学校に行かないという選択。「小さな世界の入口は大きな世界に続いている。」
長男が年長の時、幼稚園のスタッフがマイクロスコープを使って、「ちいさなせかいのいりぐち」という、虫に始まり、植物、砂、人間の頭皮や肌に至るまで、子どもたちと「ちいさなせかい」の観察を楽しんでくれたことがありました。
「ちいさなせかいのいりぐち」は、いったいどこに続いているのだろう?と、こどもたちがまなぶ様子を見ていると常々思うのです。
長男は、今、小学六年生。学校に関しては、六年生までの登校日数、おおよそ三日。月に2回程度、放課後に先生と顔をあわせているというところ。
いわゆるホームスクーリングということになるのだと思うのですが、自分で好きな科学館に行ったり、外来生物の防除のお手伝いに参加したり、自然の中で生き物を探したり、教科書や本や漫画を読んだり、飼育している生き物の観察&お世話をしたり、料理したり、好きなプログラムがある時にはフリースクール的な場所に顔をだすこともある。・・・日々、色々やっています。
彼は、生き物全般(昆虫・は虫類両生類・魚類は特に好き)や科学系・物作りが好きで興味があるようです。
生き物のことを知りたいと思えば、その周りの自然環境についても知ることになるし、採集するのであれば、適した道具考え、作る必要が出てくることもある。記録を残すために写真を撮影し、報告するためには漢字を覚え、文章を考え、ネットも駆使しなくてはなりません。計算が必要なこともあります。
このように、長男の好きな傾向を分野わけをしてはみましたが、結局のところ、全部が繋がっているので、あまり意味がないのかもしれません。
子どもたちが、学校に行かないという選択をする日々の中で、子どもたちそれぞれの興味のある分野の科学館や博物館などの講座などがあるときには、「こんなのがあるよ~」と知らせて、本人が「行ってみたい。」と言うものに参加しています。
今までに参加した講座は、
・森の草地でトノサマバッタを探す
・冬の森で自然観察
・鳥の剥製作り
・化石を探す
・始祖鳥カイト作り
・静電気について学ぶ講座
・動物園のバックヤードツアー
・恐竜の最新研究の講演会
・・・などなど。
その中に、日本学術振興会が主催で日本中の大学と連携し、科学・生物・医療系を中心とした講座を開催している「ひらめき☆ときめきサイエンス」というものがあります。
「ひらめき☆ときめきサイエンス」とは・・・
大学や研究機関で「科研費」(KAKENHI)により行われている最先端の研究成果に、小学5・6年生、中学生、高校生の皆さんが、直に見る、聞く、触れることで、科学のおもしろさを感じてもらうプログラムです。
参加する皆さんが将来に向けて、科学的好奇心を刺激して“ひらめき”、“ときめく”心の豊かさと知的創造性を育む内容となっています。研究者が「科研費」(KAKENHI)による独創的・先駆的な研究について、その中に含まれる科学の興味深さや面白さを講義、実験等を通じて分かりやすく語りかけ、また、研究者自身の歩み(研究を志した動機等)や人柄に間近に触れることにより、学問の素晴らしさや楽しさを感じることができます。全国の大学や研究機関が、科学の楽しさ、難しさ、不思議に触れられるよう、いろいろなプログラムを用意しています。興味と関心のある小学5・6年生、中学生、高校生のご参加をお待ちしております。
長男が3年生位の時から、「面白そうだなぁ」と講座内容を見ていましたが、記載の様に講座の対象年齢は5・6年生以上です。
4年生の時に、獣医体験のできるプログラムに参加したい!と長男。その時は、担当の大学の教授が知人の知り合い(ややこしいですね・・・)だったので、「参加できるか、聞いてみてあげるよ!」と言っていただいたこともありました。
結果として、やはり〈対象年齢ではないから参加は難しい〉という回答だったのですが、聞いていただいてありがたかったです。
そして、6年生となった今、参加できるプログラム数は格段に増え、いくつか参加申込みをしました。
しかし、「これ、行ってみたいなぁ・・・」と長男が希望する講座は中学生以上が対象の物が多い。
う~ん・・・対象年齢があることは、なんというか、仕方ないのだけど、彼の興味はもう少し先を見ているようなのです。さて、どうするかなぁ・・・と考える。
親としてできることは、大人としてできることは、なんだろう?
とりあえず、断られることを覚悟の上で、メールで問い合わせをすることにしました。
本人が参加したい講座のどこに魅力を感じているのか、日々どのように学んでいるかを、簡単に書き、参加希望の旨を伝えました。
メールをしてから2日。今日、大学の研究室から返信が届きました。
『お問い合わせいただき、またご関心を持っていただき、誠にありがとうございます。大変恐れ入りますが、対象が中学生のものであるため、教員からも難易度が高い講座となる旨を伺っております。中学生優先で受付をさせていただき、もし、空きが出ましたらご連絡させて頂ければと思います。ご期待に沿えず恐縮ですが、何卒よろしくお願いいたします。』
という内容でした。
これは、「空きが出れば、参加できるかもしれない」ってことだよね?
よっしゃ!と心の中でガッツポーズです。
今回はこの様に、開催先に働きかけてみたのですが、もし空きが出なくて、参加できなくても、それはそれでいいのです。
〈対象年齢から外れていても、興味を持つ子がいるんだ。〉
〈対象年齢はあるけれど、場合によっては、フレキシブルに対応してもいいかもしれない。〉
その様に、講座を開催してくださる大学や研究機関が「お?そういう需要もあるのか。」と、思ってくれる機会が増えたらいい。
ささやかな行為が、これから先「自分の好きなことを〈今〉まなびたい!」という、〈それぞれの子どもたちのタイミングでまなべること〉に、どこかでつながればいい。
子どもたちの未来を豊かにしてくれるなら、これからも、ちいさなことをコツコツ積み重ねてやっていこうと思うのです。
どんなに〈ちいさな世界の入口〉も、〈おおきな世界〉につながっているはずだから。
ちいさなことから、コツコツと。
↓ ひらめき☆ときめきサイエンスのHPはこちら。