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やなぎだ けいこの店 #13「Papa told me」

★「やなぎだ けいこの店」では、日々、我が家で選び楽しんでいる絵本や店主が読んだ本・最近おもしろいと思ったもの・こと・美味しいもの・やなぎだけいこレシピ、暮らしの中の発見・・・などなど、をマガジンにまとめ、紹介していけたらと思っています。★


今日のご紹介は・・・漫画「Papa told me」です。

「Papa told me」は1987年から月間誌に不定期連載されていた榛野なな恵さんの漫画です。「Papa told me」という漫画があります。NHKでドラマ化されたこともあるようです。

作家のお父さんとふたり暮らしの小学4年生の「知世(ちせ)ちゃん」という女の子が主人公。(お母さんは主人公の女の子が小さい時に病気で他界しています。)

「Papa told me」榛野なな恵

私がこの漫画を目にしたのは、二十歳を過ぎた頃だったと記憶しています。
初めは、絵に馴染めず、月刊誌の中でも読み飛ばしていたように思います。(榛野さん、すみません・・・・。)

ところが、読んでみたら・・・
「私は、こういう小学生になりたかった。」と思われる女の子が、そこには生き生きと存在していました。

大人からしたら、「ちょっと生意気」「子どもらしくない」と言われてしまうであろう、小学4年生の知世ちゃん。

でも、その発言や行動は、お父さんとの二人暮らしの中や、彼女を取りまく環境から彼女が自分自身で感じとり、まなび、考え、構築してきたものなのだということが、お話が進むにつれ、明らかになっていきます。

大人が、子どもたちに対して、「子どもらしくない」という発言をすることを、時に耳にしますが、それは、子どもたちをいつでも「自分より下の存在である」としておきたい大人の発言だと、私は思っています。

子どもたちは、大人のように多くのことばを持ち合わせていないことがありますが、だからといって、感じていないわけでも、考えていないわけでもない。

大人への配慮から、敢えて黙っているという選択をしていることがあると思うのです。

知世ちゃんの様々な発言は、周囲の大人を、時に厳しく鋭く見つめると共に、「やさしさ」ってなんだろう?と考えるきっかけをもたらしてくれる。

読書が好きで、お洋服が好きな彼女は、自分の「ポリシー」をもって、生きている。作中では、「美少女」として描かれており、芸能事務所やモデルとしてスカウトされることもあるのですが、彼女にとっては、それはまったく興味のないこととして描かれています。

彼女にとっては、「他者からの評価」は意味を成さないのです。

そんな彼女が学校の句会の宿題といって、俳句を作ります。


わたしはね、わたしのために、かわいいの。


知世ちゃんの作った俳句は・・・

「わたしはね わたしのために かわいいの」

です。(知世ちゃんのお父さんは「季語がないから、川柳だね。」とコメントしていました。)

初めてこの句を読んだ時、私は、〈なんてなんて素敵なのだろう!〉と思うと共に、自己の評価をまだまだ他者に委ねていました。

20代のはじめだったと思います。

しかし、今では、世間でいうところのアラフィフに近づいている私の頭の中に、何度も何度も、知世ちゃんのこの句が浮かんでくるです。

「わたしはね わたしのために かわいいの」

長年、私の目の前にずっと、重苦しくかかっていた霧が、清々しく、晴れ渡った気がしました。

誰かに評価されるためではなく、
誰かに褒められるためではなく、
誰かに愛されるためではなく、

わたしは、わたしのために、美しくありたいのだ。と。

「美しくありたい」と、時折、頭をよぎるものの、見ないふりをしてきたのだと思います。


美しく、生きることを考える。


自分の好きな服を格好良く着こなす体型になりたい・・・とか
女性としての美しさを活かす、良い肌の状態を保つ・・・とか

細かい希望はあるとしても、それは、枝葉にすぎないと思うのです。

自ら、こころから、「自分が美しいと思える生き方」を、模索したいのです。誰かに評価される為ではなく、誰かの評価を恐れることもない。

自分の心地よいと思うことを選択し、自分で自分が好きだと思えるように生きていきたい。自分にも、他者にも、誠実でありたい。

自分が美しく生きるってどんなことだろう?と、常に感じ、考え、成長していきたい。

だって、「わたしは わたしのために 美しくありたいの」だから。

私の決意を、もし誰かが、

「あなたは、もう、オバサンなのに、そんな風に望む愚かしさを持ち合わせていたんだね。」

と、言ったとしても、知世ちゃんは、こう言ってくれると思うのです。

「そういのはね、オロカシサ、ではなくて、ココロイキ、っていうのよ!」


みなさんの暮らしの色が増えますように。 店主・やなぎだ けいこ


学校に行かない選択をしたこどもたちのさらなる選択肢のため&サポートしてくれた方も私たちも、めぐりめぐって、お互いが幸せになる遣い方したいと思います!