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台風のあとさき

小さいころの記憶


その日も朝から台風が来るという事で
通っていた幼稚園は臨時休園
自宅で過ごすことになった


その時は訳も分からず
窓の外に見える黒い雲と風切り音
あちこちに舞っている木の葉を見ながら
臆病な私はオドオドして


時間が経つにつれ風はどんどん強くなり
雨が横に降っているのが見えると
いよいよ不安な気持ちは最高潮


当時は一緒に住んでいた祖母にぴったりくっついて
耳をふさいで今にも泣きそうな顔をしていると

「大丈夫だよ、陽ちゃん(注1)大丈夫」


と優しく声をかけてくれた


そうして30分ほど経った時だった
いきなり風が、雨がぴたりと止んで
窓の外からは日差しが差し込んできた
見ると青空が広がっている


でも・・・なんか変?


よく見ると空にぽっかり穴が開いたように
雲が大きく丸く抜けていてそこから青空が見える
なんかすごく神秘的な光景だった


いまから思えばこれが「台風の目」だったと分かるのだが
当時の私は「あの雲の中からラピュタが出てくる!?」
なんて真剣に思ったりして不思議な空を眺めてた


その後またすぐに雨風が酷くなって
祖母に引っ付いてビクビクすることに


そんなことを思い出しながら
台風の過ぎ去った空を見上げた
2022年9月20日の昼下がり

(注1)ここでの呼び名は「本名」ではなく「アカウント名」をそれっぽく使いました




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