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スニフ村的歌詞がすごい曲その3"幽霊です"

それ、当たり前だと思ってませんか?

どうもスニフ村です。
できれば記事をストックできるくらいのペースで書きたいなとか思っててもそれをこなすタスク処理能力がありません乙です。

今回も歌詞全体で書いていきたいので、書き方を少しずつ工夫していこうと思います。
こんな感じだと読みやすいよ!とか有ればアドバイスくれると嬉しいです。
全速力で取り入れていきます。

さあ音楽を聴こう。
やっていきます。


SUSHIBOYS 「幽霊です」




奇想天外な発想と超絶技巧で毎回圧倒的にアップデートされていくSUSHIBOYSの大好きな1曲。

【曲全体を聴いての感想】
この曲を聴いた時は忘れもしない去年の7月。
社会人1年目でえぐれた心に塩を塗るような社会情勢。
紛れもなく自分自身で「死」を選ぼうとしていた頃。

日常で「死」を話題にしたりすることがなんとなくタブー視されている中、SUSHIBOYSなりの「死」とは何かを表現した楽曲。
従来の「死」をテーマにした曲は、全体的に身近な人の死だったりをなるべく遠回しに表現している物が多いと思います。
そんな中で、実際に自分が死んだ時にどう思うのか、何を感じるのか、そして生き返れるとしたら?というあるようでなかった視点から曲が展開されていくのがSUSHIBOYSらしさ全開で大好きです。

自ら「死」を選択しようとした僕には今一度自分自身の死生観、人生観を問われたように感じました。

それでは肝心の歌詞についていきましょう。


【この世界は約束された死だけではない】
冒頭に書いたように、この曲は「死」というものを自分自身に当てはめて歌詞が展開されていきます。

まあ また明日来るから別にいいよなって気分で歩けば ポケットのイヤホンコードが千切れて宙に浮かぶ 僕は今幽霊 気持ちごと幽霊 明日も透明 青い空を遊泳
と早速「死」が訪れます。
よく「明日やろうは馬鹿野郎」なんて言葉を聞きますが、あの言葉って「後回しにすると、後々自分に返ってくる」みたいなイメージで使われることが多いですよね。
ただ、SUSHIBOYSの場合は違って「後回しにしても今日死んだらできないぞ?」と捉えるんですよね。
前者の場合だと、勉強とか掃除とかやらなきゃいけないけどやりたいくない面倒な事を、後者の場合だと、興味のある事や好きなことと言ったやりたいけどやれない事が対象になっていて、対象が変わるだけで言葉の捉え方が変わるんですよね。
これがSUSHIBOYSの凄いところで、ポジティブな変換がとても上手なんです。

さらに「明日も透明」というフレーズも、本来生きている間は未来は何が起こるかわからない不透明なものであるのに対し、「死」が訪れた後は「死」という事実しか残らないことを表現していて、表現力の幅広さを感じてとても好きな言葉の使い方です。

このような形でいきなり「死」について考えさせられたところで「気がつけば俺は死んじまったみたい 今日がその日だなんて考えてもみない いきなり 幽霊 あっけない未来 来るはずだった明日どこにもいない」と「死」が訪れた時にどう感じるかを綴っています。

ここは言葉の構成が魅力的で、「みない」「きなり」「未来」「いない」と小気味良いリズムの韻で淡々とそこにある事実を表しています。
本来暗く描かれるはずの「死」と言うものをあえてポップにすることで「死」の呆気なさを感じさせます。
誰しも経験あると思うのですが、人の「死」って必ずと言って良いほど「突然だ」と感じると思うんです。
だから「生」は当たり前じゃないし、明日は不透明なんですよね。


そして「幽霊 誰にも見えないこの気持ちは 幽霊 好きって言うこのfeelingだって 幽霊 誰にも見えない 幽霊 好きって言うたったこの2文字だけ 言えてたらもう少しだけ空は晴れてる? ごめんねって言えなかった安いプライドが なければもう少し雲はなかったかな」と続きます。

そこにあるのは「死」と言う事実だけ、自分がどんな感情を持っていようが、何を思おうが、誰にも見えない。
曲を通じて死後の景色を空に例えていますが、透明だった明日でも、後悔で曇ってしまう。
でもその後悔すらも見えない。
死後に意識があるかは別として、こんなにもモヤモヤしてしまうなら、もう少し生きてる間に好きな事とか、謝るべき人には謝っておくべきだったなとかきっと思うから、みんな必死に生きてるんだと感じました。

ここからは完全に後悔の感情をプッシュしていきます。
みんなから見えなくなってから見つかったやりたいこと 死んでも治らない馬鹿 これじゃ成仏できなさそうだ こんなことになるなら 好きにやれば良かった 書き順も気にしないで 俺の幽霊伝えたかったな もしもし 生き返れるなら もしもし 死んでしまうなら もしもし 生きていますか? もしもし prrr

