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私と弟

(書いていた頃から間が空いてしまいましたが、ようやく形にできたので投稿します)


高校3年生の弟からLINEが来た。

誕生日プレゼント渡したいけどいつかこっち来る?

10月末にあった私の誕生日。
弟は覚えていてくれて、プレゼントまで準備してくれたようだ。

寮に住んでいる弟と、一人暮らしをしている姉(私)
私は土日休みの仕事ではなく、また弟も寮に住んでいるためなかなか実家にも帰って来ず、帰って来たとしても土日なのでなかなか会うタイミングがない。

実家に置いておくから、と言われたけれど私も何かしらの予定がありここ1ヶ月ほど実家にも帰れていなかった。

私が弟の寮の近くまで行く用事があり、学校帰りの弟と待ち合わせをしてプレゼントを受け取った。


青の花がたくさん入ったハーバリウム

綺麗…
キラキラと輝く青がとっても美しい

まさか弟がこんな綺麗なものをプレゼントしてくれるとは思わなかった。
わたしの知らない間にこんなに成長していたんだと涙が出そうになった。


弟とは5歳離れていて、正直姉の私が相当強く大きく見えていたんだろうと思う。
何度も喧嘩したし、泣かせたし、時には叩くこともあったし、どうしても弟が理解できない時があった。

宿題をしなかった
中学校にほとんど行かなかった
家にいても一緒にご飯を食べなかった
口を聞かなかった

弟は弟なりに何かと戦っていたのだろうけど、私が理解してあげれなかった。
自分のことで精一杯すぎた。悪いのは弟だと思っていた。


でも違った。
何も悪くなんてなかった。


当時どう弟に接したら正解なのか私もわからなかった。正直今でも正解はわからない。
でも弟に対してイライラしたり同じように口を聞かなかったり、私も子供だったなと思う。
ひどいことしちゃったね。ごめんね。



弟は高校生になってガラリと変わった。
学校の隣にある寮に住み始めた。
宿題は基本やらないし授業中は寝るけどちゃんと毎日学校に行くようになった。
制服がないため段々とオシャレになっていった。
頑張ってバイトをして、好きなものを買って楽しそうにしていた。

中学の頃とは全く違う。別人みたい。


その時気づいた。
弟にとって中学校3年間は何かから逃げていた時間だったのかもしれない。でも逃げ方がわからないから学校に行かなかった、家から一歩も出なかった、家族との距離を置いた。

高校生になって今までの狭い人間関係から一歩あたらしい世界に踏み出して少しだけ自由を手に入れたことが弟にとっては1番の逃げ方だったのかもしれない。


久しぶりに会った弟は、カチッとしたジャケットを着てカッコいいリュックを背負っていた。
背の高さがとっても際立つ、立ってるだけで絵になる、そんな感じがした(決してモデルみたいではないし、スタイルがいいわけではないし、田舎くさい顔立ちだけど)

167cmのわたしが隣を歩くとちんちくりんに見えてしまうぐらいに背が伸びていた。立派な大人に見えた。


わたしの知らないところでこんなにも成長してるんだと思った。小さい手でわたしの手を握って歩いていた幼少期から、塞ぎ込むようになった小学時代から、人間関係を絶った中学時代から、少しの自由を手に入れた高校時代と。


私も何か変わったのだろうか。
変わろうとしているのだろうか。

弟のように何か一歩踏み出す勇気を持ちたいと思った。


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