見出し画像

生きてます。HSP & ASDでもね。

【8】カミングアウトの神対応

 2022年ラストの記事です。
今回は、私がASDの苦しみを周囲に打ち明けて来た中で、唯一遭遇した “神対応” についてお話ししたいと思います。

その前に、前回の漫画の続きを少し。(今回は7コマ漫画です)

生きてます。HSP & ASDでもね。【8】のぞみ55号

自分について誰かに打ち明けようとする人は、もちろん打ち明ける相手にそのことを「解って欲しい」と思っています。
そうでなければ話したりしませんから。

ただ、その「解って欲しい」=「許して欲しい」と決めつけるのは……
あまりにも短絡的なんですよ、と、私は言いたいのです。

「病気だから許して」

と、何かの免罪符のように言っていると決めつけるのは、ちょっと待っていただきたいのです。

例えば、

「虫を見ると足がすくむ」
「血を見ると倒れちゃう」

といった、人それぞれに苦手なものがありますよね?

職場で “G” が出現した時、虫が超苦手な人が「ギャー!」と叫んで逃げ回っても、逃げ回ったことを「私、虫が駄目だから赦して」と理解を求める必要はありませんよね、たぶん。
「虫、苦手なの」と言えば、周囲は「あ、そうなんだね」と了解してくれますよね。簡単に。


発達障害の場合は、なぜ、簡単ではないのでしょうか。

おそらくは、その「苦手」が、

①そもそも他人にはピンとこない内容である
②口頭、対面のコミュニケーション能力の欠如があり、伝え方がうまくない

という2つの要素が重なることによって、他人には直ちに理解されにくいということがあると思うのです。

誤解を解きたいだけ

私の場合、誰かに「私は実は発達障害、ASDで……」と言いたくなる時というのは、それ以前に、

甘えている
ズルい
悪だくみをしている

のように、自分の行動が原因で、誤解をされていると感じている時に限られます。
他の人もそうかどうかはわかりません。
ただ、対面のコミュニケーション能力が劣っていると、多分にこうした誤解を受けることはあり得るため、多くの発達障害者が「悪人だと思われる」苦しみを背負っているのではないかと、私は思っています。

つまり、「自分には悪意はないこと」を伝えたい、ただそれだけで告白に踏み切ったものの、話を聴いてもらえず拒絶される人も、また多いのではないかと……

実は、こうした私の「カミングアウト」の経験の中で、「神対応」にめぐり合ったことが、二回、ありました。

一回目は、夫です。
ただし夫は彼自身がやはり発達障害的(彼は診断はされていませんが)で、自分がわかるからこそ私を受け入れてくれたというのがあるので、正確には「神対応」ではないかもしれません。

二回目は、正真正銘の「神対応」でした。

それは、勤務先の大先輩。
しかも、私を悪く言い倒している同僚たちと仲の良い先輩でした。

その先輩と同じ部署になったため、私は勇気を振り絞って自分のことを打ち明けたのです。

先輩は私の話をひととおり聴いたあと、こう言ったのです。

「話してくれて、ありがとう」


神対応


正直、私はたいへん驚きました。
自分の打ち明け話をしただけなのに、そんな言葉をかけてもらったことは一度もなかったから。

「解った」でもなく、否定でもなく、ただ「ありがとう」。

勇気を出して打ち明けたことを感謝され、私はただ茫然とその人を見つめました。

大袈裟ではなく、ただもう、後光が射しているように感じました。

しかも、その言葉は決して上っ面なものではなくて、その後、先輩は少しずつ、周囲に対して働きかけてくれていたのです。

誰かが私の不可解な行動を指して「あの人、きっとズルいからあんなことするんだよ」とネガティブに受け止め、憶測した発言をした時。

その先輩は「ああ、あの人はね、対話が不器用なだけなのよ。あなたが頭に来たのも解るけど、あの人にも悪気はないのよ」と、説明をしてくれていたのです。

もちろん、それだけですべての誤解が解けたわけではありません。
ただ、それを機に、少しずつ、私に悪意があるのかないのかを確かめるような人が増え……だんだん、「確かに、不器用なんだ」と理解が広まっていったことは確か。

あいかわらず、「仲良く」までしようとする人はいないけれど、かと言って、むやみやたらに「あの人は腹黒い人だ」というように決めつける人も確実に減ってきました。

そのことが、どれほど私を救ったか……

私も、先輩のようでありたいと、心の底から思いました。

ただ、その先輩は私とは違う、バランスの取れた、精神的な大人。
私はとうていその先輩にはなれません。

私は私の方法で実行するしかありません。

このnoteを始めたきっかけも、その人のおかげで救われたことを、私なりのやり方で継承したかったからなのです。


長々とお読みいただき、ありがとうございました。


2023年も、少しでも誰かの役に立つことができたら、嬉しいと思います。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?