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食卓の向こうに見えるもの      Vol.3 ~クリスマスカラー~

シンタクラースがスペインに戻ったら、そろそろクリスマス。街が華やぐ季節の到来ですね。

クリスマスの起源は?

クリスマス、今ではすっかりイエス・キリストの生誕を祝う行事となっていますが、キリスト誕生以前からこの1年で日が最も短くなる冬至は厳しい冬の転換期として特別な意味を持っていたと言われています。

日ごとに寒さが厳しくなると同時に日はどんどん短く暗くなっていく中、人間はいつかこの世界がこのまま暗闇に包まれるのでは、と不安に駆られます。食糧も不足しているため、恐らく保存も始めたのでしょう。豊かだった自然の色合いも失せ心もとなくなってきた中で、その緑を失わない常緑樹は「生存」の証であり、赤い実のつくセイヨウヒイラギやリンゴ、あらゆる種類の木の実、松ぼっくりなどは、「生命」を感じさせるシンボルとして大切にされてきたのです。

冬至を過ぎると太陽の光を存在は日ごとに強くなり、人々は生き残れた歓びを感じたことでしょう。太陽の光はまさに「希望」そのものでした。

この冬至の時期にもともとあった習慣を早期キリスト教は大変上手に使い、クリスマスをイエス・キリストの降誕祭として祝うようになったと言われています。

クリスマスのシンボルカラーは?

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さてこのようなお話の背景からも伝統的にクリスマスのシンボルというと、「生存」を表す緑、「生命」を表す赤、そして「希望」をあらわす光=キャンドルが欠かせないのです。

毎年トレンドセッター的なインテリア雑誌やファッション雑誌が「今年のクリスマスツリーの飾りは何色?」と消費や流行を煽りますが、例えば日本で紫やピンクのしめ縄を飾らないように、伝統を大切にする家庭ではやはり大切に守られているクリスマスの色合いなのです。

ヘット・ロー宮殿の伝統的なクリスマス飾り

 そんな象徴的な意味のあるクリスマスカラーですが、オランダ王家のリビングルームに飾られていたのは、ある意味驚きと納得のデコレーションでした。撮ってきた写真をご覧ください。

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こちらには赤い色が使われていませんが、全体的にナチュラルな色合いのデコレーションが施されています。

近づいて見てみるとクッキーや藁(わら)で作られたオーナメントの先になんと麦がぶら下がっています。

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1850年頃までには、自然素材のデコレーションが使われていたとあるように麦や藁なども飾られたいたのですね。おそらく豊作祈願も込められていたのかもしれません。

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またこちらは水平に広がったツリーにクッキーやオレンジ、雪を表す綿毛が飾られています。

オレンジやクッキーは赤のリボンで吊り下げてありますが、オラニエ家に絡めてのオレンジなのでしょうか。

そしてたくさんの数のデコレーションライトが見事です。これもキャンドルをかたどったライトなのが特徴で、我が家のこだわり屋の夫が常々「クリスマスツリーのライトはキャンドル型でなければ。」と言う意味が納得できました。

これらの伝統的なクリスマスツリーは、ヘット・ロー宮殿でのイベント「Winterpaleis Het Loo」で見ることが出来ました。何度言っても新しい発見がある上、宮殿の外ではスケートリンクも併設されているので子供達を遊ばせることもできます。

おうちクリスマスを楽しむ

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さて我が家でも毎年楽しくクリスマスの飾りつけをしています。

モミの木を選び、ツリーの飾りつけをし、メニューやワインを考え、花装飾を夫と分担して作り、テーブルコーディネートを決め、目が回るような忙しい準備期間が終われば、ちょっぴりおめかししていただくクリスマスディナーが始まります。

季節による食卓の記憶が子供達の心に残ればいいな、という願いを込めて。

                         (2014年12月 記)

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