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漫画みたいな毎日。「人生で二番目に、全力を出した11月。」

今日で、11月が終わる。
すると、12月がやってくる。

10月。家族が誕生日月間として、いろいろサプライズを考えてくれるなどして、誕生日を挟んで賑やかに、バタバタと過ぎていく。

12月。クリスマスや、年末の御節料理の算段を考える。年内にやっておきたいことはなんだろうと、気忙しい雰囲気になりやすい。

その狭間、11月を辿る。

8年ぶりに本州に上陸したことが、11月の大きな出来事。

ダメもとで申し込んだspitzのライブに当選した。会場は横浜。

夫や子どもたちが「たまには、ひとりで行っておいで」と背中を押してくれたので、末娘を皆に任せて弾丸ツアーを決行することにした。

遅く到着し、早く帰宅する予定の弾丸ツアーだったので、人に会うのは難しい日程。自分だけだし、ライブの後に寝泊まりできればいいからと検索し、女性専用のちょっとラグジュアリーなカプセルホテルを見つけた。カプセルホテルでラグジュアリーっていうのも、なんとなく面白い表現だが、居心地が良さそうなので、そこに予約をした。

私には、6歳離れた姉がおり、神奈川県に住んでいる。

姉に電話で、11月に、横浜にいくこと、ライブに合わせての弾丸ツアーであること、姉の自宅は横浜からは距離があるので、今回はお世話にならず、ライブ会場や空港へのアクセスが良い場所にカプセルホテルをとったことを、電話で伝えた。

すると、後日、姉は予定を確認し、丁度休みなんだよね!せっかくだから一緒にホテルに泊まろうよ、私が手配するから、と言ってくれたのだった。

姉に会うのは、父の葬儀の時以来だ。
8年も会っていなかったのか。

姉には20歳になる息子と、18歳の娘がおり、私は叔母バカである。彼らに前に会った時には、甥は、我が家の長男と同じ中学1年生。姪は小学5年生だった。

こうして、時間の流れを認識した。

久々の飛行機。自宅近くの始発乗り場から高速バスで空港に辿り着き、せっかくだから、北海道の美味しいものをお土産にしようと、空港内を探索する。前に来た時には見かけなかったワインとチーズのお店を見つけて、物色する。

時間に余裕があると思って、さ、買い物完了!と、悠々と搭乗口に行くと・・・・

「〇時◯分発。東京行きをご利用のヤナギダケイコさま・・・」

え?名前呼ばれてる?!

手荷物検査をしていると、空港の係の方がすっ飛んできて、

「ヤナギダケイコさんですか?このままだと、予定の便に搭乗していただけない可能性があります。」

ええええええぇぇぇ!!!!!?

搭乗口は一番奥。

私は、係の若い男性を追って走った。

恐らく、人生で二番目くらいに全力を出した。

ちなみに、一番全力を出したのは、出産である。

飛行機に乗れないってなに?!

お土産に買ったワインもチーズも抱えたまま必死に走った。おかげでワインの発酵が進んでしまったかも知れない。

係の方に謝罪をしながら、あわあわとゲートを通ると、飛行機の入口にはまだ人が並んでいた。

・・・・うわわわぁ・・・乗れる!間に合った!良かったぁ・・・!

しかし、人生二番目に全力を出した&乗れないかもしれないプレッシャーで、普段は滅多なことでは痛くなることなどない胃が激しく痛み、座席に着いてからも、吐いてしまうかも・・・という不安に襲われていた。

余裕ぶって鼻歌まじりに、お土産のワインとチーズを選び、なんなら飛行機の中で、焼き立てパンでも食べようなどと思い、北海道産小麦のコーンとチーズのパンを買って、ほくほくしていた自分を、胃の痛みと共に三列シートの真ん中で身を縮こませ、ちょっとだけ反省した。

たまにそういったアナウンスがかかり、個人名がアナウンスされるのを耳にし、「時間に余裕をもって空港に来てないと大変だよなぁ。飛行機に乗り遅れたら困るし。」などと思っていたが、まさか、自分の名がアナウンスされるとは!

何事も、明日は我が身。
人生は何がおきるかわからない。

係の方、スミマセンでした。お手数をお掛け致しました。

更には、羽田空港から、横浜に向かう電車を、まさかの乗り間違えで、千葉方面に行きかけたが、軌道修正してなんとか桜木町駅に辿り着いた。神奈川に住んでいたこともあったし、乗り慣れていると思っていた電車での乗り間違え。

北海道に移住して、11年目。
そりゃ、そうだ。
忘れてることもあるよね。

姉はライブ会場に近い駅のホテルを予約してくれていた。当日も、駅の改札まで迎えにきてくれた。

改札の向こうに見慣れた顔を見つけて、なんとなく、泣きそうになった。


姉とは、姉が結婚するまで、実家を出て二人暮らしをしていた。
関係がずっと順調であったわけではなく、ぶつかり合い、一時期は、関係性が拗れてしまったこともあった。

今では、そのことも乗り越え、絡まった糸を解くことができて良かったと心から思っている。このことは、書くと長くなるので、いつかまた書けたらと思っている。

育ちの中で感じてきた違和感を、共に味わってきた姉は、同志、だ。
姉の存在にどれだけ救われてきただろうか。

久々の桜木町駅は、新しい建物も増えていて、買い物する場所も増えていた。姉の提案で、ライブの後にホテルでお弁当を一緒に食べようと、オーガニックマーケットに立ち寄った。

ちょっとでも顔を見たいからと、甥と姪もホテルに来てくれた。そして、ライブが終わった後まで待っていてくれ、終バスに間に合うギリギリの時間まで一緒に過ごしてくれた。

彼らを見送る改札で何度もハグして、再会を誓う。

見送った子どもたちの背中はすっかり成長し、逞しくなっていた。

見送りは、何度しても寂しい。
また会えると思っても寂しいことには変わりない。

姉とは朝の3時まで喋り続けた。
翌日、6時過ぎには、電車に乗らなくてはならないが、他愛の無いことも、ずっと話したかったことも、喋り続けた。

人と会うということは、
同じ空間で
息をし
言葉を交わし
なんでもないような仕草を眺め
相手の体温を感じること。

寝不足の姉妹は、朝の6時に改札で見送り、見送られた。

お互いに歳を重ねて、変わったこと、変わらないこと。

人生で二番目に全力を出した11月が終わろうとしている。

ヘッダーは、みんなのギャラリーより、みずたまさんの「11月のお誕生日ケーキ。」をお借りしました。ありがとうございます♪


学校に行かない選択をしたこどもたちのさらなる選択肢のため&サポートしてくれた方も私たちも、めぐりめぐって、お互いが幸せになる遣い方したいと思います!