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川面に蛍  金沢から山中温泉へ

空港の展望デッキで、彼女は飛び立つ飛行機を眺めていた。
20分ほど遅れて着いた僕に「奥の方で、戦闘機が飛び立つのよ。」と教えてくれた。

彼女は、羽田からここまで飛行機で向かい、僕は出張先から車で向かった。
先に、到着する予定だったが高速道路の渋滞で遅くなってしまった。

しばらく一緒に飛行機を眺めながら、昨日までとても忙しかった話しをして、併設されている飛行機の博物館まで歩いて見に行った。
小型機やジェット機など、いろいろな実機が展示され、シミュレーターでの操縦体験も楽しめた。

1時間ほど見学をした後、クラウンプラザホテルに向かった。
チェックインを済ませ、駅前のバス乗り場から巡回バスでひがし茶屋街に向かった。
兼六園は何度か訪れているので、今回はひがし茶屋街から駅までの散歩を楽しむことにした。

べんがら色の建物や、裏路地のお土産などを見て、洋風のレストランで夕暮れ時の時間まで一休みした。
街全体が、夕焼けに照らされ一段と美しい中を散歩していると、明かりが良い雰囲気を醸してきた。
柳の木のシルエットをカメラに納めたり、遠くから聞こえる三味線の音を聞きながら街を後にして、浅野川を駅の方面に向かった。

脇に立つ料理屋で少し早めの夕食をすませ、大きな通りから再び駅に向かった。
近づくほどに鼓門が大きくなり、近代的で複雑なデザインの駅が見えたきた。

ガイドブックに載っていた、駅構内のコンコースの柱に埋め込まれている伝統工芸品のプレートをみてからホテルに戻った。

翌朝、ゆっくりと朝食をすませ、山代温泉に向かった。
温泉街に近い駐車場に車を止め、まずは古総湯に入りにいった。
細い廊下を抜けると、脱衣所が無くお風呂が見えてきた。昔は湯船と脱衣所が一緒だったそうで、壁面に脱衣カゴが設けてあった。
ステンドグラスが、古さとモダンを美しく演出していた。

洗い場は無いので、やや熱めの湯に浸り、そして外で少し体を冷ましてまた浸るを数回した後2階の休憩所から、街並みを眺めながら午後の予定を考えた。

今日の宿 お花見久兵衛 に電話で聞くと、早めに車を預ける事ができたので、彼女がリクエストした東山ボヌールで昼食をした。
ビーフシチューの後、ガトーショコラをいただいたが上品で美味しかった。

食後、鶴仙渓の遊歩道からゆげ街道へと散歩を楽しみ、話題のコロッケを食べたり、山中塗のお土産屋などをみて、初めての温泉街を楽しめた。

石畳の歩道を歩いていると「ハートがあるわよ」と指さすので、屈んでみると小さなハートと星の形の石が埋め込まれていた。

宿に戻り、露天風呂に浸ると木漏れ日が水面で輝いていた。
湯上がりのサービスにかき氷があり、子供の頃屋台で楽しんだような懐かしさと味で、ついおかわりをしてしまった。

子供の頃の懐かしい話しをしていると、夕食の時間になったので部屋に戻り加賀野菜や治部煮などの郷土料理やお刺身などを味わった。\
味も素晴らしかったが、盛り付けや演出などもいろいろと工夫されていた。

食後にお部屋のお風呂に浸り、のんびりとしていると「ホタルが飛んでいるのよ」と声をかけられ、川辺を見ると数匹のホタルが舞っていた。

翌朝、朝風呂の後に朝食をいただき、彼女を送るため富山駅に向かった。
途中のSAの展望デッキからは、夏の海を眺めることができた。