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汝、変人を愛せよ 〜自由を得て、イカれた乗客に目を瞑る〜

何事においても、自由には代償が付きまとうものですが、ベルリンの公共交通機関はまさしくその象徴的なものだと私は思っております。
乗車マナーなんて日本と比較したらあってないようなものなので、変人が次から次へと現れるのですが、最近またヘンなのを見かけたので、忘れない内に書き留めておこうと思います。

ヘンなのその①:ドリブル男
ヤボ用の帰りに地下鉄を利用したら、20代と思わしき男が一人、駅で手持ちのバスケットボールをお供にドリブルをしていた。
地下鉄駅は音が反響してうるさいので少し距離を取ったが、電車に乗り込んだらその男も乗って来て、今度は車内でドリブル。そんなにドリブル楽しいか?

ヘンなのその②:座席三つ使って寝る娘と母親
土曜日の昼間の、FriedrichstrからAlexanderplatzへと向かう混雑した電車で、太めの10歳前後の女子が、席三つ使って( ˘ω˘ )スヤァと豪快に爆睡していた。
反対側にはお母さんともう一人の娘が、三席を二人で使用。そっちも太いけれど、三席を占領しているのは別に肥満体型の所為ではない。
途中でおばあさんが乗って来て明らかに席を探していたけれど、諦めてどっかに行った。
そのお母さんに「お年寄りもいる事ですし、席詰めたらどうです?」と声をかける勇気は私にはなかったけれど、こういう時に限って、怖い輩系の男達は何故乗り合せないのでせうか。いつもムダに駅に溜まってるんだから、タイミング良く乗って来いよ!あのふてぶてしいお母さんが慌てて娘を起こす様を、私は正直見てみたかった。

こんなのよりもっとヤベェのはいくらでもいるのですが、私がかつて目撃した乗客で、頭一つ抜き出ていたのが、「マルティーニ女」と呼んでいるお騒がせ女です。

その女は締まりかけた電車に飛び乗るや否や、周りの乗客に、「プランB、プランBはないか!? 」と差し迫った口調で訊き回っていました。しかし、親切な他人の返答は何故かガン無視。

今度は何かをメモろうとリュックから筆記用具を取り出したは良いものの、ペンを落としたりメモパッドを落としたりして、とにかくせわしない( ;´Д`)。
で、空席を見つけて勢いよく座り(厳密に言うとそこは空席ではなく、ちょっとした隙間に無理やり割って入ったので、両隣の人はビビっていた)、周囲が固唾を飲み込んで見守る中、表と文字を書き始めて、「M、A、R、T、I、N、I…マルティーニ!」と叫び、次の駅でダッシュで降りて行きました。プランBって飲みたい酒の事だったの? 
※ちなみにこれらの話、1mgも盛っていません。全部実話です。

マルティーニ女もドリブル男も、迷惑ではあっても、肉体的危害を加えて来る訳ではないので、ああ、またヘンな奴おるな、という感想で終わるのですが、実は一度、他の乗客と揉めてナイフを取り出した男の車両に乗り合わせて、リアルに怖い思いをした事があります。
そのナイフは、私に向けられたものではありませんでしたが、蜘蛛の子を散らすように乗客らが逃げ出して、ドア付近にいた私もメチャクチャ震えました(そういう経験をした事もあって、移動中は常に周りを警戒していますし、スマホも見ません)。

つい先日もOranienburger Strの駅ホームで、走行中の電車に突き飛ばされ亡くなった人がいましたが(これはホームレス二人の喧嘩だったそうですが)、ベルリンのSバーンや地下鉄って、駅員やセキュリティが一人もいない(或いは、見当たらない)駅が結構あるんですよね。これじゃ、防げる事故も防げないと思います。

車内やホームでの喫煙、落書きや器物破損している人を見つけても、駅員が近くにいなければ通報も遅れるし、そもそも改札もないしルールらしきものもないから、最早何でもありの無法地帯。
犯罪者や変人に遭遇する確率が高まっても、自由を重んじる風潮なんですかね。変人スルースキルが高いところもベルリーナーの特徴かもしれません。

ああ、平和な世界に住みたいなァ(と周りに呟くと、お前の住んでるトコはベルリンの中じゃ相当平和なトコだぞ!とツッコまれます。ええ、分かっておりますとも)。

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