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#35 本の感想2023年1月~4月

2023年1月~4月に読んだ主な本の感想をまとめて。

○『ゲストハウスがまちを変える』/渡邊崇志、前田有佳利
ゲストハウスの歴史、運営、多くの苦労がわかる本。
地域との関わりがゲストハウスでは必須で、ゲスト(お客さん)や宿を含めて三方良しの関係を作るのが重要だということがわかりました。
マイノリティニーズへの丁寧な対応は、他の仕事にも生かしていけることかなと思います。
普段から旅行の際はゲストハウスを利用しているので、宿のスタッフさんやその地域へのリスペクトの気持ちを忘れずにいたいですね。


○『夜が明ける』/西加奈子
貧困、虐待、過重労働などの社会問題を扱った重厚な小説。
人生とは不思議なもので、意外な人が助けてくれることもあるんだなと思いました。
タイトルの通り、どん底に落ちても生きていればなんとかなるのかもしれない。そんなわずかな希望が描かれているでしょう。

○『等身の棋士』/北野新太
前作『透明の棋士』に続く将棋ノンフィクション。
今回描かれている2017年の将棋界は将棋AIの台頭、将棋ソフト不正疑惑、藤井聡太がプロデビューなど大きな分岐点となった年でした。
藤井聡太、羽生善治、中村太地を始め、1人1人の棋士に向き合っており読み応えがありました。
当時は羽生さんがまだ4つタイトルを持っていたというのは時台の流れを感じずにはいられません。
将棋の世界はやっぱり面白いのです。

○『本屋、地元に生きる』/栗澤順一
著者は盛岡を中心に書店を展開するさわや書店の現役書店員。
書店員といっても、外商という立場で店舗を飛び出して活動されている方です。
かつてのさわや書店はびっしりと文字が書かれた特大のポップや、本の表紙を隠した「文庫X」などのアイデアで出版業界や本好きの間では知られていました。
現在は食品の販売や開発を行うなど新たな試みをされていますが、代名詞ともいえるポップはほとんどなくなってしまい、非常に寂しい気持ちになります。
個人的にはさわや書店はまた何か面白いことをやってくれるはずだと信じています。
今後のさわや書店の動向に注目していこうと思います。

○『言葉の海をさまよう』/鈴木絢音
鈴木絢音さんと辞書に関わる方々(言葉選び、紙作り、販売など)の対談集。
出版当時は乃木坂46に所属していたアイドル(2023月3月末にグループ卒業)ということで、ファン以外からは色眼鏡で見られてしまうかもしれませんが、純粋に辞書に関わる方々のことがよくわかる本でした。
「動物園」「右」といった言葉の説明文は辞書によって個性があって面白いです。
当たり前のように使っている言葉を辞書で引いてみると、よりその言葉を理解することができるかなと思います。

○『スターにはなれませんでしたが』/佐藤満春
放送作家として20本ほどの番組を担当しながら、演者としてテレビやラジオに出ることもある芸人としての側面を持ち、トイレや掃除の専門家としての顔も持つ著者の自叙伝的エッセイ。
消去法で芸人になったり、芸人としてテレビに出ません宣言をしたりと他の芸人とは一線を画した唯一無二の存在のサトミツさん。
「自分で山を作ってそこで一番になる」「とりあえず今夜、ラジオを聴くまでは頑張ろう。それだけのために生きていました」「その人の素養が生かせるジャンルは必ずある」「大勢の飲み会も楽しくなかった」「早いうちに向いていることと向いていないことについて考えていた」「出来ることはやりますけど、出来ないことは出来ません」「無理をしない」などなど。
共感できる言葉、自分の生活に生かせることばがたくさんありました。
ビジネス本や自己啓発本は数多ありますが、自分に向いているのはサトミツさんの言葉だなと思いました。
正直ここまで深く共感できるとは思ってもみませんでした。
この本は多くの方に読んでいただきたいですね。


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