱根はロードバイク初心者向きなの?
と問われると、YESでもありNOでもあり…。

道中ともかく車が多く常に周りに気を使うので、自転車がのびのび走りやすいコースとは言えないかもしれません。
せっかく電車で遠出して山に行くのに、のびのびできないんですよ…

それでも、色々なフォトスポットがあったり観光地を通ったりするので、要所要所にご褒美があり、立ち止まっての観光込み(&箱根で宿泊!)で行くと考えると、凄く楽しいです!!

また、今回は箱根の中でも「箱根駅伝5区」というミーハーなコースを選んだので、箱根駅伝ファンや弱虫ペダルファン的には”ああ〜っ、見たことある〜!”景色の連続で、興奮できること請け合いです!

ロードバイク歴2ヶ月の初心者ながら箱根に挑戦する事で、輪行デビューをしたり、補給についてちゃんと考えてBCAAやCCDを取り入れてみたり、ダウンヒルで下ハンの魅力に気がついたり、下りは風が冷たいからウインドブレーカー必要だぞってことを体感できたり、見知らぬ方に応援してもらったり、写真を撮ってもらったり。

箱根に行って良かったな〜〜〜って思います!
(ええ、いろんな意味で)

延々続く坂や車通りの多さは初心者向きではないかもしれませんが、初めてのヒルクライムを愉快で鮮烈な思い出にしたい!ってことなら、箱根でヒルクライムデビューするの、アリかもしれません…ねえ!?

……ただ、私達のように日没後の濃霧の中を歩きたくなければ、早めの時間にスタートし、道中遊びすぎず、ライトの電池残量にはくれぐれも気をつけてくださいね♡

また、濃霧の中を歩くつもりの人は、フラットペダルと歩きやすい靴と、ド派手なウインドブレーカーもお忘れなく〜!!

箱根5区ユルクライムMAP


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