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星座のお話 夏の星座編

「はくちょう座デネブ」「こと座ベガ」「わし座アルタイル」をつなぐと完成する、この季節によく見かける「夏の大三角」
これらの星座にもそれぞれ神話は存在します


その中でも今回は「こと座」神話について、少し紹介しようと思います
かの有名なマンガである「聖闘士星矢」の作中でも、この神話をモチーフにしたエピソードがありますので、ご存じの方も多いのではないでしょうか?




むかしむかしあるところに、オルフェウスという琴の奏者がいました
彼は「芸術の女神」を母に持ち、その演奏は人間のみならず動物や神までも魅了するほどです


やがて彼は、美しい精霊であるエウリディケと恋に落ち、結婚してしあわせな日々を過ごしていました
しかし、そんな日々は長くは続きません・・・ある日、彼女は毒蛇に噛まれて命を落としてしまいます


オルフェウスは悲しみに暮れる日々を送ります
彼はどうしても、妻のことを諦めることができませんでした
なんとかして生き返らせることはできないかと、彼女を追って冥界へ行く決意をします


ですがそこは冥界、日本でいう三途の川、アケローン川の渡し守カロンや、三つ首のケルベロスという番犬が目を光らせています
非力なオルフェウスでは、両者に敵うはずもありません
オルフェウスは琴を奏で、その流れる調べでカロンとケルベロスを魅了すると、冥界へと足を踏み入れていきました


やがて冥界の王であるハーデスの元へたどり着いたオルフェウスは、妻を生き返らせてほしいと願い出ますが、ハーデスは決して首を縦には降りません
するとオルフェウスは再び、願いを込めて琴を演奏します
その音色は冥界に響き渡り、全てのものがその調べに聞き入っていました


冥王ハーデスの妻、ペルセフォネもその演奏にいたく感動し、オルフェウスの思いを汲んで、ハーデスにエウリディケを生き返らせてあげてほしいと説得しました
さすがのハーデスも、妻の説得にようやく願いを聞き入れ、エウリディケを生き返らせてやることにしたのです
ただし地上に戻るまでは、決してエウリディケの顔を見ないことを条件に・・・


オルフェウスは喜び勇んで、彼女を連れて地上へと向かって歩き出します
冥界をしばらく行くと、先の方に地上の光が僅かに見えてきました
あともう少し!
その喜びで、オルフェウスは思わず彼女の方を振り返ってしまったのです


するとどうでしょう、エウリディケの姿はたちまち消え、再び冥界へと連れ戻されてしまったのです
オルフェウスは急いでハーデスの元に戻り再び願い出ますが、約束を破った彼の願いに二度と応じてはくれませんでした
その後、オルフェウスは失意のうちに亡くなり、そのことを哀れんだ神が彼の琴を星座にしたのだそうです




いくら悲しいからといって死者を蘇らせるなど、人には過ぎた願いなのだと、この物語は教えてくれているような気がします
夜空のベガの輝きを見上げると、この悲しい物語を思い出すのです・・・

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