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【創作論】令和のミステリーの十戒

  1. 犯人は、物語の当初に登場していなければならない。ただしその心の動きが読者に読みとれている人物であってはならない。

  2. 探偵方法に、超自然能力を用いてはならない。

  3. 犯行現場に、秘密の抜け穴・通路が二つ以上あってはならない(一つ以上、とするのは誤訳)。

  4. 未発見の毒薬、難解な科学的説明を要する機械を犯行に用いてはならない。

  5. 主要人物として「中国人」を登場させてはならない。

  6. 探偵は、偶然や第六感によって事件を解決してはならない。

  7. 変装して登場人物を騙す場合を除き、探偵自身が犯人であってはならない。

  8. 探偵は、読者に提示していない手がかりによって解決してはならない。

  9. サイドキックは、自分の判断を全て読者に知らせねばならない。また、その知能は、一般読者よりもごくわずかに低くなければならない。

  10. 双子一人二役は、予め読者に知らされなければならない。

これは有名な「ノックスの十戒」と呼ばれるミステリーの鉄則である。
いわば、物書き初心者がミステリーを書くガイドラインだ。
だが、この十戒は定期連載形式の一般化、スマホの普及、SF・ファンタジーの流行などによって現代にそぐわないものになっている。というか原文も同じようなことを何度も言っているので冗長感がある。

なので、令和の時代に合わせたミステリーの鉄則を考える。
まずは1番と7番を統合した上で連載形式に合わせ「1.犯人は、事件発覚時に登場している人物でなければならない。また、自覚の有無問わず主人公が犯人であってはならない。」として、空いた7番には「7.事件発生から解決までプロットを考えてから本文を書き始めなければならない」を入れる。

次に十戒のうち2.4.6.8番は纏めて「2.犯行および推理手段は読者にとって未知のものであってはならない」とする。空いた4.6.8番にはそれぞれ「4.スマホなど通信手段は制御されなければならない」「6.時系列および登場人物の思考に矛盾があってはならない。ただし、時空間の移動や精神の錯乱が存在すると読者に明かされている場合を除く」「8.登場人物がプロットを無視して勝手に動く場合は、犯人を読者に明かしてミステリーからサスペンスにジャンルを変えるべきである」を入れる。

「3.犯行現場に、秘密の抜け穴・通路が二つ以上あってはならない。」これは「3.ミスリードを狙わない限り、トリックが2つ以上成り立つ犯行現場であってはならない。」とする。

有名な「5.主要人物として「中国人」を登場させてはならない。」は「5.霊的存在、超能力者、忍者を登場させてはならない。ただし、性質や能力の限界が読者に示されている場合や現実に存在し得る忍者である場合を除く。」とする。

「9.サイドキックは、自分の判断を全て読者に知らせねばならない。また、その知能は、一般読者よりもごくわずかに低くなければならない。」これは「9.探偵助手は常識的な思考と言動を行い読者に展開を解説しなければならない」とする。

「10.双子・一人二役は、予め読者に知らされなければならない。」これは双子・一人二役は推理可能なトリックであるため不要であると判断し、代わりに「10.読者にとって理不尽な展開をしてはならない」とする。

よって「令和のミステリーの十戒」は以下の通りである
1.犯人は、事件発覚時に登場している人物でなければならない。また、自覚の有無問わず主人公が犯人であってはならない。
2.犯行および推理手段は読者にとって未知のものであってはならない。
3.ミスリードを狙わない限り、トリックが2つ以上成り立つ犯行現場であってはならない。
4.スマホなど通信手段は制御されなければならない
5.霊的存在、超能力者、忍者を登場させてはならない。ただし、性質や能力の限界が読者に示されている場合や現実に存在し得る忍者である場合を除く
6.時系列および登場人物の思考に矛盾があってはならない。ただし、時空間の移動や精神の錯乱が存在すると読者に明かされている場合を除く
7.事件発生から解決までプロットを考えてから本文を書き始めなければならない。
8.登場人物がプロットを無視して勝手に動く場合は、犯人を読者に明かしてミステリーからサスペンスにジャンルを変えるべきである
9.探偵助手は常識的な思考と言動を行い読者に展開を解説しなければならない。
10.読者にとって理不尽な展開をしてはならない


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