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気遣いとスシロー。

「今日の夕飯、何食べたい?」

そう聞くと、子どもがこう返すことがある。

「今日はスシローにしよう」

子どもたちは、回転寿司が大好き。
特に、近所にある「スシロー」が
いちばんのお気に入りだ。

時間がなくて夕飯が作れないときに、
何度もお世話になっているせいか、
店側にも常連として認定されているようだ。

そんなスシローをめぐるお話。

ある日。

疲労困憊で夕食を準備する気力もない私に、
長男が言った。

「お母さん、今日スシロー行こう」

「なんで?」

「みんな寿司好きだし、お母さんはご飯の支度をしなくてもいいし、家から近いし。スシロー行けば、みんなハッピーだよ」

…そうか。
お金がかかること以外は確かにハッピーだ。

「わかった。じゃあ行こう」

この日、我が家はスシローで夕食を済ませた。
片付けもしなくていいし、
疲れ切っていた私にとって、
とても助かった夜だった。

「今日は気遣ってくれてありがとう」

長男にお礼を言ったら、
とても照れくさそうな様子だった。

そしてこの件以降、私が疲れている様子だと、
長男が「スシローに行こう」と言うようになった。

長男の気遣い。
小学生男子で、好きな食べ物には食欲旺盛。
寿司を食べたいという下心もあると思う。 

しかし彼は、
人の気持ちや機微を感じ取ることに長けた、
優しい子どもだ。

そんな長男が「スシローに行こう」と言う時、
傍目から見て、
私がピンチだというサインだと最近気づいた。

気遣いからくる「スシローに行こう」。
それを聞くたび、
子どもに気を遣わせて申し訳ないという
後ろめたさがあった。

本当は私のことで気を遣わせることなく、
楽しくおなかいっぱい寿司を食べさせたい。

だから今日は私から、
「スシローに行こう」と言ってみた。

「やったー!!たくさん食べる!!」

子どもたちのはしゃぐ声。

心から子どもが喜ぶ様子を見て、
私も嬉しくなった。

今日は後ろめたさもなく、
みんなが心からお寿司を楽しめそうだ。


長男については、こちらの記事にも書いてます。
よろしければご覧ください。

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