#10 『鎌倉殿と13人の合議制』/本郷和人

今年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で取り上げられている鎌倉幕府とそれを支える御家人たち。
平安時代末期から鎌倉時代初期の簡単な流れは理解していましたが、本書を読んで細かい部分も知ることができたかなと思います。
また、本書を読めば『鎌倉殿の13人』がより楽しめるのではないかなと思います。

個人的に印象に残ったのは、関東の地理と女性の存在感ですね。

【関東の地理】
関東と一言で言っても、鎌倉幕府で言うところの関東は南関東のことを指すようです。
ここで言う南関東とは、武蔵(現在の東京都、埼玉県)、相模(現在の神奈川県)、伊豆(現在の伊豆半島)、駿河(現在の静岡など、浜松は含まない)の4カ国。
静岡が南関東に含まれているのが意外でしたが、北条氏が伊豆にゆかりがあることを考えれば納得はできますが。
下総、上総、安房(現在の千葉県)や常陸(現在の茨城県)は別天地だったようです。
東京と千葉の間には利根川という大きな川があったことが要因のようです(利根川は江戸時代に徳川家康が現在の流れに変えた)。
北関東の上野(現在の群馬県)、下野(現在の栃木県)もある程度独立が保たれていたみたいですね。
大きな川や距離など地理的な要因って結構大きいです。
ちなみに13人の合議制に入ってくる御家人のほとんどは南関東の人物で占められています。

【女性の存在感】
合議制を行う13人のメンバーを語る上で、女性の存在を外すことができません。
特によく出てくるキーワードが「乳母(うば、めのと)」です。
乳母とは母親に代わって子育てをする女性のことです。
13人のメンバー見てみると、頼朝と血縁関係があったり、頼朝の一族の乳母つながりで選ばれているメンバーが多いです。
古くから頼朝に仕えていたことでメンバーに入った人物もいますが。
もちろん能力があることも重要だとは思いますが、血縁や乳母って大事なんですね。

地理を理解できればより歴史が面白くなりますね。

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