(オンガク)コーネリアスの30年、LIFEから30年
先に言っておく。
これを記載しているのは2024年の8月27日から28日。
小沢健二が台風迫る金曜日ー2024.08.31に武道館で開催予定のLIFESHOWのプロモーションに勤しみ、私はそのチケットを手にできていない。
おそらく、会場にはいけない。
だから完全な負け惜しみであることを先に宣言した上で、話を進めたい。
ゴールデンウィークにあったMONOQLOMATIQUEとタイトルした小沢健二のサーキットショーを大阪会場でみた。
生活に根ざした新曲も、みんなが期待しているであろうソングスも、ちょっと説教くさい朗読も、あの頃の小沢健二を何処か期待しながら、コンサートは進んでいった。
盛り上がるのはLIFEの楽曲や、彼の指示に従っての観客の合いの手ー手は変わるもオペラシティでやったあのコンサートや、ライフショウで付け鼻したよね、なんて会話が会場から聞こえてくるコンサート、不満はない。
演出にこだわり、言葉にこだわる小沢健二の”本当のこと”を歌う(たまに歌わないのが玉に瑕だが)姿がライブで見られるのは、当時からのファンとしてはどこかホッとするし、またライブに行きたいと心から思う。
が、それは音楽的な刺激を受けに行くのか、と言われると少し違う気がする。
きっとLIFEを祝う武道館に行ったらその場を楽しみ、日常に結びついた歌を堪能し、日常へ帰ろう、というコールにどこか引っかかりながら帰ってくるのだと思う。
昔を懐かしむ感覚で。
クリスマスのディナーショウを楽しむ気持ちで。
で、コーネリアスの30周年記念コンサート。
こちらも関西にきてくれたおかげで参加することができた。
昨年のアンビエントKYOTOの会場での音像や京都国際会館のambientsetの素晴らしい音楽体験は、このコンサートへ行きたいという十分な動機になったし、何より今なお、新しい音楽世界を創造し続けていることを一緒に祝いたい、と思ったのだ。
オリンピックを巡るゴタゴタに巻き込まれた時はとても悲しかったし、その経緯のドキュメンタリーは、また何れ書きたいと思うけど、ともかくコーネリアスの音楽的冒険と、青春期の終わりとも言えるFQAリリース前後の悪ノリの清算されたあとのAmbientは何かしら関係があるようなないような気がしている。
コンサート会場が近づくにつれて、コーネリアスのCマークのTシャツ、昔のツアーT、最近のバックの曲タイトルが目立つカットソーシリーズー私もそれだーApeShowのTシャツとコーネリアスを主張する人が増えてきた。
こちらもいつものように、ステージにはスクリーンが被せられ、MICCHECKでスタート。
だけど、その後は最新セットを中心にAmbient,jamな新曲MIND TRAINと、ノスタルジーを感じる場面はほとんどなかった。
むしろ、コーネリアスの音像や楽曲は最新型こそがトップフォームであり、昔の曲で盛り上がるよりはAudioArchitectureで映像と音、会場のシンクロを楽しむ方が観客もバンドも楽しんでいるような気がした。
あるとしたら映像が30周年記念バージョンで、コーネリアスが今のスタイルを得る前の2枚のアルバムからの楽曲も”織り込まれていた”ことくらいか。あとテルミン。
それくらい、BrandNewSeasonやアンコールのFQAからの楽曲メドレーも最新フォームの中に入っている感覚。
METAFIVEからの環境や心理、外は戦場だよ、のカバー、TurnTurn(このときの地球がコーネリアスのアルバムジャケットに侵食されていく映像は良かった)と記念的な要素でさえコーネリアスの進化を物語っており、これまも、これからも音を楽しませて欲しいと思って会場を出た。(本編最後の曲はThankyouForMusicだったし)
と、小沢健二とコーネリアスのコンサートを立て続けに行くと(きっと同じ行程の人も多かったと思う)、コーネリアスの方が客層にバラエティがある気もするし、何より”昔のあの曲を”ではなく”今”を楽しむ感がある。
別にLIFEショウを否定はしないけど(コーネリアスも〇〇再現あったし、世界中で”昔のアルバムやってます”はヒットして、oasisすら再結成している)コトバの人だった小沢健二の非日常で聞く日常の話はそんなにおもんなくかんじるし(彼の楽曲にあった普遍性は、復帰以降少し…)、結局LIFEの時代を懐かしんで終わりそうな気がする。それじゃ、ちょっと物足りないんだけど。
彼らはフリッパーズ解散後、どこかシンクロしながらも別々に歩んできている(少なくとも表では)
音楽的には歩みを止め、レイドバックしながら言葉を模索する小沢健二と、コーネリアスという名のもとに常に新しい音像を視覚化していく小山田圭吾、このタイミングで両方見られて、LIFEを横目で冷めた見ている。
いや、行きたいけどね!
そういえば、会場の客入れBGM小沢健二もコーネリアスもけっこう凝ってるけど、かたやソウル、かたやAmbientpopで趣向違うね。