歌詞からも伝わる圧倒的後悔の念。
確実に成仏出来ずに現世をウロウロする姿が容易に想像つきます。
でもきっとみんなそうなんです。
「大事なものは失ってから気付く」と良く言いますが、多分死なないと人間気付かないことって山ほどあると思うんですよね。
僕はこの感情の表現が凄く好きで、「書き順も気にしないで 俺の幽霊伝えたかったな」と表現するんですよ。
「幽」の字って書き順いまいちわからなくないですか?
好きに書けば良いんでしょうが、生きてるうちは周りの目とか、ちゃんとしなきゃと思ったりして好きに書けないんです。
さらにここは軽く伏線のようなものも回収していて「誰にも見えないこの気持ちは 幽霊 好きって言うこのfeelingだって 幽霊」ここで何故幽霊と出てくるか最初は僕わからなかったんです。
おそらくここで言う「幽霊」は、感情そのものなんだとここまで聴いて僕は感じました。
だからその感情を、「何も気にせず表現できていれば良かったのにな」と言っているんだと思います。



【気づけるだけで生き返れる】
そしてこの曲は後半に入ります。
もしも本当に生き返れたら、何ができるのか。
気がついたら俺は生き帰ったみたい また明日来るなんて思ってもみない 一度は直線になった波形がまた動き波打つ 病院のベッドから抜け出して 君の元へ向かうぜ 今ならあの時死ぬ前やれず後悔したこと全部 もう何も怖くはない 幽霊だけども怖くはない

シンプルに生き返った事を綴っていますが、前半のフロウと同じにする事で対比を表現しています。
ただ、前半と違うのは、後悔の念を感じて生き返ったということ。
すぐにフロウを変えるのも、死ぬ前と今では違うことを表していて、言葉にリズムを持たせる音楽というものの幅広さを感じます。
そして決意表明。
本当に凄いのが、誰も生き返った経験がないはずなのに「きっとみんなこうなるよね」と思える部分です。
霊的なものを人は恐怖の対象としますが、自分が幽霊になってしまえば怖いものなんてないと思えるのも納得がいきます。

自分の気持ちは幽霊 マジで怖い稲川淳二 対面するの怖いけれど向き合わなければいけない 一回死んで気付いた かなり遅いが気づいた 走る何もかも捨て 君の元へ向かうぜ なかったはずの今日に 来ないかもしれなかった未来を手に入れた なかったはずの今日に 予想もしない未来を手に入れた

やはりこの曲でSUSHIBOYSは「幽霊」という言葉に「感情」という意味を持たせていることがわかりますね。
自分の気持ちに正直になるのは怖いけど、向き合わなければいけないということを、幽霊という恐怖の対象を使って表現しているのが本当に巧みです。
さらにここに稲川淳二という固有名詞を入れてくるところも、奇想天外なSUSHIBOYSのリリックの良い所ですよね。

そして最後に「幽霊のままじゃ 何も出来なかったけれども 幽霊になった 過去は大切な時間で 明日が来るなんて 誰にもわからない 明日が来るなんて 誰にもわからない
ここで言う「幽霊」はそのままのイメージになります。
実際に幽霊になって、感じた事とか、後悔した事とか生き返ってから考えると、大事なことなんですよね。
当たり前に分かっているようで、意識はできていない「明日が来るなんて 誰にもわからない
みんなわかっているとは思います。
でも、明日死ぬかもしれないと思って行動はできない。
仕方ないと思います。
だって自分が明日死ぬ事をイメージして生きるなんてしんどいじゃないですか。
だから、何か好きな事をやりたい!と思った時だったり何かに挑戦しようと思って勇気が出ない時に、「明日死んだら後悔するんじゃないか」と思うようにすることが大事なんだと思います。
そう気づいた時に、人間は1度死に、また生き返る。
僕はこの曲を聴いてそう思いました。
失敗しても良いんですよ。どうせみんな死んだら骨なんですから。



【終わりに】
いかがったでしょうか。
実はこのEPの紹介としてSUSHIBOYSはこんな言葉を残しています。
口は災いの元。とは昔から良く言われたものだ。ここ日本では言いたいことを口にしないことが美徳とされる謎の文化が存在している。社会のシステムを妨害する発言などは”騒音”としてカテゴライズされてしまうくそみそな世の中らしい。なら我々は騒音と呼ばれても構わない。己に正直になった結果それが騒音と言われるのなら、騒音として世に出してしまおうじゃないか。口で災いを起こしに来たぜ。聴いてくれ俺らの騒音。

冒頭にも書いたように恐らく、死を連想させる事を曲にするのもこの日本においてはタブー視されていて、人の死生観なんてものも「騒音」なんだと思います。
でも生きていく上で死について向き合うことも、自分の好きな事を好きと表現することも大切な事。
だからみんなでいろんな騒音をかき鳴らして、それがメロディになればいいななんて思います。


あなたの騒音も、ぜひ僕に聴かせてください。


【次回作】
ちょっと今週立て込む予定なのでもしかすると次回はお休みするかもしれません出来るだけがんばりますので許してください。

次はこの企画をやろうと思ったきっかけでもある大注目バンドを楽曲にしようかなと思っています。でも悩んでますどうしよう。
まあいっか。

それでは皆さん良い音楽を。

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