私の彼は左巻き
このブログを書いている1月12日(日)、ウチのメンズ二人は朝からバッチリ防寒対策をして出かけている。
何処に出かけているかというと、ポーランド生まれの女性革命家、ローザ・ルクセンブルクの追悼デモに参加しているのである。ローザ・ルクセンブルクが何をした人なのかピンと来ない人もいるだろうけれど、ファシズムと戦争に反対し虐殺された人っていう説明で大方間違ってはいないと思う。まあ、私も詳しくないので興味のある方はググってみて下さい。
まあとにかく、彼女が虐殺された1月15日に近い日曜日には、毎年追悼デモが行われていて、これに家族総出で参加するというのが、旧東ベルリンで生まれ育った旦那の実家の慣習となっている。それは、追悼デモの一週間前から打ち合わせをして待ち合わせ時間や場所を決め、当日は朝7時に義母からモーニングコールの電話が入るほどの徹底ぶりで、旦那には弟が二人いるのだけれど、寝坊などしようものなら電話口から激しい叱咤の声が聞こえて来るし、サボったら後日、体育館裏に呼び出しである。私は一、二回興味本位でついて行ったけれど、そこで何か特別得るものがあったわけでもなく、以降、参加はしていない。
ちなみに彼の実家は映画「グッバイ・レーニン」の舞台セットと見まごうような東独テイストたっぷりのインテリアで、家族全員左派党支持者だし、資本主義と右翼を事あるごとに敵視している。彼に一度「左翼思想とは何か」と訊いてみたところ、「Andersdenkende(思想が異なる人)に寛容であること」という答えだった。といっても右翼には非寛容なんだけどね。
私は別に左翼でも右翼でもないし、私が日本から来た移民である以上、極右主義など一番相容れないものだが、近年、ベルリンの小学校に特定の言語を喋る外国人家庭が増えて、ドイツ人生徒が肩身の狭い思いをしていることや、某X地区のG公園で昼間から移民系の薬売人がたむろっていたり、数年前の大晦日に移民が集団痴漢強姦事件を起こしたり、ホームレスが難民以下の暮らしをしているのを見たり、そういった記事を読んだりしていると、もう少しドイツは元からここに住んでいた人達に重きを置いて欲しいし、これから入って来る人も少しは選んだ方が良いと思う。が、そういった思想は旦那には理解しがたいものらしく、口論になることはままある。
寛容をウリにしている彼の思想だが、「思想が異なる人」を受け入れる体勢が整っているのであれば、国や思想が異なる友人もさぞかし沢山いるのだろうと、知り合ったばかりの頃に淡い幻想を抱いていたら、地元出身の同年代の知り合いしかいないし、その狭いコミュニティーの中で「ナチス反対!」と叫んでいるだけなので、私は彼の交友関係には光の速さで興味を失ってしまった。むしろ友達ゼロでベルリンに来た留学生だった私の方が、色んな思想や信条の知り合いがいたし。
こうも思想が違うのによく夫婦をやっていられるなと思うが、難民問題や環境問題といったテーマはいくら話しても平行線なので、相手を説得しようなんて無駄な努力はやめて、言いたいことはブログに書いておくことにした。
「でもやっぱり、不法に国境を超えるのはよくないよね」なんてウッカリ言ってしまうと、「Oh, Gott! ウチにはトランプがいる!!」なんて言われかねないので。
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